創作短編『夫に浮気三昧された女房の話』②
カチカチと時計の針の音が気になり出した。
そう、毎日決まった時間に電話のベルが鳴る。
案の定その電話は定刻に鳴った。
ジャスト24時。
夫は出ようとしない。電話は夫の手の伸ばす位置にあるのに、、。
「もしもし、もしもし…」
またも答えない無言電話。
おそらく、その電話の主を分かっているから出ないのだろうと、疾うにこっちは察しが付いていた。
その場所は月に一週間滞在するとある国にある我が家の別邸。
主人の母が亡くなってから出張について行くようになって早一年。
まるで、いつそこに来るのか分かっているかのように定刻になる電話。。。
そんなある晩、また電話が鳴った。
またかと思いつつも重い受話器を取ると、母国語訛りの日本語でその女は切り出した。
「貴女、奥さん?」
『あなた、誰?』
その後の会話は相手の女の恨み節。
横で寝ている夫は聞こえている筈なのに、身動きひとつせず、寝たふり作戦。
あぁ、やっぱり。電話を切ったあと、深いため息が出た。
明日、夫をどう調理しようかしら?
と、妻はなにもなかったかのように夫のベッドに潜り込んだ。。。
完結。
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