へそから握りこぶしひとつぶん。


大きな道を歩いていると、さまざまな人とすれちがう。「外見だけでひとを判断してはいけないです」とはよく言われているけど、表情・姿勢・歩きかたには、そのひとの大部分があらわれると思う。そして、たいていのひとはそのどれかが歪んでいる。しかめた表情をした人、自信がなさそうに腰が丸まっている人、パタパタと音を立てながら歩く人。そういう人を横目に見ながら、ハッとして、僕も背すじを伸ばす。


へそから握りこぶし一つ分下に、「丹田」という場所がある。そこを意識すると、姿勢にどっしりとした安定感が生まれると、何かの本に書いてあった。「腹が据わる」という言葉の「腹」とは丹田のことを指しているらしい。


服装は外見で判断をするうえで大切なしるしではあるけれど、服はあなたを補うためのものでしかない。その前に必要なのは自分の身体であり、心だ。

答えのないようなつまらない言い方かもしれないけど、「服はファッションの一部分でしかないこと」を頭の片隅に留めておかないと、そのバランスが崩れてきたときに、ハッと、背すじを伸ばすように、居直ることができなくなってしまう気がする。



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