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哀しきチューイング


摂食障害の症状の中でも、影に潜みがちな『チューイング』。

私もチューイング歴があるのですが、これも過食嘔吐と同じように、とても辛く苦しいものでした。
味わうだけ味わって吐き出すチューイングは、一見都合の良いように思えますが、食べる満足感も得られなければ、体調不良にもなり、食費もかかります。

何より食べ物に対する罪悪感や冒涜感、ただただ虚しさだけが残るのです。

毎晩毎晩、何をやってるのだろう…と思いながら…。
仕事や恋愛、人生が上手くいかない悔しさを、噛み締めて噛み砕いて、吐き出す…という。


どうしても食べ物を拒否したくて、体に入れたくなくて。

どうしようもない事をしているダメな人間だと感じ、自己嫌悪に苛まれてしまったり…。

なにより体に大きな負担がかかり、チューイングによる弊害も生じます。
自律神経の乱れや唾液腺の腫れ、
顔のむくみ、口内炎、胃炎、虫歯など。
私の場合、唾液腺の腫れや胃酸過多による胃炎、胃痛(機能性ディスペプシア)にも悩まされました。

美味しいものを食べて(しっかり咀嚼して)噛みしめて味わって飲み込んで、体の中に取り入れて消化する。
(摂食障害でなければ)
この一連の食行動によって、満足感が得られストレスも解消されます。

それが摂食障害の場合、体の中に取り入れること自体がストレスや不安になってしまうので、不自然とも言える食行動をするしかないのです。
チューイングという行為を知らなくても、気付いた時には自然にしてしまっていた、という場合もあります。

なんとも哀しい現実です。

哀しくて虚しくなりながらも、チューイングをするしかなかった私。
どの位の期間だったのか…しばらくしてチューイングは治まったのですが。
その後は残念ながら、過食嘔吐へと移行していったのでした。


今思うと、過食嘔吐とはまた違った苦しさと辛さがあった気がします。
(なんというか、スピーディーな過食嘔吐とは違って、チューイングは何とも時間のかかる、地味な行為でもありました。…表現の仕方か難しいですが。)


本当に厄介で複雑な病です、摂食障害。


最後までお読みいただきありがとうございました。


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