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2023年4月 読書

最近Dreamsを読んでいます。全72巻で嫌な予感がしていましたが、やはり長すぎる。今読んでるくだりが新入生歓迎試合(2イニングで没収試合)で、この段階でもう5巻に入っています。先が思いやられるなぁ。

コピペすぎるページを見て反射的に
スクショしてしまった。

あと今更オトナ帝国の逆襲見たんですけど、妙にみさえがエッチに見えて仕方なかった。新たな発見だった。そんで普通に面白かった。


11,鍵のかかった部屋/貴志祐介

奇才の防犯探偵・榎本が、難攻不落の密室事件に挑む!

元・空き巣狙いの会田は、甥が練炭自殺をしたらしい瞬間に偶然居合わせる。ドアにはサムターン錠がかかったうえ目張りまでされ、完全な密室状態。だが防犯コンサルタント(本職は泥棒!?)の榎本と弁護士の純子は、これは計画的な殺人ではないかと疑う(「鍵のかかった部屋」)。ほか、欠陥住宅の密室、舞台本番中の密室など、驚天動地の密室トリック4連発。あなたはこの密室を解き明かせるか!? 防犯探偵・榎本シリーズ、第3弾!月9ドラマ『鍵のかかった部屋』原作!

このシリーズ、尻すぼみになってる気がしてならない。助手の立ち位置である青砥純子という女弁護士が、初期の頃は結構な切れ者として進んでいたはずなのに巻を追うごとにポンコツと化している。

さあ事件の解明パートだ、というところでしゃしゃり出てきて的外れな推理を出してくるので、正直少し鬱陶しさを感じる。2作目から短編にシフトしたのもあって、主人公を引き立たさせるために、完全に舞台装置に成り下がっている。今作はトリック明かしを重視しているので余計にそう思う。

作者の他の作品と比べ、コミカル色が強く、そこまで陰鬱な雰囲気がないのは、新鮮に映って良いとは思う。悪の教典もそうだったが、最後にしょうもないギャグ回のような話を出してくる。ストレス発散か何か知らないが、雰囲気が白けるのを分かってでも出したい人なんだろう。

もしTwitterやってたら、不意にネタツイみたいなものを放り込んでくるタイプ。貴志祐介先生のそういうところも好きだ…。

12,少女には向かない職業/桜庭一樹

あたし、大西葵13歳は、人をふたり殺した…あたしはもうだめ。ぜんぜんだめ。少女の魂は殺人に向かない。誰か最初にそう教えてくれたらよかったのに。だけどあの夏はたまたま、あたしの近くにいたのは、あいつだけだったから―。これは、ふたりの少女の凄絶な“闘い”の記録。『赤朽葉家の伝説』の俊英が、過酷な運命に翻弄される少女の姿を鮮烈に描いて話題を呼んだ傑作。

同じ作者の「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」(以下砂糖菓子)が最近トレンド入りして若干話題になっていましたね。鬱小説ランキングとかいう雑なくくりで1位にされてた。

あんまりそうやって囃し立ててほしくない。ファニーゲームとかも大きく分類したら鬱映画になるんだろうけど、胸糞悪いだけであれ全然面白くないし。単に構造を面白がってるだけだと思う。

どう面白かったかではなく、どれだけ陰惨であるかに意味を見出している。「変な作品見てる奇人」の肩書の獲得が目的にしか見えない。鬱っぽいのを見てるってひけらかすの普通に気持ち悪いことじゃない?内に秘めるからこそ良いものなのに。

脱線しすぎなので、ここらで本筋に戻ります。

ざっくり言うと先の「砂糖菓子」のifルートのように感じました。読み進めてるとすぐにほぼ同じだなと察せます。中学生女子2人がメイン、田舎という閉鎖されたコミュニティ、現実に嘆いてるものの庇護下であり簡単には抜け出せないということ。

相違点として、「砂糖菓子」の方は片方はリアリスト、もう片方はロマンチストになりきり、暗い現実を飲み込もうとした。かたや「少女には向かない職業」(以下少女)は、障壁を物理的に排除することで現実を変えようとする選択を取ってしまったと。

「砂糖菓子」は許される範囲内で理不尽に抵抗しようと試みたものの、結局どうにもならなかったが私は屈することはない。に対し「少女」は理不尽にそのまま理不尽で応酬した結果に、破滅しか残らなかった。

どちらの作品もすごく好きなのだけど、敢えて言うならむしろ「少女」の方が好きだった。なんで「砂糖菓子」ほど知られてないのか不思議に思うけど、ひとえに最初にラノベの文庫から出ているのが大きな要因なんだろうなぁ。

「砂糖菓子」をラノベの状態で出会って読んでいたらめちゃくちゃに絶賛していたと思う。ラノベ奇書なんて分かりやすくカテゴライズされて、祀り上げられてるものだから、カルト的な面も含めて余分に評価されてるのかも。

少女には向かない職業」も面白いので、ぜひ読んでいただきたい。


13,失われた過去と未来の犯罪/小林泰三

全人類が記憶障害に陥り、長期記憶を取り外し可能な外部装置に頼るようになった世界。

心と身体がバラバラになった今、いくつもの人生(ル・ものがたり)を覚えている、「わたし」は一体何者――?

