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正義のヒーローに作業効率を求めてはいけない

「この戦いかた、すごくいいと思わない?」

夫にむかって、私が考えた戦いかたを説明すると、夫は苦笑いをしながら「いや、でも週刊少年ジャンプで、その戦闘方法はダメなんじゃない。ましてや、ルフィだし」と否定された。

多くの人が知っていると思うのだけれど、ルフィというのは週刊少年ジャンプで掲載されている「ONE PIECE」という漫画の主人公だ。悪魔の実を食べて、身体がビヨーンと伸びるゴム人間になっている。

私がゴム人間ならば、もっとずるい戦い方をするだろうなーとなぜかふと思ってしまった。なぜかはわからないけれど、ゴムの特性をもっと活かせばいいんじゃないだろうか、と。膨らんだりはしているけど、もっと戦いに有意義に活かせるんじゃないかと考えたのだ。

その結果、ふたつ思いついた。

まず、身体全部がゴム、ということは切った爪や髪の毛なんかもゴム、ということだと推測する。そのゴムをうすーく伸ばして、シート状、あるいは風船のように加工する。コンドームぐらいの薄さがちょうど良いかもしれない。それを敵の顔にぺたりと密着させるというもの。シート状ならば、眠っていたり、走っているときにペッタリと顔にくっついてはがせないならば敵は窒息するだろう。風船状の場合はもっと強力で膨らませた風船ですっぽりと頭部を覆うのだ。たまにお笑い芸人でストッキングを被っていたりするけれど、あれの風船バージョンだと思ってもらうとわかりやすいだろうか。これも、窒息させるには手っ取り早い。

もうひとつの方法は、輪ゴム状の武器。ビヨーンと伸びて、首に巻きつかせる。そこで、そのゴムがぎゅっと縮まれば首を絞めたような効果があるはず。手っ取り早く、敵を気絶させられる。手や足を縛ることもできるだろう。

この戦法を夫に話すと、「それは、暗殺向き。正義のヒーローっぽくないからダメ」と却下された。

うーん、確かに暗殺っぽいかもしれないけど。作業効率は早そうじゃない? というと「大事な戦闘シーンを作業効率って言っちゃダメ」と言われた。確かに、物語の世界観はぶち壊しだけれど……。

わりと最近出てきた敵に「餅の能力」を持っている敵がいる。(餅の能力ってなによ? と思う方もいるだろうけれど、まあ、餅の性質だ。伸びたりとか、硬い餅とか)それも「餅なら小さくカットして喉にひゅっと入り込んで気道を塞げばすぐに相手を殺せるのに」と、言ったところ、これまた夫に「確かにそうだけど……」とあきれられた。餅で包んで窒息させる、という攻撃はしていたから、やろうと思えばできるだろう。

ただ、どちらにせよ、かっこいい戦い方ではないし、夫の言うとおり、私の思いつく戦闘方法は暗殺向けだ。どちらかといえば忍者とかならアリかもしれない。

正義のヒーローは、正面から向かってくる敵に対して、ずるいことはしないで面と向かって戦うもの。そう決まっているのだろう。

だけど、正面切って「うおーーーー」と戦うよりも、「こうすれば勝率が高くなりそうだ」という戦法があるなら、それを使ってもいいんじゃないかなーなんて思う。多分私がゴム人間になったら、そういう戦い方をする。エレファントガンみたいな攻撃を思いつかない。敵の数が多いなら、倒すための作業効率を考えてしまうに違いない。とっさに殴る、とかはあるにしても。

私の思考はどうやら正義のヒーロじゃなく、暗殺者か、必殺仕事人に向いているのかもしれない。

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