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【ボヤキ詩】「その言い回し」

「それではご説明させていただきます――」
女は 話はじめた
女は 続けていう
「講師の先生をご紹介させていただきます」
「お手元の資料に書かせていただいた内容をスライドにも映させていただいています」

はいはい
ずいぶん低姿勢で 丁寧すぎる言い回し
早口で感情を込めずに話してゆく

「~させていただきます」
それが 連発される

自分がない 軽い言い回しを
この女だけでない 多くの日本人が当たり前にやっている

まあいい 参加者何十人かのセミナーだ
しかも無料で聞いているんだし
聞こえる言葉に
いちいちイラつく要はない

ネットで簡単にデータを拾い
パワポで見栄えのする画面をつくる
それなりのプレゼンを
多くの人がやれるようになった

そこで語られる言葉が安い 軽い
早口で気持ちのない
AI音声のような語り口
それが あふれている あふれすぎている

自分の言葉で語れ
この女ではない
一番は 政治家
スポーツ選手 芸能人らも……
もう一度いう
自分の言葉で語れ

「~させていただく――」
そこにある自分の意思は
周りからさせてもらっているという
いらない謙譲の姿勢を見せる
それが 薄くうすく 軽くかるい

そんなもの言いに
イラついているのは ボクだけか――

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