『JR上野駅公園口』柳美里 2024⑥
上野恩賜公園に「コヤ」を張っていた一人のホームレスの視点から語られる、日本。彼は、福島県の(現)南相馬市に生まれ、東京オリンピックの前年、出稼ぎのために上京、20年家族と離れて働いた。息子の死。妻の死。故郷には戻らないつもりで再び上京し、ホームレスとなった。
人生のやるせなさ、に底のない渦に巻き込まれ落ちていく。
いつもは目を逸らしているものを凝視させられる体験だった。
今、上野公園に行っても、ブルーシートは見える場所にない。彼らはどこに行ってしまったんだろう。
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