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念願の歌枕の竜田川に行く

紅葉の季節に歌枕の竜田川にやっと行くことができました。

千早ふる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは 在原業平
嵐吹く三室の山のもみぢ葉は竜田の川の錦なりけり 能因法師

奈良県の竜田川は紅葉の名所であり、和歌で詠まれる名所・旧跡である歌枕です。竜田川を詠んだ和歌はいくつもありますが、小倉百人一首のこの2首が最も知られていると思います。

その竜田川に行ってみたいとずっと思っていましたが、やっと念願が叶いました。

竜田川の紅葉
竜田公園の地図

竜田川には電車ならJR王子駅が近いですが、今回はレンタカーで行きました。付近には駐車場がなく車を停める場所を探してウロウロしました。結局は竜田川から徒歩10分ぐらいのコインパーキングに停めました。王子駅からですとかなり歩きます。

竜田川の公園

竜田川沿いが公園になっており、両岸を散策できます。

住宅街を流れる竜田川

竜田川周辺は住宅街になっています。

竜田公園

日曜日でしたが、紅葉の盛りを過ぎていたせいか、私のような観光客らしき人とは数人しか会いませんでした。観光地という風ではなく地元の人の散歩コースになっているようです。

小さい川ながら一級河川
護岸整備された川

和歌のような紅葉で深紅に染まる川面を見ることは出来ませんでしたが、古に思いをはせて川沿いを散策しました。
紅葉が綺麗なところは竜田公園の付近ですが、下流には三室山があります。山といっても標高数十メートルの小高い丘ですが、歌碑があります。

三室山の麓にある歌碑

百人一首の本の解説では、この2首は実際に竜田川の実景を見て詠んだのではなく、能因法師の歌は内裏歌合のために作られたもの、業平の歌は二条の后の邸の屏風絵を見て作ったもの、とあります。それでも歌碑を見ているとついにここに来ることができたと感慨深いものがあります。

三室山は竜田川沿いにありますが、山の紅葉と川はやや離れています。能因法師の歌は三室の紅葉が竜田川に流れ込む風景になっていますが、地理的にみると想像で詠んだことが分かります。

三室山から見た竜田川
三室山から見た竜田川

今回、実際に行ってみて、紅葉が綺麗な名所は他にたくさんあると思いましたが、ガッカリすることはなく、平安時代の歌人たちが思いをはせた川・もみじ・山をこの目で見て、歩き、空気感のようなものに我が身を置くことができた充実した半日でした。


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