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源氏物語の世界を再現した展覧会 丸紅ギャラリー

東京国立近代美術館の近くにある丸紅ギャラリーで興味深い展覧会が開催されています。来年のNHK大河ドラマは源氏物語の作者の紫式部の人生をテーマになっていますが、2024年は源氏物語やそれに関連して着物がブームになると予感させる展覧会です。

平安時代の女房装束はなんて美しいんだろう、と見とれてしまいます。

NHKの日曜美術館で取り上げられていたことから行ってみました。
源氏物語は仏教とともに日本美術のベースになっている作品だと思います。西洋美術や西洋音楽でも作品に影響を与えた文芸作品はあります。例えば、ダンテの神曲、ゲーテのファウスト、など。宗教のキリスト教は大きな影響を与えていますが、日本では仏教と同じぐらい影響を与えたのが源氏物語だと思います。 

それも広範囲に、時を超えて。

更科日記では作者が源氏物語にあこがれていたことが書かれていますが、当時、源氏物語がよく読まれていたことが分かります。國學院大學博物館には江戸時代の源氏物語の嫁入り本が収蔵されていますが、嫁入り道具の1つにもなっていたようです。

日曜美術館での解説のとおり、当時の貴族の様子を描いた絵画には女性の着物の帯が描かれてなかったり、羽織の間から手を出す絵画がありますが、再現するとそれを実証できたそうです。展示物を見て、なるほど、なるほど、と納得しました。そういう点でも関係者の方々の5年の苦労が報われる、後世に伝承される研究の成果です。

丸紅ギャラリーは、着物姿だと入場料が無料になるという粋な計らいもあります。年末までの企画展ですが、古典好き・源氏物語好きの人にはお勧めの展覧会です。

【ギャラリーのHP】
2023年12月から2024年2月にかけて、丸紅ギャラリーでは、平安時代の女房装束と桃山時代の小袖を連続した形で展覧いたします。いずれも専門家グループによる厳密な時代考証を経て一流の職人の手により再現ないし復元されたものです。前半の展覧会は実践女子大学の全面的な協力のもとに12月1日から28日まで実施いたします。同学は、私立大学研究ブランディング事業「源氏物語研究の学際的・国際的研究拠点の形成」の一環として、『源氏物語』「若菜 下」の六条院の女楽に登場する明石の君の装束の再現を5年の歳月をかけて行いました。仕上がった装束の美しさだけでなく、学問上への寄与、技術の検証、継承という観点からも大変意義深い展覧会ですので、じっくりとご鑑賞、お楽しみいただければ幸いに存じます。

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