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「受容する」支援とは。地域での子どもとの関わり方について市民の方と考えてきました

こんにちは、まちのこ団です。私たちはあそび場を届ける活動をメインで行っていますが、活動を知っていただいている方から、講師やパネラーとしての依頼を頂くことがあります。(ありがとうございます!)

今回は、茨城県水戸生涯学習センター主催の講座に4名のパネラーのうちの1人としてお声がけいただき話をしてきました。

テーマは「身近にできる地域での『子ども&保護者』への関わり~『受容する』支援~」。まちのこ団が考える「『受容する』支援」について、また3名のパネラーのお話を少しご紹介したいと思います。

一般社団法人まちのこ団
まちで育つ子どもたちの"原体験を豊かにすること"をミッションに活動をしています。 《主な事業》 ▶︎移動式あそび場づくり ▶︎拠点式場づくり(まちのこベース) ▶企画運営事業|防災/地域コーディネート等
https://lit.link/machinokodan】

講座のテーマ「『受容する』支援」

講座は茨城県水戸生涯学習センター主催の「つどう!つながる!ひろがる!地域づくりプラットフォーム会議」の第2分科会で、テーマは「身近にできる地域での『子ども&保護者』への関わり~『受容する』支援~」

(「つどう!つながる!ひろがる!地域づくりプラットフォーム会議」フライヤー)

講師 
[トータルコーディネーター]
横須賀 聡子 氏(特定非営利活動法人 セカンドリーグ茨城 理事長)
[パネラー]
・栗山 洋一 氏 
(「いば☆きら塾」支援員)
・坂口 暁詩 氏
(森のようちえん あなたとわたし 代表(共同代表))
・坂口 まり 氏
(森のようちえん あなたとわたし 代表(共同代表))
・増田 大和 氏
(一般社団法人 まちのこ団 代表理事)
・北村 利奈 氏
(大子町社会福祉協議会 子育て支援担当)

詳細はこちら:(https://www.mito.gakusyu.ibk.ed.jp/project/regional_cooperation2022/02_family_socialogy

(講座公式ページより)

2022年11月20日(土)の第一回に続き、2023年2月17日(金)が二回目の開催でした。大学生、専業主婦、行政職員(教育委員会、生涯学習課)、団体職員(市町の社会福祉協議会)、福祉施設職員、NPO団体所属の方など13名の参加者と一緒に「『受容する』支援」について考えました。

3名のパネラーが考える「受容する」支援とは?

前半はパネラーによる活動紹介と、それぞれが考える「受容する」支援についてのお話がありました。

栗山 洋一 氏 (「いば☆きら塾」支援員)

「いば・きら塾」
茨城県生活困窮世帯の子どもに対する学習支援事業
(HP:https://mito-kodomo.securesite.jp/wp/business/studysupport/

「いば・きら塾」は、学習支援塾としてただ勉強を教える場所ではなく、子どもたちの居場所になることを意識されているそうです。また子どもたちだけではなく保護者にとっても身近な存在であれるように、親子で参加できる課外学習なども開催しており、例として大子町にある古民家でジビエの料理教室の開催を挙げられていました。

栗山さんは、学習塾で生徒が「宿題の問題がわからないから教えて」と言ってくるまで「待つ」姿勢が大事だというお話をされていました。

(栗山洋一氏)

坂口 暁詩 氏(森のようちえん あなたとわたし 代表(共同代表))

「森のようちえん あなたとわたし」
つくば市で森のようちえん(預かり保育)と週末の森遊びイベントの開催
(HP:https://anatatowatashi.localinfo.jp/

坂口さんは、子どもとの間にあった小さな出来事から、「受容する」支援とは何かについてお話をされていました。園に初めてきてくれた子がいて、その子は引っ込み思案な性格のようでした。しばらくは何もせずにそっと隣にいて過ごしていたら、少ししてその子の方から手をつないできてくれたそうです。「一緒に遊ぼう!」など促すのではなく、その子のペースに合わせて「待つ」ことが大切だということをおっしゃっていました。

栗山さんのお話も坂口さんのお話も、こちらから何かするのではなく、相手のタイミングやペースを尊重し、「待つ」姿勢が大切であるという部分が共通していました。

(坂口暁詩氏)

北村 利奈 氏(大子町社会福祉協議会 子育て支援担当)

「大子町社会福祉協議会 子育て支援センター」
0歳から就学前までのお子さんとその家庭や妊婦さんを対象に、親子で自由に遊べる場、いろいろな人と出会える場、育児情報の交換や相談の場としてみなさんに活用してもらえる場
(HP:http://www.daigo-syakyo.jp/page/dir000083.html

北村さんは、水戸市から知り合いがまったくいなかった大子町に嫁ぎ、自身が“弧”育てを経験する中で、大子町の子育て支援センターに“受容”してもらえたという経験があるそうです。それをきっかけに、現在は子育て支援センターで勤務をされています。

大子町は高齢化率が茨城県内トップの町で、また、昨年度の出生数が36人という衝撃的な数字が紹介されました。1年で1クラスほどの人数しか出生しなかったということは、周り子育てしている人がいない、同級生がいない、などの状況、子育て世代の孤立化がますます深刻になっていく可能性があります。

子育て支援センターとしては、北村さん自身が“受容”してもらったように、子育て世代を孤立をさせないように、これからも“受容”する活動をしていきたいとおっしゃっていました。

(北村利奈氏)

まちのこ団が考える「『受容する』支援」とは

まちのこ団は、みんな「まちのこども」である、という考え方をしています。子どもも大人も皆まちで生まれ、育ち、同じ場所で暮らしたり旅立ったり、帰ってきたり、それぞれの道を歩んでいく。みんな「まちのこ」。これは学生の頃にお世話になった東京・神田の町会長さんの教えなのですが、実はまちのこ団の名前の由来であったりします。

そう考えると、私たちの暮らすまち=社会は、社会が私たちを既定しているのではなく、「まちのこども」である私たち一人一人が社会を形成していて、「まちのこども」である私たちはみな対等な立場であり、そこに優劣や貧富は関係ない。その考え方のもと、自分も含めひとりひとりを尊重し、認め合う。それがまちのこ団の「受容する」支援の考え方です。

(まちのこ団・団長、増田大和)


グループワークを通して感じた熱量

後半のグループワークでは、パネラーと参加者が一緒になって「受容する」支援とは何か話し合いました。

(グループワークの様子)

各グループの発表では、「支援する側・支援される側と分けてしまうと、支援する側の支援疲れや、支援される側が支援に寄りかかりすぎてしまうなどの問題が発生してしまう。むずかしい部分ではあるが、相手を支援対象者として見るのではなく、ひとりの人間として尊重する姿勢が大事なのではないか」という話がありました。

また、グループワークを通して参加者の方とお話をする中で、熱量の高い方たちがたくさんいらっしゃるんだなと改めて感じる機会になりました。教員として何十年も第一線で子どもたちに関わり、リタイア後も継続して子どもや親御さんへの支援を続けている方や、「寄り添う」ということの難しさと真剣に向き合っている方。

子どもたちや支えが必要な人たちのために本気で行動をしている方がこの地域にはたくさんいらっしゃる。私たちまちのこ団もできることをひとつずつやっていこうと改めて気が引き締まる思いになりました。

(写真提供=茨城県水戸生涯学習センター/文=サトウミキ

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