記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

【映画記録】哀れなるものたち

#哀れなるものたち (Poor Things)を観てきました!
思うままに書いてみようと思います。


スタッフ・キャスト

スタッフ
監督 
#ヨルゴス・ランティモス
脚本
#トニー・マクナマラ

キャスト
#エマ・ストーン
#マーク・ラファロ
#ウィレム・デフォー
#ラミー・ユセフ

原作
#アラスター・グレイ

衣装
#ホリー・ウォディントン

短評

単刀直入に、オールタイムベスト級の一本。
ベラ・バクスター(エマ・ストーン)の他者との交流や成長は
そのまま人生を表現しており、
やがてベラは己のルーツと対峙する。
141分あるが、長さを感じさせない構成とテンポでみせる。
Furious jumpingを熱烈ジャンプと訳した
#松浦美奈 さんの字幕も素敵でした。

所感

エマ・ストーン恐るべし

まずエマ・ストーンの赤ちゃんの表情と歩き方が途轍もない。
子供のいない筆者だが、
親類の赤ちゃんがまさにあのような歩き方をしていたのを覚えている。
序盤に若干のグロ描写があるが
小さい子供は時に虫や動物に対して残酷であり
その表情もまた子供そのもの。
成長とともに大人の表情になっていき、
話し方が変わり、使う言葉も変わっていく。
同じエマ・ストーンなのに本当に中身が成長しているようで恐ろしい。

ダンカンという男

ダンカン(マーク・ラファロ)が可愛く、苦しい。愛くるしい。
ベラを連れ出すダンカンはマックス(ラミー・ユスフ)と対照的に
ベラのルーツを知ろうとしないグルーミングおじさんである。
自らの成長を望むベラから本を取り上げるシーンは
笑える一方でなんとも象徴的。

デフォー汁の煮凝りゴッド

ベラにとっては創造神、ゴッドファーザー:名付け親であるところの
ゴッドウィン(ウィレム・デフォー)。
劇中、ベラは彼をゴッドと呼んでおり、
Dadのようでもありながら、ものすごく大きな単語にも聞こえる。

いかにもマッドサイエンティストという風貌だが
意外とあっさりベラを旅に出したり
旅先から送られてくるベラの手紙を熱心に読んだりと
ゴッドにとってベラは研究を超えた存在であり
おじさん好きな方は推さずにいられないと思う。
筆者は勝手に衣装にも愛を感じてしまった。(後述)

お前だぞ!ハリー

ベラはさまざまな人と関わり成長していくが
出逢う人の中でもハリー(#ジェロッド・カーマイケル)が
特に印象的であった。
現実主義者のハリーはベラにも現実を見せようとするが
彼なりの善意が思いもよらない形で返ってくる。
映る時間は短いものの、
「これはお前だぞ気をつけろよ」と言われているようで
彼のようなキャラクターがいると、観てよかったとより強く感じる。

衣装

衣装はどれも素晴らしく、成長著しいベラはどんどん衣装が変化する一方で
男性陣はほとんど変化しない。
文無しになるダンカンも、
汚れてはいるものの、きちんとした衣装を着ているのが皮肉だ。

序盤に二回ほど映るベラの衣装で、
腰から下がクッション状になっているものがある。
クラシカルなものに現代のエッセンスを加えた衣装らしいが、
筆者にはオムツのようにも見えるし、尻もち対策にも見える。
これにはゴッドの愛を感じた。
※リンクの文中1枚目の写真がその衣装

色彩・美術

映画はモノクロではじまり、途中からカラーに切り替わる。
このタイミングはベラの性の目覚め、
とりわけ他者との明確な交わりと一致しており、
また、フランケンシュタイン(1931年)がモノクロだったことへの
オマージュにも感じられる。
いずれにせよカラーになる瞬間の編集のキレがよく、
目が覚めるような鮮やかさであった。
カラーになってからもそれぞれの色が美麗かつ
ビキビキ際立つ感じではないため目が疲れるということはない。

ベラの成長と周りの景色がリンクしているように感じられ
彼女が幼いときは風景もドリーミーでファンタジック、
成長するにつれ上記の特徴は薄れていく。
子供の時は世界がこんなふうに見えていたのかもしれないと
妙な郷愁もまた良い。

まとめ

ストーリーは常に人生のある地点を示唆しており
観賞後に誰かと話して考察を深めたくなる映画。
R18+も納得の熱烈ジャンプがあるので
もし誰かと一緒に行くなら注意は必要です。
(ゴーンガールを一緒に観られるパートナーなら多分OK)

ヨルゴス・ランティモス監督作品は
チェックだけして未見のものばかりなので
すぐに観ようと思います。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?