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スンダで信じられている迷信パマリ(Pamali)のご紹介

どういう経緯で迷信の話になったのか忘れてしまったのですが、スンダには日本と同じようなタブーがあり、パマリ(Pamali)と言います。

夜中に爪を切ってはいけないとか、口笛を吹いてはいけないとか日本と同じタブーがあり、とてもおもしろいので紹介します。


1.ドアの前、階段の下に座ってはいけない。

これをやると結婚できないとも、病気になるとも言われています。おそらく単に邪魔になるから迷信で怖がらせてやらないようにさせているのだろうと思います。
実際、階段の段差を利用して椅子代わりに座っているインドネシア人がいて邪魔だなと思ったことが何度もありますので、これはいいぞと思いました。

2.お皿にご飯を残しておくとあなたのペットが死ぬかもしれない。

米粒一つ残さないで綺麗に食べることが賞賛される文化ということです。農耕の国ということがよく分かりますね。わたしも子供のころは一生懸命作ってくれたお百姓さんに申し訳ないからごはんを残すなと言われて育ちました。
日本と似ていると思います。

3.夕方以降に外出するな。

悪魔に誘拐されると言われています。
クラスメイトや近所の人たちを見ると、そんなタブーがあるとはとても信じられませんが、あるようです。おそらく電気のない時代の名残と思います。
インドネシアにはお化けの話がたくさんあり、記事の末尾に書きたいと思いますが、お化けが身近な存在です。
他に、わたしがよく脅されるのは夜中の0時以降に町を出歩くなということです。ジョグジャカルタをはじめいくつかの町では、強盗目的ではなく単なる根性試しに人を殺すという野蛮な行為がいまだに行われているようで、「お前のような外国人は恰好の獲物だから気をつけろ」と言われています。

とても信じられませんが、わたしは気を付けています。

4.くちゃくちゃ音を立てて食べ物を食べるな

野生の動物を引き寄せると信じられています。
日本でもお行儀が悪い行為と言われていますが、お里が知れるくらいのダメージで、迷信的なものはないと思います。
お箸をうまく使えない、魚をきたなく食べる、くちゃくちゃ音を立てて食べる、左手を使わないが日本の代表的なマナーが悪いかと思います。
インドネシアでは左手は不浄の手ですので、ももの上に置いて右手だけで食事をしている人をよく見ます。

5.チョベック(石のすりばち)を使って食事をするな

インドネシアはサンバルをすりつぶして作るときに、石のすり鉢とすりこぎを使います。日本のすり鉢と違って深くなく、かつ石でとても重いので、こんなんでわざわざ食べたがる人はいないだろうと思うのですが、タブーになっています。

Wikipedia「Cobek dan Ulekan」より引用

6.夜に爪を切るな

病気になると言われています。わたしは「親の死に目に会えない」と聞いて育ちました。日本では自分が病気になるより親の死に目に会えないことの方がより深刻なんだというと、クラスメイトは少し驚きました。
なぜ夜に爪を切るなと言われているかは、暗くて深爪してしまうからではないかと説明したら、インドネシアと全く同じでした。

7.家のなかで口笛を吹くな

幽霊を呼び寄せるそうです。日本だと夜に口笛を吹くと蛇が来ると言われているというと、ふーんという反応でした。
まあ確かに蛇がやってきたら嫌だよなという感じです。
調べたら日本でも幽霊が来ると言われているところも多いようですね。

8.クロネコをひき殺したら適切に埋めないと7日間不幸な目にあう

クロネコが不吉な存在だというのは、スンダの伝統というより西洋の概念が入ってきた影響だという意見もありますが、不吉と思われています。
わたしの寮のスタッフは夜にクロネコを見ると、「そこにお化けや幽霊がいる証拠だ」といって怖がります。
おそらく、クロネコでもどんな動物でも死骸を放置しておくことは、病気の蔓延につながるので、町を清潔に保つための工夫ではないでしょうか。

