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ゲストハウスの楽しさ

昨日せっかく久しぶりに記事を書いたので
ついでにゲストハウスのおもしろポイントを
書いておこうかなと思う。


▼ゲストハウスってなに

よく知らん人向けに簡単に言うと、バックパッカー向けの安い宿だ。
ベッドルームやトイレなどが他のゲスト(宿泊者)と同室なかわりに、宿泊費用が2〜4000円くらいと割安設定になっている。
+数千円で鍵付き個室がある宿もある。

ホテルと違い自分が寝るベッド以外は全て他ゲストと一緒に使うので、必然的に知らない人と顔を合わせたり会話をする機会が増える。

▼ゲストハウスにも色々ある

完全に「安く宿泊できる宿」に特化した宿もあれば「交流」に特化した宿もある。
全てはオーナーさんの好み・方針次第で、ひとくちにゲストハウスと言っても雰囲気や客層はまるで違う。その日集まった他ゲストによって交流の濃度も変わるので、行ってみるまでわからない、巡り合わせを楽しめるのも魅力と思う。

▼客層

既婚者より未婚者が多い体感。
まれに子連れ家族で1部屋まるっと借りるタイプが居たり、カップルでの宿泊者も見かけるが、圧倒的に未婚者の1人利用者が大半と思う。ゲストハウスならではの「交流」を求めて来る感じで。

都市観光地、山など自然系観光地か、はたまた全く観光地から離れた謎の住宅街か…など、宿の立地や価格帯によってメインの客層は本当にバラバラ。

・宿泊費を安くする目的で来る観光客
・交流を求めてあえて来る観光客
・仕事の都合でここしか宿がなかったビジネス客
・ただ夜の酒盛り相手を求めて来た常連
・常連に会いたくて来た準常連
・移住の参考に来る人
・外国人バックパッカー
…など、理由も目的も年齢性別国籍も様々。

▼常連

どのゲストハウスにも、頻繁にお気に入りの宿に飲みに来る感覚で通う「常連」が居たりする。
大抵の場合そういう「ゲストハウスに狂った常連」はめちゃくちゃいい人な事が多い。
距離感の取り方が適切だったり、新規の宿泊者を自然に飲みの場に招き入れていたり、オーナーの雑務を手伝っていたりもする。

▼オーナー

大抵の場合オーナー自身が元々旅が好きで、若い頃に海外バックパッカー経験あったり、国内のニッチな場所を旅して回った経験豊富な方が多い。
自分のそんな経験を活かして自分なりの理想の旅宿を作って提供していたりするので、多国籍語を扱ったり、コミュ力・サバイバル力など何かしらの能力を複数持ったおもしろい方が多い。

▼(注)ホテルではない

ゲストハウスはオーナーが1人ないし住み込みバイトのスタッフなど少人数で運営する宿。
ホテルなどの宿泊施設というより「あんま交流なかった遠縁の親戚の家におじゃまする」くらいの感覚で利用するのがお互いしっくりくる、はず。

寝具や共有場所は基本的には毎日清掃されていて問題ないが、潔癖の人や窓のサンや部屋の隅々まで365日ピカピカでないとネチネチ言うタイプの人には向かない。

宿によって常備されているものは異なるが、基本的に歯ブラシやタオルなどは持参が基本だし、宿で販売すらされていない事も多い。
立地によってはそもそも店や自販機すら周辺になく、事前に用意するなり予約時に頼まなければ食事にありつけない場合もある。

だいたいそういう宿はHPや予約画面に記載があるが、よく読まずに手ぶらで来てから文句を言ってトラブルになる話もまあ聞く。

ゲストハウスはオーナー家主であり、絶対のルールであり、ゲストはお客様ではなく「お泊まり会に来たゲスト」なのだ。
基本的にやってもらうんじゃなく、みんな自分が出来る事は自分でやるのが当たり前という感じ。

▼目的①不便を楽しみに行く

わたしは1人暮らしで自宅で仕事をしているので、普段の生活で家族や他人と過ごす時間はない。
ごはんを食べるのも、風呂やトイレも自分の好きなタイミングで、生活音も自分のものだけ。
基本的に「1人でいる事」が好きなので普段寂しいとかそんな事もなく、寂しい・話し相手が欲しいからゲストハウスに行くのかといえば、ちょっと違う。

わたしにとって、
知らない他人とワイワイ食卓を囲んだり、歯磨きする時に場所を譲り合ったり、寝る前に電気を消すよと声をかけたりするゲストハウスでの体験は「非日常」。
夜中に隣の部屋の誰かのくしゃみが聞こえて「誰かでかいくしゃみしたな…」と思いながらウトウト眠りについたりする、そういうエンタメ感。

