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ちょっと遠いけど、自転車で行けるぐらいの範囲だったので、みんなしてそこに行ってなぜか卓球をやる。楽しかったなー。

引っ越してきたのは、ぎり1970年代の終わりごろ、小学校6年の夏休みでした。僕が高校入学したのが1981(昭和56年)年だから、77年かな。そうね、この街ができてまだ半世紀ぐらいなので、街ができてから10年ちょいぐらいっていうタイミングだと思うんですよね。だから何もなかったですよ、本当に。東急もなくて、あそこは更地で盆踊り会場で、みたいな。ヨーカドーと生協はあったけど、あと何もないっていう。越してきたとき、本当にローカルな感じで、すごいなと思った。

地元歴で言うともう40年以上なんだけど、ただなんですかね、僕、あんまり地元地元っていう意識がないんですよね。なんでかなーってずっと思ってたんだけど、多分引っ越してきたのが小学校6年の、11歳か12歳ぐらいでしょ、そうすると、一通りの物心はついている。だからそこで生まれ出るって感じじゃないわけだよ。当時、転校生として地元の公立の山内中学に入って、もちろん地主や昔からの地元の子もいっぱいいたんで、ちょっとよそ者、みたいな。その後、高校は全寮制だったんですね。だから地元を離れていた。そして大学も北海道に行ったからここにいなかった。

小6と中学の3年間だけは、ここにいたけど、高校、大学の割と一番濃い時期にはいなかったっていうのが、多分その一因だと思うんですよね。だからあんまり生まれ故郷みたいな場所がないかな。地元の子たちが、故郷と言えるようなものを持ってるってのはちょっとうらやましいなって思ってましたけど、僕はどっか第三者的なスタンスではありますね。僕は30歳のとき結婚して、新婚時代は国分寺だったんですけど、1999年に第一子が生まれるタイミングで、たまプラーザ団地に引っ越してきました。別にここじゃなくてもよかったんだけど、やっぱりここを知ってるっていうことと、もちろん自分の両親も近くにいるので、実家の近くの方が何かといいかな、みたいな。

小学校のころだったと思うんだけど、よく友達と一緒に山内図書館に行ってたんですよね。ちょっとあざみ野に近いんだけど。そこは地区センターも兼ねた、コミュニティセンターみたいになってて、卓球とかできるスペースがあったのね。あざみ野の駅のすごい急な坂を上りきったところにあるんですね。で、当時はその頂上の山内図書館のところが行き止まりだったんですよ。今は道が開通して、国道246号線の江田の駅の方にまっすぐ行ってるんですけど、当時はそこがどんづまりで周りは山で、なんか地の果てみたいな、もうそっから先行けません、ここでおしまい、Dead End……みたいなとこだったんですよ。で、そこで卓球をやるっていうのがすごく流行ってたんです、なぜか。そんなに真剣にやってたわけじゃないんだけど、なーんか楽しくて。ちょっと遠いけど、自転車で行けるぐらいの範囲だったので、みんなしてそこに行ってなぜか卓球をやる。楽しかったなー。

今は卓球はあるかどうかちょっとわかんないけど、地区センターもまだあるし図書館もある。この辺では山内図書館は老舗の図書館ですね。ここ多分10年、20年だけど、たまプラーザ駅んとこにも山内図書館に返せるポストみたいなのが置いてあるんですよね。たまプラーザ周辺のパブリックの図書館っていうとあそこぐらいしかないんですよ。

街は、昔の風景とかちょっと思い出せないくらいに変わりましたよね。あれここバス停だったっけなー、とか、特に駅とか、もう全然わからないですよ。今もどんどん開発されてるけど、基本的には開発されてから来る人の方が数的にもマジョリティになっていく。それはニュータウンっていうところのね、文化みたいなものを作ると思うんですけど、そういう意味では、田舎にありがちな因習とかしがらみとか、何かそういうのはあんまないですよね。子ども時代には感じなかったんですけど、大人になって、特に親になってから住むようになって、いい意味で来るものは拒まず去るものは追わず、みたいな、割とドライな空気感があって、その空気感はすごい快適です。だから逆に今やっておくべきことをここでやっておこう、みたいな感じにもなる。住んでて気持ちいいですよね。

インタビュー:2021年 夏

このおはなしは2021年No.008号に収録されています。

この度、2014年から発行を続けてきた冊子「街のはなし」1号〜9号を1冊の書籍にまとめることになり、クラウドファンディングを始めました。

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昭和のニュータウンの温故知新。
住民のまちづくりの努力の蓄積と街の成り立ちを共有したい。

100人のナラティブ・地域の変遷と社会の変化を伝える 記憶を記録する本
たまプラーザ「街のはなし」書籍化プロジェクト

すでにご寄付をいただいている方には、御礼申し上げます。とても励まされております。そして、これまでご協力・応援してくださったみなさまにも、オンラインの寄付を通して、書籍化プロジェクトの仲間になっていただけたら嬉しいです

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企画・文: 谷山恭子
写真:小池美咲

編集・校正: 谷山恭子・藤井本子・伏見学・街のはなし実行委員会

発刊:街のはなし実行委員会

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