◆女子高生の結城梨乃は、自分の記憶が10分ともたないことに気が付いた。いち早く状況を理解した梨乃は急いでSNSに書き込む――「全ての人間が記憶障害に陥っています。あなたが、人類が生き残るために、以下のことを行ってください」。それから幾年。人類は失った長期記憶を補うため、身体に挿し込む「外部記憶装置」(メモリ)に頼り、生活するようになった。

◆「わたし」の中には、なぜか何人分もの記憶、思い出が存在している。「替えメモリ受験」をしようとした学生の話。交通事故で子供を亡くした父親の話。双子の姉妹の話。メモリの使用を拒否する集団の話。謎の「声」に導かれ、「わたし」は自分の正体をついに思い出す……。

物語の終幕に、「進化の果て」が浮かび上がる。

これ、おもしろ…。小林泰三は今年になって初めて読んだのだけれど、こんなにどストライクな小説家を今まで見逃してたのかとつくづく思う。

本質はどこにあるのか。肉体は容れ物に過ぎず、記憶のみにより個が決定される。魂という概念が可視化できるようになった世界。現実ではありえないこととは、脳では理解しているのだけど、読んでいて現実にまで侵食してきている感覚がする。

まだ作者の作品を3冊くらいしか読んでないのではっきりとは断言できないが、下地に思考実験を置いて話を書くことが多いのだと思う。オタクは思考実験と熊に襲われるウィキペディアが好き。こんなんいいの?と思いながらずっと読んでた。小林泰三の作品が本当に好きだ。

惜しむらくは、既に鬼籍に入っていること。せめて存命のうちに知っていたかったな。チビチビ読んで読み切るのを延ばしていくかな。


14.儚い羊たちの祝宴/米澤穂信

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。

全体通して、ふーんって感じだった。面白いんだけどね。僕自身があまり短編を楽しむ脳になっていないかもしれない。所謂イヤミスってやつ?多分これ自体は好き寄りのジャンルなんだけど、イヤミスって呼称から言い知れぬ気持ち悪さを感じる。

とりあえず変にラベリングするノリやめません?読後悪いミステリー好んで読んでる奴なんかキショキショ人間とかでいいだろ。

1番好きだったのは『北の館の罪人』かな。不穏な空気が流れるなと思いきや、ほっこりさせてきた。と思いきや、やっぱり不穏だった。映画バイオハザードのゾンビ出てくる、人間でした、やっぱりゾンビでしたの流れだった。クソ映画だが。

新潮文庫は栞紐が付いてるので嬉しい。栞紐(スピン)が付いてると得した気分になる。レジ横にご自由にどうぞと栞が置いてあるけど、なぜだか手に取る気はあまり起きない。小さい頃は手作りの栞を図書室でよく見かけたものだが、今になって押し花の栞を作ったりする人なんているのだろうか。

栞という単語自体人の名前くらいでしか見ないような気さえしてくる。電子書籍のソレは栞というよりブックマークの感覚。いや同じ意味だけど。


15,売春島 「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ/高木瑞穂

“売春島"。

三重県志摩市東部の入り組んだ的矢湾に浮かぶ、人口わずか200人ほどの離島、周囲約7キロの小さな渡鹿野島を、人はそう呼ぶ。
島内のあちこちに置屋が立ち並び、島民全ての生活が売春で成り立っているとされる、現代ニッポンの桃源郷だ。
この島にはまことしやかに囁かれるさまざまな噂がある。

「警察や取材者を遠ざけるため客は、みな監視されている」
「写真を取ることも許されない」
「島から泳いで逃げようとした売春婦がいる」
「内偵調査に訪れた警察官が、懐柔されて置屋のマスターになった」
「売春の実態を調べていた女性ライターが失踪した」

しかし、時代の流れに取り残されたこの島は現在疲弊し、凋落の一途を辿っている。
本書ではルポライターの著者が、島の歴史から売春産業の成り立ち、隆盛、そして衰退までを執念の取材によって解き明かしていく。
伝説の売春島はどのようにして生まれ、どのような歴史を歩んできたのか?
人身売買ブローカー、置屋経営者、売春婦、行政関係者などの当事者から伝説の真実が明かされる!

前々から存在自体は知っていたけど、図書館で特に目的もなく本を眺めていたらあったので借りた。ちょうどお金出してまで読もうと思わないラインなのでありがたかった。税金でこんなもん置くな。いや寄贈かもしんないけど。こんなもん寄贈すんな。

流れでニュース記事を漁ったり、ウィキを見てたら、他の言語でも作成されていた。『Cebuano』という見覚えのない言語だった。さっと調べると、フィリピンで多く話される言語らしく、あーと察してしまった。売春婦は日本人だけでなく、フィリピンやタイの不法滞在も多かったようだから、それでなんだろう。

売春島の変遷はこれぞまさしく盛者必衰という感じで面白かった。今はクリーン路線に乗り出して釣りだの自然だのアピールしているけど、まあ別にわざわざ渡鹿野島を選ぶかと言われると…ということだった。売春で名を馳せていた島が『ハートアイランド』を謳って恋人たちの聖地などと売り出している皮肉。

結局売春でしか成立できないので、淘汰されると衰退するという当たり前の帰結だった。タイトルだけ見ると驚くけど、結局は閉山した炭鉱町なんかと大差ないことなのだなと思った。

そういえば店舗型の風俗店は200m圏内に学校や図書館があると出店することができないので新規参入はほぼ不可能って見たな。龍が如くで得た知識だけど。

渡鹿野島には学校施設がないようなので、もしかして新規出店できたりするのかな。新しく開いたところで人が来ないか。そもそも論、学校や図書館がない地域なんて人間がいないか。



 

最近本当に久しぶりに図書館に行った。と言っても近所にある小さい分館だけど。記憶よりもずっと狭くてビックリした。配置はあんまり変わってなかった。あの頃と変わらない位置に妖怪辞典があった。ドラゴンボールが新装版に変わってた。物思いに耽りながら「少女には向かない職業」と「失われた過去と未来の犯罪」を借りて帰った。

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