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今の時代「情報」に振り回されぬよう注意したいものだ。

欧州中央銀行(ECB)はフランクフルトで今週開く会合で、独自の中央銀行デジタル通貨(CBDC)を発行する可能性について議論する見通しだ。事情に詳しい複数のユーロ圏当局者が明らかにした。

協議が非公開であることを理由に関係者が匿名を条件に語ったところでは、理事会メンバーはこの議題について11日に非公式に協議する見込みだ。

ブルームバーグ公開記事から一部抜粋

デジタル人民元に触発されて、ついに欧州も動き出したか。今やお金のデジタル化の流れはどうしても食い止められない時代の奔流となっている。アメリカも日本も、目下慎重な構えを見せているが、近く中国に倣って態度をころりと変えるに違いない。2017・18年は暗号資産からブロックチェーンを考えるのが主であったが、今年に入ってそれがすっかり逆転した。そのことを、最近のCBDC議論や中国動向などを見ながら、年末前にひしひしと感じている。東京オリンピックを控える「2020年」は業界にとってどんな年になるだろうか。ブロックチェーンありきで社会変革が起き、ビットコインの価格も伸びる。そんな年であれば良いな、と心密かに願っているが、その予想と今年の振り返りは近々また別のところでしよう。

本来であればこのようなことを冒頭の記事を読んで思うのだが、僕がここで話したいのは、記事の情報元にあたる「関係者」って誰やねん問題である。メディアとりわけ報道業界では古くから使われる慣習的な書き文句だが、その信用の不確かさから、これまでにも度々議論の的になってきた。特に、嘘とコピーが蔓延り、ファクトチェックが何より重要視されるネット社会では、リーク元を明かさない報道記事にやはり違和感を覚える。そのような記事を見かけた時に、自分で追加的に調べることなく、書いてあることをそのまま鵜呑みにしてしまう人も多いだろう。それが確かな情報であれば何も問題ないが、フェイクであった場合には、社会の歪みを生むことになりかねない。ひとたび情報がネットで拡散されると、ものすごい速さでサイバーカスケードが進み、SNS民が暴徒化しかねないことは、日々のスキャンダルが示す通りである。

では、メディアは「関係者」や「情報筋」といった曖昧な表現を止めるべきなのか。それが現実的に難しいことも十分に理解している。立場を明らかにすることで、見えない力が働き、事実そのものが歪曲ひどくは闇に葬られる恐れがあるのだろう。あるいは、個人のプライバシー保護の観点からその名を伏せているのだろう。世の中には秘匿しなければ伝わることが難しい事柄が存在する。権力の世界はそれほど不義に溢れていて、プライバシーの問題はそれほどセンシティブで難しい。僕らにできることと言えば、あらゆる情報に対して自ら事実確認を行い、情報を見極める力を養うことくらいだろう。このメディアの記事だから、この人が言っているから、このトピックスだからなど、まさに信頼の拠り所が問われている時代だからこそ、多角的にものごとを自分で判断することが至極大切なのだ。

暗号資産系のニュース記事でも匿名元情報が散見されるが、正直に言って時期尚早感は否めない。メディア業界の習わしに従っていると言われればそれまでだが、ほとんどが「関係者」に頼るほどの内容ではないし、単にビュー目的で無理に曖昧な情報をそれっぽく出しているように見える。ただでさえ世間的にはまだまだ怪しい業界なのに、余計に空気が濁ってしまう。

なんであれ、今の時代「情報」に振り回されぬよう注意したいものだ。


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