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結局AIの社会実装では大量にデータを取ったほうが勝者になってしまうのか

こんにちは、Deep Learningスタートアップでマーケターをしています、MARINA(@m__sb04)です。
最近考えていることがありまして、全然解が見つからないというかひとりのスタンスではなく社会全体で考えなければならないので、色んな方の意見を聞きたいと思いこれを書くに至りました。
(※ 一応ですが、SNSやnoteは完全に個人の見解です。)

さて、突然ですが、最近、学校での顔認識技術の活用についていくつか話題になりました。
「スウェーデンの学校で、学生の出欠管理に顔認識ソフトウェアを使用し、GDPR違反で20,000ドル以上の罰金を科された」という欧米でのニュース。

その一方で、
深センの小学校で生徒が顔認証のゲートを通過して校内に入っていく様子が撮影されたり、

南京の中国薬科大学では、教室でMegviiによって開発された顔認識システムを導入して、出席を自動的にチェックし、学生が注意を払っているか、昼寝しているかを報告する、学生が手を挙げた回数を追跡する、などの報道が出ていたり、

といったようにすでに社会実装済みの中国。

また、最近では、アメリカは、中国最大のAIユニコーン企業3社(SenseTime、Megvii、Yitu)を含む8つのハイテク企業をエンティティリスト(禁輸措置対象リスト:米国企業が上場企業と取引する前に政府の許可を求める取引ブラックリスト)に追加したことを発表しています。
裏を返すとブラックリストに追加するほどの威力・影響力を感じているということです。

上記の学校での事例はあくまで一例で、あらゆる場面で、中国は監視社会並みにごりごりデータ取っていて倫理的にどうなんだと話題になったり、逆に欧米ではプライバシーの問題でGDPRで規制が厳しくかかったりしていますが、やり方が良い悪いは置いといて、結局は、社会実験をいち早く・より多く・広範囲に行っているのは中国だと感じており、AI業界において中国の存在感は日々増していると感じています。

例えば、将来もしこのまま開発が進んで、自動運転車の精度が中国製のものが1番良く、人をひく可能性が限りなく低く、安全性が高いですとなったとき、その他自動運転車に限らず、「結局社会は中国製のAIを使わざるを得ない状況になってしまうのではないか、データ量で押し切られてしまうのではないか」という話です。(どこがという点はそこまで重要でなく、早期に実証実験をし、データを大量に獲得したところが勝つのではという話です。)

自動運転の場合は、AIによる認識/制御部分だけじゃなく、5Gのインフラや3Dマッピングなど他の技術要素が複雑に絡み合って実現するものなので、一概にAIによる認識/制御部分についてのみ言及するのはどうかという意見もあるとは思いますが、やはり、自動運転の社会浸透に大きく寄与するのは判断を下す頭脳の部分だと思っているので、実環境下で何度もチューニングや追加データで学習を繰り返してというような試行錯誤の工程をより多くできるということは精度に大きく影響しますし、いち早く実証実験ができる・市場投入できるという点は、覇権を取るのに重要な点だと考えています。
※自動運転の場合は、公道を走ることができるかなどの法律面も絡んできます。(もちろん自動運転に限れば、WaymoやUberなどアメリカも進んでいます。また、アルゴリズムの研究開発が強いのは未だアメリカで、データ量以外の方法で精度を高める手法やそもそもデータなしで成功させる事例を作り出すような技術革新を起こすというキラーパスも考えられますが、特に日本にとってはそのわずかな可能性にかけるのは無謀だろうと思います。)

技術面だけでなく、自動車メーカー全体のブランドや信頼、UI/UXデザインも大事なので一概に技術力だけで押し切られないだろうという方もいるでしょうが、最近のシャオミやファーウェイのプロダクトを見るとそんなことも言ってられないということもわかるでしょう。
現に、中国の自動車メーカーも取り組みを進めています。

■国営の大手自動車集団である第一汽車は、百度と共同でレベル4クラスの自動運転車を開発し、2020年末ごろから量産に乗り出す。(百度と一汽の協業は、トヨタとソフトバンクの提携並みにインパクトがあるニュース)
■ 長安汽車は米カリフォルニア州の公道で実証試験なども行っており、早ければ2020年ごろに無人の自動運転車を実現することとしている。
■ 東風汽車は、AI分野でファーウェイと提携を結んでおり、2022年までに自動運転レベル4を実現する計画を発表している。

そもそもアメリカでは、1人死亡したことにより公道での実証実験が中止になった前例がありますし、何よりも安全性が大事というのは満場一致の意見だと思います。自分もそうだと思います。
> Uberの自動運転車、死亡事故で中断していた公道テストを再開

精度だけでなく、いち早く実証実験する・市場投入するということは、ユーザーのフィードバックをいち早く得られるということなので、どうやったらより利便性が向上するのか、ユーザーの体験がより良くなるのかをいち早く考え改善できるということでもあります。

中国Didi、自動運転のロボタクシーサービスを上海で開始へ
CNBCの報道によると、レベル4の自動運転機能を備えた30種類の車両を試験プログラムに投入する。

(安全性が1番伝わりやすいかなと思ったのですが、自動運転の話が膨らみすぎて、自動運転に限った話のようになってしまいました。需要があれば別で各国の自動運転の動向も書こうかなと思います。)

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データをごりごり取ったほうが勝者になってしまうのかという問いは考えていかなければならないと思いますし、AIベンチャーの一企業に属している身としても、今後どうやってAIビジネスに取り組んでいくか、特に顔認識技術などは個人のプライバシーが問題として取り上げられがちですが、セキュリティを考慮した上でそういった不信感をなくして人々のなかに無意識に浸透させるためにどのような体験デザインをするべきなのかなど、このあたりは色んな人の意見を聞いてみたいし議論したい観点です。
闇雲にセキュリティが、プライバシーが、とかでおざなりにするのではなくユーザーの課題に対して体験を設計しながら、大きな市場を見て世界全体がどう動くのかを考え、ディストピアじゃなく、テクノロジーで人々が豊かになる世界にするにはどうすればいいのか、日本社会をどうしたいかも含めて真剣に考え議論したいと思っています。(読んでいて伝わると思いますが日々日本への危機感が募っているので勝ち負けではないとは思っているのですが、日本企業が生き残るにはどのような戦略を取るべきかについてももっと議論されていいと思ってます。)

ここまで読んでいただいても現状どうなのかということしか載っておらず恐縮ですが、この記事に思うことがありましたらご意見いただけると大変嬉しいです。私自身も新たに何か考えたことや他の方と議論したことなんかを随時発信できればと思います。
これを含め、結構考えていることを書き溜めていたものの公開する勇気がなくてずっと下書きに入っていたものが複数あるのですが、もったいないなと思い直したのでこれからいくつか公開していこうかなと思ってます。

では、今回は一旦問題提起するところまでで。

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