1人が好き。だけどたまーに誰かと一緒に過ごす日は楽しいよねという感じで、不定期的に気が向いたらわざわざ泊まる目的で行ったりする。

ライブ遠征などで宿代を抑える目的で使うこともある。遊びついでの利用だと誰かにさっき見たライブが楽しかった話を聞いてもらえたり、翌日の観光おすすめ場所を聞いたり、その土地ならではのおいしいお店を教えてもらえたりもする。

▼目的②1日家族っぽさ

わたしの1番のお気に入りゲストハウスは、その立地と建物の作りとオーナーさんの方針など総合した雰囲気から「田舎のおばあちゃんちに夏休み親戚一同が集まりました」感がある。
事前に予約した晩ごはんは、ふつうの一般家庭で出るような、ふつうの晩ごはん。

煮物をよそった先から奥のちゃぶ台にまわして、水出し麦茶のボトルやお醤油を分け合って、誰かおはし足りなければ台所に近い人が食器棚に取りに行く。
そういうのが当たり前にあって、気を遣わずに気を配り合う心地よくてあったかい晩ごはんが食べられる。

そしてオーナーとオーナー夫人が作るそのふつうの晩ごはんがめちゃくちゃおいしい。
白米、おしんこ、煮物、マカロニサラダ、冷奴、お味噌汁とか。誰かが差し入れたいぶりがっこやら山菜が大皿で「食べたい人どうぞー」って回ってきたりする。

誰かが「わー!」ってしょうゆ出し過ぎたと騒いだら、はいはいって隣の人が自分の皿に回収したりする。
そんな賑やかで楽しい晩ごはん時間が好き。

▼目的③知らない人だから話せること

ぽつぽつ顔見知りが居たりもするけど、それでもみんな本名も住んでる所も仕事も、何にも知らない他人。
だけど似たような感性があるから、このゲストハウスの雰囲気が好きで集まってる事は共通してる。その絶妙な距離感が都合よい。

普段知り合いには話さないけど日々考えてる事、自分なりのこだわり、好きな事、嫌いな事、ニュース見て思う事、誰かの相談から発展する各々の人生感、男女関係での失敗談、職場にいた過去一やべー奴選手権…
仕事の守秘義務や他人のプライバシーに触れない程度に、なんでも話せる。

考えが合う人もいれば、合わない人もいる。
意見や価値観の違いを聞くのも楽しいし、全然知らない界隈の趣味や、関わった事のない職種の話を聞けたり、とにかく「未知」の話にあふれている。

最低限のマナーとして相手を不快にさせるような事はしない・言わない・聞きすぎないは前提にしつつも…
もしおしゃべりする中で相手が自分の考えを受け入れられなくても、嫌われたとしても、どうせ今日しか関わらないし1週間後には顔も忘れてる相手だ。
そう思うからこそ、そういう相手だからこそ、お互いこの場で話せる内容がある。
普段はひた隠しにしている根っこの気持ち。
それを話したり聞いたりできる時間、そういう話ができる相手に会えた日はとてもいい夜になる。

そういう人とまた偶然再会できると
「あ、知ってる知らない人だ」って感じでまた前回の話の続きをしたりする。
限りなく他人なのに気持ちの距離が近い、そんな不思議な関係がたまらなく心地よい。

ずっと続く日常じゃないから失敗を恐れなくてすむ、失敗を恐れず踏み込むからこそ通じ合う、みたいな。
そんでそれがその日限りで翌日には続かないから煩わしさがなくて実にいい。

▼(注)もちろん合わない人もいる

ゲストハウスに求めるものというか、何をメリットと感じるかはそれぞれなので、当たり前に全員とノリや価値観が合うわけではない。
だからお互い気配りは大事だし、ゲストハウスだからって無理に他人に合わせる必要もないし、交流したくなかったらしなくてもいい。

わたしはまだ遭遇した事ないけど、宗教やマルチの勧誘目的でゲストハウスの交流を求めるクソ迷惑な奴も時折いるらしい。
過度に飲み過ぎて他人に迷惑かけたり、ウザ絡みしすぎる人なんかも稀にいると聞く。
そういう人はオーナーの判断で出禁にされたりするので何かあればその場の誰かに相談するのもいい。

でも基本はその人と関わるか関わらないかも、なんなら交流の場に居るかさっさと寝るかも、自分の判断で決めればいい。

わたしはちょっと苦手な人だとしても、言うて今日しか関わらんしこれも経験だなあって出来るだけその日その場に居る人とはコミュニケーション取るようにしている。
口調やこだわり強いだけで、実は考え方が変わってておもしろい人とかも居るしね。



そんな感じで、わたしはゲストハウスが好き。
人を選ぶ場所かもしれないけど、自分に合う居心地いいお泊り先が出来ると、とても楽しいよ。