9.夜に塩を売買しない。

スンダやジャワでは、黒魔術に塩が使われるため、塩を売ることで誰かを呪う行為に加担したくないという気持ちから塩を売らないとなったようです。
わたしがジャカルタに駐在していた20年近く前は、まだ黒魔術の話題が日本人駐在員の間でも都市伝説的に語られる時代で、わたしも投資先の従業員をリストラしたときに黒魔術をかけられた(噂レベル)ことがあります。

インドネシアで黒魔術が身近なことは、インドネシアの刑法に黒魔術をかけることを禁ずる条項があることを見れば明らかです。日本だと安倍晴明が活躍した平安時代の話が、インドネシアではいまだにあるのです。

11.テーブルに座ってはいけない。

借金が増えるそうです。わたしもテーブルに人が座っているのを見るとイラっと来ますね。

12.日没時に遊んでいるとコウモリに連れ去られる。

子どもに遅くまで遊ばず早く家に帰ってこいという教えですね。日本でも夕方は「逢魔が時」悪魔に出会う時間と言われていますから、似ているかもしれません。

13.おならをして恥ずかしがっている人を笑ってはいけない

貧困になるらしいです。なぜ「おなら」なのか。単純に失敗して落ち込んだりショックを受けている人を笑ってはいけないとすべきような気がします。

14.立ち食い、立ち飲みをすると病気になる。

日本でもお行儀が悪いとされている行為ですね。

興味のある方向けに、パマリ大全のような書籍があり、ネット上で読めます。全部で150個のパマリが列挙されています。


おまけ:インドネシアのおばけ

インドネシア語でお化けはハントゥ(Hantu)と言います。ちなみに幽霊はポチョン(Pocong)と言い、ハントゥの中に入ります。
さらにイスラム教にはジンというこの世のものではない存在がおり、よいジンと悪いジンがいます。ジンの中にハントゥが入ります。

Hantu Kuyang:顔だけの女性が足りないパーツを求めて赤ん坊を食べて回るという恐ろしいお化けです。絵を見ると、髪の長い恐ろしい顔の女性の頭に内臓が垂れ下がっていて、最初胴体が蛇かと思いました。腸が蛇のしっぽに見えたわけです。
これは気味が悪いお化けです。

Hantu Tuyul:マレーシアにもいるお化けです。インドネシアが3歳児に対し、マレーシアは大人という違いがありますが、やることは同じでお金を盗むお化けです。
「そんなに怖いお化けじゃないね」と私が言ったら、お金を盗まれるのはインドネシア人にとって恐ろしいことなんだという反応でした。
わたしは、「日本だとお化けではなく貧乏神という神様だ。」と説明し検索画像を見せました。「貧乏神はごちゃごちゃ汚いところが大好きなので、部屋を整理整頓してきれいに掃除しておくのが一番いいんだと」というと、イスラム教のジンも同じだと言っていました。
「どうかわたしたちの家を出て他所の家に行ってくださいと祈るんだ」と説明したところ、他所の家が困るじゃないかと笑っていました。考えてみたらその通りですね。

Hantu Tetek:これはわたしからすると愉快なお化けで、日本語に訳すと乳首おばけです。
最初クラスメイトが小声で説明するのでよく聞き取れず、「何?ハントゥ テテック?」とカフェの中で聞き返したら、大きな声で言ってはいけない単語だったらしく、後ろを振り返りながら、「あーだめだめそんな大きな声で言ったら」と大笑いになっていました。
とんでもない巨乳の女性が攻撃してきて窒息死させられるというマレーシアのお化けです。

わたしは宇宙人、UFO、幽霊といったオカルトを信じているので、インドネシア人とは話が合うほうです。
霊感はまったくないので、幽霊を見たことはなく、金縛りにあったことがある程度です。

インドネシアにも金縛りはあります。あと、幽霊を見ることができる人は眉間にある目(チャクラ)が開いている人で、良い意味でとらえられているのに驚きました。


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