見出し画像

ボーっと生きてるとチコちゃんに叱られる。

「ボーっと生きてんじゃねぇよ!」
先日実家に帰ったときのこと。母と姉の会話の中で、時々出てきた言葉だった。どうやら、我が家で流行っているらしい。言葉だけを聞くと結構厳しい叱責だけれど、二人は笑いながら話していた。

私は「なにそれ? なんや、えらいガラ悪いやん」と、不思議そうにたずねたところ「あれ? 知らん? おもしろい番組が始まってんで。あ、明日の朝も放送されるし、見てー」と、姉に言われた。

土曜日の朝、朝食を食べ終えて、ボーッと新聞を読んでいたら、「昨日言うてた番組始まるわ」といい、テレビを付けた。

土曜日の朝8時15分から、そんな厳しく叱責される番組があるなんて。どんな番組だろうか?

そう思ってテレビ画面をみていたら、始まった番組は「チコちゃんに叱られる!」という斬新なタイトルのものだった。NHK、思い切ったタイトルつけたものだ。

司会者はナインティナインの岡村隆史さん。そしてチコちゃんというキャラクター。設定は五歳。チコちゃんのおもしろいところは、身体は着ぐるみだけれど、顔の表情はCGで合成されている。そのために、かなり表情は豊か。声はキム兄(木村祐一)が担当していて、チコちゃんのキャラクターを独特なものとして際立たせている。

おもしろいなーと思って見ていたら、チコちゃんから質問される。「ねぇねぇ、この写真に写ってるケーキ、どれがショートケーキかわかる?」
司会の岡村さん、ゲストの田中美佐子さん、佐藤健さんが「これだ!」という明確な答えを出せないままでいると、チコちゃんに、
ボーっと生きてんじゃねぇよ!」と、顔を赤らめて怒鳴りつけられるのだ。ただ怒鳴られたところで、あまり怖くない。むしろ怒鳴られるのを待ちたい。

「あんまり知られていない雑学クイズ」も、あー、なんやったっけ? 分かりそうやけど……、とテレビを見ながら考えたりできる内容だ。もう何年も前にフジテレビで放送されていた「トリビアの泉」に近いだろうか。
ちょっとした雑学はみんな、知っているようで知らないことも多い。何気なく行っている動作はなぜ行われることになったかも知らない。クイズの解説の後には「諸説あります」という注意書きがされているものもある。けれど、知らないことを知りたい、という知識欲もこちょこちょとくすぐられる。

何より、チコちゃんという強烈なキャラクターの虜になってしまう。ちょっと生意気そうな顔立ちに、昔ながらのおかっぱ姿。ちびまる子ちゃんにいじわるエッセンスを数滴垂らした感じだろうか。奈良美智さんが描く女の子のような面影もチラリと感じる。キム兄の喋り方はちょっとイラっとさせられるけれど、チコちゃんのユーモラスで豊かな表情に騙されてしまう。決めゼリフの「ボーっと生きてんじゃねぇよ!」も、初めて聞いたときはさすがにギョッとしたけれど、何度も聞いているうちに「ハイ、キタコレ!」とにやけてしまうようになる。

姉が毎朝使用している基礎体温計(口の中に体温計を入れて体温を測る)を、父がこっそり、脇の下に入れて体温を測ってみようとしたらしい。けれど、電源ボタンの場所が分からず計れなかったと白状したときにも、「ボーっと生きてんじゃないよ!」と姉に怒られていた。 

母や姉の間で流行るのも、無理はないし、たぶん私も夫に向かって言ってしまいそうだ。まずは一緒に番組を見て、チコちゃん(五歳)の魅力に取りつかれてもらわなければ。

この記事が参加している募集

コンテンツ会議

最後まで読んでいただきまして、ありがとうござます。 スキやフォローしてくださると、とてもうれしいです。