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父さんが母さんになって作るおはぎ|『おいしい家族』

少し前にNetflixで鑑賞した『おいしい家族』が、楽しいごはん映画だったのでメモします。

2019年9月20日に劇場公開。映画監督のほか小説家としても活躍する新鋭ふくだももこ監督が、かつて自身が手がけた短編映画「父の結婚」を長編化した作品。

『おいしい家族』のストーリーは、
銀座で働く橙花は、夫と別居中。仕事もうまくいかず都会での生活に疲れ気味。ちょうど母の三回忌を迎え、船にゆられて故郷の離島へ帰ってきた。すると、実家では父が、亡き母の服を着ておいしいごはんを作ってまっていた!唖然とする橙花に追い打ちをかけるように、見知らぬ居候が登場。それはお調子者の中年男・和生と生意気な女子高生・ダリア。
「父さん、みんなで家族になろうと思う」
突然の父の報告に動揺する橙花とは裏腹に、一切気にも留めない様子の弟・翠が加わり、みんなで食卓を囲む羽目に…。みんなちがってそれでいい。のびのびと過ごす島の人々と、橙花の暮らしがはじまった。
(公式サイトより引用)

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予告編で板尾創路さんの「父さん、母さんになろうと思う」というセリフが印象的で覚えていた作品。ふだん洋画を観ることが多いので、ごはん映画なのにすっかり鑑賞が遅くなってしまいました。

父さんが母さんになって家族のごはんを作る。クスッと笑えるような、それでいて愛がある食卓シーンがたくさん描かれていました。

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▼▼『おいしい家族』に登場するごはん▼▼

すき焼き/伊勢海老/卵焼き(手作りのお弁当)/おはぎ/スリランカカレー/そうめん など

舞台が島だったので、伊勢海老が刺身で登場しました。(いいな〜、ロケは新島・式根島だったようです)
主人公・橙花の弟の奥さんの誕生日には、おしゃれなカレー屋さんで食べるようなスリランカカレーが登場。
バタバタする法事の前に、サクッと食べるそうめんも良かったです。(天ぷらあったかな、忘れちゃったのでまた見直そう)

とくにおはぎは家族の思い出の食べ物ということで、作る過程も描かれていて楽しい。(おはぎってこうやって作るんだ、俵形のお米が可愛い)
おはぎなんて、あんまり食べないんだけど、すっごく美味しそうに見えたなぁ。実家で食べたいな、おはぎ。
そういえば『あん』を観たときも、どら焼きが無性に食べたくなりました。

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ちなみに実際に食事を作ったのは、フードコーディネーターではなく美術スタッフさんだそうです。これだけ料理が出てきて、フードコーディネーターさんが入ってないのは珍しいなと感じましたが、自然な食卓でよき演出だなと思いました!

忘れられない家族のごはんがある人も多いと思う。同じレシピで作っても自分ではその味にならない時は、この映画のように母さんの服を着て、母さんの気持ちになって作るのが正解なのかもしれない。(父さんの場合も)

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悪人は出てこない映画です。父さんの格好も、橙花以外はみんな自然に受け入れている。こんな風な世界になればいいなと心から思う。

ふくだ監督は、生まれてすぐ福田家に養子として引き取られたそう。年の離れた兄も養子ということで、ご両親と兄妹は「全員、血がつながっていない」そうです。監督はこのことを重要な個性と捉えられているようで、そんな監督だからこそ、この少し不思議に見えるけど温かくて可愛い家族を描けたんだろうなと思う。

こんなこと考えてたら、なんだか泣けてきてしまった。家族に会いたくなるな!そんな気持ちにさせる、可愛くて愛おしい映画でした。
(画像は公式サイトよりお借りしました)

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