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子どもたちが通いたい学校って何なのかなって考えたときに、学校での成功経験。これができたよとか、先生に褒められたとか、友だちにありがとうを言われたとか、そういった経験をたくさん積ませることが大事だなと思っています。

今、美しが丘小学校の校長の3年目です。ここへは2017(平成29)年の9月、副校長として来ました。

やっぱり、街全体が一望できるこの学校の校門を出てすぐの百段階段の上が一番好きですね。高台にあるんで、団地の方を見ると、春は青葉、夏は深い緑、秋は紅葉、冬にはね、冬らしい何か空気が張り詰めたような凛とした景色が見れます。特に秋が素晴らしいですね。団地の木々の紅葉がほんっとにきれいですよ。

職員と保護者と共有している学校の方針は、子どもたちが通いたい学校、保護者が通わせたい学校、教職員が働きたい魅力ある学校をつくっていきましょうということです。

子どもたちが通いたい学校って何なのかなって考えたときに、学校での成功経験。これができたよとか、先生に褒められたとか、友だちにありがとうを言われたとか、そういった経験をたくさん積ませることが大事だなと思っています。なので、先生たちにはチャンスメーカーになってください、いいチャンスメーカーとなって、子どもたちが成功経験を味わえるように種をまいておきましょうと言っています。そして、できたところから認めて褒めてあげる。成功経験の小さな積み重ねがその後の自信につながって、失敗に強くなる、そういう研究結果もあるんですよね。そして、うれしいことを家族に伝えると、親もうれしい、先生たちにとっても、子どもが喜ぶ姿を見たり感謝されたりすることによってそれが成功経験になる。何かそういういい循環ができれば良いなっていうふうに思っています。

そして所属感。児童間のトラブルがあったときには、担任ひとりに任せるんではなくって、いろんな先生が関わって一緒に解決していく。そうすることで先生たちの一体感、チーム力みたいなものも上がっていくし、ここに所属しててよかったっていう所属感を持てる。そしてやっぱり子どもたちにもね、このクラスでよかったなって思ってもらいたい。やっぱり友だちや先生から認められれば居心地いいなって思えますよね。そんなふうな学校運営をしています。

うちの子どもたちって、すごく素直で、先生の話とか友だちの話とか、話をしっかり聞けるんですよね。話が聞ける力=理解力の高さなので、割と水準は高くて家庭的にもすごく安定している子が多い。でも僕はいろいろな学校にいて、中には貧困とか虐待とか、いろんな家庭環境の子を見てきています。僕が地域の方にも話を聞いて課題に思ったのが、そういう違う環境との関わりが少ないこと。だからそういう子たちが社会に出たときにそういう現実に出会って、対応に困ったりびっくりしちゃったりするのは、ちょっとどうかなということです。なので学校の中で閉じるんではなくて、地域に出ていろんな大人と関わって、自分で地域に働きかけることによって視野を広げて、街に対する愛着みたいなものも持ってもらいたいと思います。

やっぱり子どもたちが、将来この美しが丘っていう社会を支える存在になるわけですから。今のうちからこの美しが丘の良さっていうのを自分たちで見つけてもらえたらと思って、最近、地域交流の取り組みを始めてるんです。例えば、新一年生のための恒例の学校見学がコロナで中止になってしまった代わりに、今の六年生が、じゃあ学校の紹介ビデオを作ろうっていって、自分たちでiPadで撮影・編集したビデオを幼稚園や保育園の園児さんや保護者に向けて届けたり。そしたらある保護者から、なんて素晴らしい取り組みなんでしょう、入学するのが楽しみになりましたっていうお手紙が来て、子どもたちが喜んで。さっきも言いましたけども、あ、僕たちにもできるんだ、っていう成功経験。なんというのかな、有頂天になれること、何でもこうチャレンジしていこうというような気持ちを持てるようになるっていうのかな、自分がやったことに対して反応や効果が見えると子どもたちはすごく主体的にやる気を持つ。そうやって地域に働きかけて、それが実を結んだことを子どもたちが実感できたら、やっぱり地域に対する思いは、すごく深まっていくんじゃないかなって思いますね。

最近ね、休み時間、子どもと一緒にカマキリを捕ったりしてるんです。休み時間に低学年が校長室に、虫とり一緒に行こうって誘いに来てくれるんですよ。プールの周りの草むらでバッタやカマキリをつかまえたりしています。やっぱり校長になるとなかなか子どもと触れ合えないんで、その時間は私の癒しになってますね。

インタビュー:2021年 夏

このおはなしは2022年No.008号に収録されています。

この度、2014年から発行を続けてきた冊子「街のはなし」1号〜9号を1冊の書籍にまとめることになり、クラウドファンディングを始めました。

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昭和のニュータウンの温故知新。
住民のまちづくりの努力の蓄積と街の成り立ちを共有したい。

100人のナラティブ・地域の変遷と社会の変化を伝える 記憶を記録する本
たまプラーザ「街のはなし」書籍化プロジェクト

すでにご寄付をいただいている方には、御礼申し上げます。とても励まされております。そして、これまでご協力・応援してくださったみなさまにも、オンラインの寄付を通して、書籍化プロジェクトの仲間になっていただけたら嬉しいです

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企画・文: 谷山恭子
写真:小池美咲

編集・校正: 谷山恭子・藤井本子・伏見学・街のはなし実行委員会

発刊:街のはなし実行委員会



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