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息子の決断

修論の提出も終わり、あとは発表のみとなった。来月には卒業を控えている息子。
そして4月にはいよいよ就職。

3人目を送り出す身としては、少し複雑。
嬉しさはもちろんあるのだけど、ここまでやってこれた…という安堵の方が大きい。長男、長女、次男と32年続いた子育てがこれで終わる。
末っ子が巣立つ日までのカウントダウンが、私の中では、もう始まっている。
今の気持ちがどんなふうに変わっていくのか…
最後なのだから、その日までゆっくりと自分の中で変化を楽しみたい。

院に進学してからコロナの影響で対面授業は、ほぼゼロだった。
オンライン授業だけでこの2年間を乗り切ったことになる。

1時間半の電車通学も
友達との遊びも
サークル活動も
バイトをする自由も
全て見えない何かに奪われた。

日常生活もガラッと変わり、かなり遅めのブランチから一日が始まる。
朝から晩までゆるっとしたジャージ姿のままでいる日が多くなり、曜日の感覚すら鈍るほど。
サークルは運動系でもともとスポーツ好き。
身長も肩幅もあり、わりと細マッチョ……だったはずが、筋肉量が落ちて一時期、体重がグッと減った。久々に体重計に乗った息子が驚きとともにため息を漏らしたことがある。
そんなこともあり、年が明けてからは、

早起き→歯磨き→朝食

の順番に一日がスタート。
毎日3食のスタイルに戻った。
天気の良い日は外に出て陽の光を浴びることも努めてするように。

これまでの普通がふつうじゃなくなり、変化に戸惑うことが多かったこの2年間。
自分だけじゃないし、他のみんなも同じだから…
でもそう簡単に納得できるものでもない。
来る日も来る日も同じような毎日を過ごしているうちズルズルとこんな生活にも慣れてしまった…
もう仕方ない…ってところまで追いやられた感じだ。

この状況では卒業式はおろか、卒業旅行も…出来ない可能性が高い。友達と集まることも出来ずに静かにそれぞれの道を進むことになるのだろう。
いくらネットで繋がっているとはいえ、対面ならではの良さは絶対にあるはず。

親元を離れ、のほほ〜んとした学生生活を体験できた私からすると、何か大切なものを置き忘れているのでは…とそんな気がしてならない。

こんな状況になって、親として唯一気持ちの安定を得られたのは、
息子と同じ空間で過ごせたということ。
息子の毎日が見えたということ。
これが一番の安心材料だった。
息子にしてみれば息がつまる思いだったに違いないが…

巣ごもり生活を続ける息子に向かって
「時々、体動かした方がいいよ。気分転換にどこか出て来たら?」
「たまには服、着替えたら?」
と、どうでもいいようなことをいちいち投げかけていた。そんな親の言葉に毎回文句も言わず返事をくれたのだ。
ホントにうるさい母さんでごめん🙇‍♀️
心の中ではそう思ってる。


ちょっと気がかりなのは
会社からの内定をもらって、まだ一度も会社訪問が出来てないということ。
九州⇄関東という距離の問題も大きい。
機会が全くなかったわけではないけど、ことごとくタイミングが悪く感染が広がる時期とちょうど重なった。
先月も会社からの案内があったが、[まん防]が発令されたので、泣く泣く断念した。

息子にとっては4月の入社式が初めての出社となる。
これまで就職活動も全てオンライン。
試験も面接も全てそれでやりきった。
息子の将来が決まったという実感が全くないわけではないが、今のところ、内定通知が手元にあるだけの現実。
不安というより、どこか現実でない非現実の中に息子の将来があるようでどうもピン!とこない。

そろそろ、住む場所の確保も必要な時期になってきた。
社員寮があるが、息子は断固として
「それはやめとく!」
と、そこだけは譲らない。
ここにきて、

「住むところ、決めてくるよ。」


と、言い出した。
今はスマホでも家さがしが出来る。
物件の間取りなども詳しく確認できて豊富に選べる時代。
ある程度、ネットで検索してから実際に現地に行こうという考えらしい。
感染のリスクもあるが、こればかりは仕方ない。行って確認しないことには…何も始まらない。
私たちが住んでいる地域でも病床使用率は依然として高いまま。今は自分でできる最善の対策をしていくしか方法はない。

初めての一人暮らしは、良いスタートを切ってもらいたいし、せめて住むところぐらい納得のいく場所であって欲しい。
息子にとっては会社訪問よりも住む場所を決める事の方が最大ミッションのようだ。

修論の発表を終えたら、家さがしに行く。本当は私も付いて行きたいところだけど、今の状況では遠慮するのが賢明だろう。

向こうにいる娘がきっとひと役買ってくれるに違いない。
娘は先月、念願の場所へ転居したばかり。
全てひとりでやり遂げた。



私よりもきっと頼りになるはず。
息子はそれを期待してか、数日間、姉のところに泊まって家さがしをするつもりだ。


お姉ちゃんに「頼んだよ〜」ってLINEしといたから!

私の出来ることは
今のところそんなことぐらい。

どうか、息子の家さがしが順調に進みますように。
そろそろ、息子のいない生活にも少しずつ慣れておかないと…

春本番が待ち遠しい。


春の訪れ



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