映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」を鑑賞してきた。

彼の小説を読んできた中で抱いていたものとはまた違った、別の印象を太宰に見出せた。それだけで、鑑賞できてよかったと思う。

クズ男の象徴としか(それでも私は好きだけど)思っていなかったけれど、そう思わせたのはきっと自分の書くものの中で自分を貶めるような書き方しかできなかった彼の習性ゆえなのかもしれない。だからこそ、第三者の目から見た太宰の生き様にはそれだけでは収まらない様々が詰まっていたんでしょうね。

そして太宰を愛した3人の女たちにもまた然り、伝播した彼のそれが備わっていたのだなと、そう思う。

美しい、だけでは終わらせずにその先の想像を掻き立てさせる監督の素晴らしい映像美ありきの、太宰治と3人の女たちであった。

不良とは、優しさのことではないかしら。
太宰治とはまさにそんな一言につきる人間であり、そうして甘いばかりでない愛を選んだ女たちに私は敬意すら抱く。

そんなふうにして書き上げた人間失格の中に、彼が彼自身を認め得る言葉を残せた事実が、改めてとても愛おしく思えた。

#映画 #鑑賞記録 #蜷川実花 #人間失格 #太宰治

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