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明治おばあちゃん(正統派)VS.令和おばあちゃん(へっぽこ)

カッコイイとは、こういうことさ

「庭の柿の木に男の人がぶら下がっているよ!」

秋も深まる夕暮れに、父方のおばあちゃんから電話がかかってきた。

見知らぬ男性が、自宅の庭の柿の木で首吊り自殺をしていたらしい。
気丈にも、風に揺れる男性を見ながら次男の父に連絡してきたそうだ。

 おばあちゃんは明治40年生まれ。第一次・第二次世界大戦を生抜き、満州から1人で乳飲み子を含めた子供4人を連れて、引き揚げてきた人だ。

おじいちゃんはその間シベリアで抑留中だったらしい。
 
 中国の人が、赤ちゃんだった父をくれ、と言ったそうだが、もしその時におばあちゃんが父を渡していたら、父も中国残留孤児の一人だったかもしれない。そうしたら私も生まれていなかったかもしれないし、娘も孫も当然いなかっただろう。
 
有名人とかではなく、ごく普通の女性なのに肝が据わって、根性がある。全ての辛さも笑顔で包む、明治女はスゴイ!と思う。

 父は「さすがの母さんも声が震えてたよ」とビックリしたように言っていたが、普通の女性なら腰を抜かすからね。私なら気絶してるからね!

 声が震えるだけってスゴイことなのに、偉大な母の姿しか知らない息子は驚いていた。

 後になって聞いた話だが、男性は地方公務員で家族もいて、父と同じ歳だったらしい。まったく面識もなく、なぜおばあちゃんの家を最後の場所として選んだのか、分からないそうだ。

 田舎の事で大騒ぎになり、親戚達や近所の人も集まって、やれ迷惑だとか、土地の価値が下がるとか、やじうま根性で文句を言う中、おばあちゃんは手を合わせて「どんな辛いことがあったのかねえ」と涙ぐんで男性の冥福を祈っていたらしい。

 そんなおばあちゃんだからこそ、無意識に頼ってきたのかも、と皆で噂をしたそうな。

 その後も首吊りのあった家で一人暮らしをして、家の中で丸一日倒れて動けなくなるまで自力で暮らした。

 いつも穏やかで、昔話のような地に足のついた知恵があった。くれる手紙はひらがなが多かったけれど、計算も記憶力も若い人より断然早くて、夏休みの宿題も見てもらったりした。働き者で、煮物と漬物が絶品だった。

 冬休みにおばあちゃんの家に行った。
美味しい干し柿を作った柿の木は、バッサリと切られていた。

 美味しかった干し柿を惜しんでか、父と同じ歳で命を絶った男性への哀惜か、切り株を見つめて涙が出た・・・。

形から入るおばあちゃん計画(姑息版)

 正直言って、明治のおばあちゃん的「正統派おばあちゃん」は厳しいと思う。受けた教育も、苦労の末に付いた真の実力も、真似できないし、絶対真似したくない(第三次世界大戦は地球が死ぬと思う)

 昭和生まれで平成に生きて令和の三世代を生きる・・・とか、まだ令和は3年めだけど、何となく言葉にすると「おばあちゃんっぽい」かもしれない。NHKのファミリーヒストリー的な(笑)

 流行り物も押さえる系おばあちゃんとしては、孫に作ってあげるひな祭りの吊るし飾りキットを買ってみた。
今また吊るし飾りがリバイバルヒットしているらしくて、方々でキットや本が売られている。

別に吊るし繋がりで・・・とかブラックジョークではないので勘違いしないでね。

 フェリシモの1年間毎月届くキットなので、何となくのイメージで買っているワタシは、開封もせずに部屋の隅に積み上げている。

これをひな祭りまでに仕上げて、孫宅に持っていくためには、そろそろ手を付けないと私の実力では間に合わない。

納戸にはウン十年前の中学時代の家庭科の授業で作りかけたパジャマが残っている・・・。

おばあちゃんにまた宿題を手伝ってもらいたいな。何時までもダメな孫でごめんね。

人は誰でも必ず誰かの孫なのだ!そしておばあちゃん(おじいちゃん)になっていくのだ!

これから頑張る!きっと・・・。





 

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