【因果】

「──それじゃあ、さよなら」
「あ、うん。じゃあね……」
 彼女は素っ気なくにそう告げるとぼくに背を向けた。
 何も言えず彼女の背中を見つめていると、彼女がこちらを振り返った。
「……ありがとう」
「あっ──」ぼくは言葉に詰まった。
 それは彼女に想いを告げたときの返事と同じ言葉だ。
 始まりと終わりが同じ言葉なんて因果なんだ。