Netflix『もう子供じゃいられない』レビュー
秋の夜長、中秋の名月、ときたらやっぱり映画。
コオロギ?鈴虫?のりーんりーんをきいているとついつい優雅な時を過ごしたくなりません?
子どもたちも寝静まったので、久しぶりにNetflixで映画を物色。
奥さんと観るのにちょうどよさそうなのが見つかったので、視聴してみました。
https://www.netflix.com/jp/title/81570889
つまらなくはないけど、ちょっと微妙。。。
ポーランドの映画ということで日本や、ハリウッドとは少し違ったテイストが味わえるのかなーと思いきや、いたって普通のホームドラマ。
生活感もよく見るヨーロッパののどかで美しい街、といった感じで、そこに問題や社会の暗部などは描かれることもなく、何も起こらなそうなこと山の如し。
ポーランドの人々のリアルな街での生活感でも入っているのならまだしも、主人公が小学生の男の子ですから、舞台はっぱら家の前の広場と家の中で、広がりに欠けます。
強いてあげるなら、インテリアキレイ!それぐらいです(笑)
主人公の男の子の成長の描き方が雑な感じ
お母さんがいなくても生きていける強さを手に入れること
ゲームの大会で困難を乗り越え、優勝を勝ち取ること
初恋の相手に、自分を認めてもらうこと
たぶんこの辺りが主人公の男の子にとっての試練だったと思うんですが、どれも最後に法に駆け足でふわっと手に入るんですよね。
あまりにも唐突に物語の締めが始まるもんだから、わたしてっきりクライマックスのシーンも主人公の妄想シーン(この男の子は劇中でとにかく妄想にふける場面が多い)かと思っちゃったんですよね。
ガンで入院したお母さんはケロッと治って主人公のもとに戻ってくるし、
ゲームの大会には、練習していなかったくせに優勝できちゃうし、
初恋の相手はさっさと諦めて違う女の子と付き合ってるしで、
「え?どういうこと?」が止まらないラストでした。
おそらく原因は作者が登場人物達を愛しすぎてしまっているせいかと思われます。どのキャラクターにもツラい思いをさせたくなくて結局、誰にも苦しい思いをさせずにハッピーエンドにしてしまっている。
主人公の男の子の成長を描きたいのであれば、お母さんかおばあちゃんが亡くなる、ゲームの大会は努力も一歩及ばず惜敗、初恋相手には思いっきり振られる、こういったポイントを作っておかないと、子どもから大人への成長は描けないですよね。
描きたい事は一つに絞らないとアカンね
せっかく映画を作るんだから、今まで自分が経験したことからくるメッセージをこれでもかと詰め込みたい気持ちはわかります。しかし、おばあちゃんとも、お母さんとも、おじいちゃんとも、親友とも、初恋の相手とも、それぞれの関係性から『いい感じのメッセージ』を発しようとし過ぎて、肝心の『もう子供じゃいられない=成長する』フェーズを駆け足で描いてしまった感が否めないのは、残念。
自分の作った物語に登場するキャラクターは子供のようなものですから、ついつい色んなエピソードを演じさせてあげたくなってしまいますが、物語を始めて見る方は別に作者のことも知らないし、登場人物のことだって好きでも何でもない。物語の作り手はついついこの辺りを忘れて、自分の世界にうっとりし過ぎてしまうのかもしれませんね。
このあたりの「物語は簡潔にせぇ!」っていうのはこちらの書籍で学びました。
物語の面白さを構造的に理解してみたい方にはおすすめです。
ではでは。
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