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後悔にも、悔しさにも、意味がある。すべては、最後に爆発させるために――小澤彩香さんインタビュー

小澤彩香さんは、2016年11月に行われたGifut(ギフト)カップに参加したことからフレスコボールをスタート。2017年からはすべての大会に出場し、2017年の総合ランキング9位(女子で2番目)という好成績。2018年はペアの風味千賀子さんが奈良に引っ越し、練習時間が取れないながらも女子部門で入賞し続けています。

誰よりもフレスコボールのことを考え、今少しずつ増えつつある女子メンバーの中心で、競技・普及ともに引っ張ってくれているあやっぺさん。昨年もかなりの練習量でしたが、今年はそれを上回る熱量ではないかと話します。それだけ今年にかける思いが強いということ。

たくさん一緒に練習している私は、常にその思いの強さを感じています。今回話を聞いていても、集大成となるジャパンオープンのプレーが楽しみになるインタビューでした。

やったらやっただけうまくなっていくから楽しかった

― フレスコボールと出会ったきっかけは何だったんですか。

小澤 フレスコボールMCの南さんの事務所に所属している子と友だちで、ギフトカップに誘われたのがきっかけです。「バドミントンみたいな大会あるんだけど、どう?」みたいな(笑)。

― 当時のラインのやりとりをTwitterにもあげてましたね。ギフトカップは2人で出たんですか?

小澤 2人で出ました。でもフレスコボール自体はじめてだし、2人で打ってみても、何これ全然続かないじゃんって。2人ともラケットスポーツの経験はなくて、はじめて同士だったので、本番の最高ラリー回数、たぶん3回とか4回でしたよ。

― それ、楽しかったんですか?(笑)

小澤 大会は、楽しかったっていう記憶はあんまりない(笑)。終わった後に、倉茂と亮太が声かけてくれて、打ってもらったら、ラリーが続いて。その時にやっと「おもしろい!」って思ったかもしれない。でも、いざ元のペアに戻ると続かないっていう。それが悔しくて。できると楽しいからうまくなりたいなと思って。

その後の飲み会で、有沙が窪島さんと真剣に話をしてて。泣きながら、「女子に広めたい、増やしたいんです」みたいなことを言ってるのを横目で見て。「青春だな。こんな子がいるんだな」って、有沙とは打っても話してもないのに、私はその熱い思いに打たれて(笑)。それも、やってみようって思うきっかけだったかなと思います。

― 出会ったのは冬場で大会もなかったですが、どんな感じで練習していたんですか。

小澤 私はラケットもすぐ買ったし、当日のうちに地元のテニス経験者の人に連絡して、練習相手をお願いしてましたね。バスケの仲間だったから、体育館に持っていって打ってました。

― 当日のうちに他の人に声かけるってすごいですね。何でそんなに熱心になれたんですか。

小澤 深くは考えてなくて、うまくなりたいっていう思いで。次のときに打って楽しくなかったらやめてたと思うけど、やったらやっただけ上手になっていくから、続けられました。

あとは、芝さんと有沙と3人で打つこととかもあって、たくさん教えてくれたし、芝さんが「めっちゃセンスある」とか、すごい褒めてくれて、完全に乗せられた(笑)。じゃあちょっと続けてみようかなって。

今年も本気でやりたい。完全にスイッチが入ったあの出来事

― 昨年(2017年)1年やってみて、どうでした?たぶん、いろんな感情があったと思いますけど。

小澤 とっても激しかったですね。いろいろありましたね。夏が終わるころには、心身ともに疲れました。膝も腰も壊れてたし、メンタルもやばかったし。

でも、チカコも言ってたように、やりきった感は実際ありました。結果は2位で悔しかったけど、お互いに出し切れたなって納得できて。だからその後1か月、ゆっくり体を休めることもできたんです。

― でも、来年もやるっていうのは、夏終わって結構早い段階で決めてましたよね?

小澤 だけど、こんなガチでやる気はあんまりなかったです。

― それが変わったのはいつなんですか?

小澤 みんなも自分もレベルが上がってるって言うのもそうだし。あとは……“ブラジルストレス”ですよ(笑)。あれがやっぱり一番大きかった。

― 昨年12月ですね。日本代表がブラジルに行っているとき、残された私たちは、消化不良感というか、イライラしてましたね(笑)。あれって、何がどうストレスだったんですかね。

小澤 悔しさ、後悔ですよね。私が何を後悔したかって、行こうとしなかった自分の姿勢なんですよ。会社が休めないとか、理由はあるにしても、1回休めないか聞いてみるとか、何か行動を起こせよって。

なんでそんな簡単にあきらめたんだろうと、できることをやらなかった自分を悔やんでました。それでやっぱり、動画とか送られてくるのを見ると、「くそーブラジル行きたい…!」って。

― 身近なメンバーが行ってる様子が見えてくるって、かなり悔しかったですよね。

小澤 そう。行動すればもしかしたら行けてたかもしれないのに、最初からあきらめてしまったから。ブラジルではすごく盛り上がってる感じがしたし、この時に行きたかったなーって。

