人は欲しいものは買わない。
ニーズとウォンツということばがある。
商売の勉強をしたことのある人であれば、一度はきいたことがあると思う。「ニーズ」は必要なもの、「ウォンツ」は欲しいもの・もしくは潜在的に必要だけと、まだ気づいていないものというような意味だっただろうか。
以前読んでいた、そういうたぐいの本をあらためて最近読みかえしていて、「人は欲しいものは買わない」ということばは、人の奥深いところをつついているなあとあらためて感心した。
「必要なもの」と思っているものを、私たちは迷うことなく買う。歯みがき粉だって・アイロンだって・バスタオルだってそうだ。
対して、「欲しいもの」を買わなかったことは何度あるだろう。昨日だって、帰り道にたまたま通り掛かったすてきなのれんの寿司屋さんに入りたいと思ったけど、炊飯器にご飯がのこっていたからまっすぐ家に帰ることにした。
洋服だってそうだ。日々いろんなお店にいって服を見て、「ああ、いいなぁ」と思った服を実際に買うところまでいくのは、いったいどれくらいの確率だろう。それでも、服は「必要なもの」という面ももっているから、だから多くの人がユニクロに行くんだろう。
よほど裕福な人でないかぎり、欲しいだけのものを人は我慢する。いや、裕福な人であっても「欲しいだけのもの」は買わないかもしれない。
でも、人のおもしろいところは、たったひとつのことばだけで「欲しいもの」が「必要なもの」にも変わってしまうところである。
世の中で売られているたくさんのものは、なんらかに「必要なもの」であることがほとんどだ。でも、それに気づかない僕らは「欲しいもの」にとどめて欲望の嵐が過ぎ去るのを待つ。
「欲しいもの」が「必要なもの」になるにはことばがいる。それは優れたコピーかもしれないし、小綺麗なパッケージかもしれない。ひいきにしてるブランドのタグかもしれない。
僕らは「必要なもの」だと気づかせてくれるのを、お金を気持ちよく払わせてくれるようなことばをいつも探している。
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