― それでスイッチが入った感じ。

小澤 入りましたね。それまでは、来年どうしようかなっていう思いもあったけど、そこで完全に切り替わった感じです。

内輪からでも、徐々にファンが増えていけばいい

― 最近は、Twitterでの発信にも力を入れていますが、はじめから普及への思いはあったんですか。

小澤 最初は自分がうまくなりたいってだけで、そんなになかったですね。でも、最近テレビとかでも取り上げられるようになったけど、メディアに出るのも、SNSで発信しているのも、ほとんど男の人しかいなくて。

でも、有沙のインタビューにも書いてあったけど、窓口というか、入りやすいのは女性なんじゃないかって。女子だって頑張ってるんだぞっていうのをもっとアピールして、女子がわちゃわちゃしてるところとか(笑)、華やかさに人が集まったらいいなと思って。

どんな形でもいいから、フレスコボールっていう名前が知れ渡ってほしい。体験とかじゃなくて、まずは名前が広がったらいいなと思って、小さなことかもしれないけどTwitterはじめてみました。

― 急に思い立ったんですか?急に送ってきましたよね。アカウントつくってみた、みたいな(笑)。

小澤 そう、仕事の昼休みにつくった(笑)。なんか、テレビの取材はいつも男子だなって。華がない、むさい男ばっかりで(笑)。女子が1人2人いるだけで違うのになって。テレビに出だしてからずっと思ってて。

SNSで一番使われているのはTwitterっていうのを耳にして、私はFacebookとインスタはやってたけど、Twitterはやってなかったから、ちょっとやってみようかなーって。そしたら今、けっこう女子メンバーがTwitterで会話したりして盛り上がってて。

まず内輪からでもいいから、そこからファンができていけばいいなって。私は「フレスコボール」でTwitter検索して、ツイートに勝手にいいねしたり、コメントしたり、フォローしたりとか、ちょっとずつやってます。

― フレスコボール用インスタは、最初の方の動画とかから載せてますよね。

小澤 あれは自分の奮闘日記なので、そんなにオープンにはしてなかったんですけど。でもあれ見ると、はじめたいと思った人が、私がうまくなってきた過程がわかって、勇気が湧くかもしれないなとは思います。

最初とか、ほんと、たどたどしいフレスコボールをやってる(笑)。それを見て、「あ、この人だって昔はこうだったんだ」って思えるかもしれないですね。

できることは全部やって、かっこよくブラジルに行きたい

― 話は戻りますが、今年に入って、ペアの状況も変わる中で、前半戦はどんな気持ちだったんですか。

小澤 4月は、正直言ってあきらめてました。練習も大会前1回しかできなかったし、まともにできればいいかな、くらいで。5月は逆に、私が奈良に行って結構みっちりやってきたので、今回はいけるかもしれないって意気込んでたんです。

そしたら空回りして、風は吹くし、帽子は飛ぶし、砂は目に入るし。ラリー中に「もうやめたい、帰りたい」って思いました(笑)。あとから動画見たら、そんなにひどくはなかったんですけど。

― 自分の期待値が高すぎた。

小澤 そうそう。だからもう、変に「いける」とか思っちゃいけないなって。結構今までは、まーやさんに勝ちたいとか、優勝取りたいとかを考えてたんですけど。そうじゃなくて、自分たちがどれだけできるかしか考えなくなりました。

自分たちが何点取るためにはどうすればいいのか、戦略練ってやること。それで自分たちの望んだプレーができたら、結果、優勝がついてくるかもしれないし、それでもダメだったらダメなんだって。だから楽しみではあるんですよ、ジャパンオープン。集大成。

― やることはやって、天命を待つ、じゃないですけど。

小澤 できることは全部やって、いろんな人に頼めることは頼んで。かっこよくブラジル行きたいですよね。

― かっこよくっていうのは何をイメージしてますか?

小澤 私、負けてばっかりだから……。練習してもしても勝てないって、ほんとかっこ悪いなって。でも、私は毎回の結果に、何か意味があると思ってます。

自分たちが思ってたよりできなかった、これはどんな意味があるんだろう。7月チカコと大会に出られない、これはどんな意味があるんだろうって考えていくんです。

それは私の中では全部腑に落ちてて。8月に爆発させるために、きっとそこは、ためておけってことなのかなと思ってます。

― ジャパンオープンで爆発させると。

小澤 今年私たちは距離が開いて、一緒に練習できないっていうストレスがあるから、逆に会って練習できるときのマッチングがすごいのかなと思うんです。毎週打ってるとなあなあになっちゃうけど、今は月に1回できるかどうか。だからこそ、そこにモチベーションを持っていけるっていう。

私は、東京にいるからいろんな人と打つけど、やっぱりチカコと練習したいと思うし、チカコは、ただでさえ練習があまりできないから、練習したいと思ってるし。その気持ちの温度が、ちょうどいい関係になれたのかなと思います。

― それも、昨年1年がっつりやってきたからでもありますよね。

小澤 そうですね。だからやっぱり、打つと安心するんです。本当に。合う合わないとかじゃないんですよね。

去年から続けてるペアは私たちしかいないから、そろそろなんとか1位にさせてもらえないですかね(笑)。もう最近は2人で、ジャパンオープン優勝するイメージしかしてないです。

チカコが、今年のここまでを「最高のシナリオだ」って言ってて。そのためにこれまで優勝してこなかったんだって。だから……やっぱり、チカコと優勝したいです。

― 期待しています!ありがとうございました。

小澤彩香さんTwitter

次回のインタビューもお楽しみに!

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