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インドネシアの島めぐり26日目 ティドレ島観光 島を1周30キロ 絶景温泉を楽しむ

昨日のテルナテ一周に続き、今日はオジェックをチャーターしてティドレ島を一周した。
ティドレ島には砦5つ、温泉2カ所、それに王宮があり、見どころとなっている。他には美しい浜辺がフォトスポットだ。

島は全体的に人口が少なく、町はこぢんまりしている。5世紀前に覇権を争ったテルナテ島にはだいぶ差を広げられた感じがする。
その分、町並みはスッキリしているし、道路は広々している。人々も幾分かのんびりしている印象だ。

わたしは昨日自分でバイクを運転してテルナテ島を一周したが、ティドレ島の方を自分で運転すべきだったと思った。道が走りやすいうえ、景色もこちらの方が海沿いを走っている感じがして良い。


ティドレ島への行き方

テルナテ島から向かう場合、スピードボートで向かうことになるだろう。
いくつか乗り場があると聞いたが、わたしがオジェックの運転手に連れて行ってもらったのは、バスティオン港(Pelabuhan Bastion)。
カラマタ砦の少し手前を海沿いに入ったところにある港で、ごちゃごちゃしていて港らしい活気に満ちあふれている。

オジェックは行きは20,000ルピア(200円)で行ってくれたが、帰りは25,000ルピア(250円)かかった。しかも遠いと文句を言われた。

港では、ノートに名前を記帳してもらい、料金15,000ルピア(150円)を支払う。
いつ出るのか聞いたら人が揃い次第すぐに出るという。何となくバスやベモみたいな気軽な感じがする。

船は15人+船員2名で5分も待たずに出発した。10分または15分おきに出ている感覚。
こんなに気軽に行き来できるとは想像していなかった。

船は小さいので、水面が手が届くくらい近くに見え、波しぶきもかかる。
そして、何より驚いたのは二つの島の近さ。ちゃんと時間を計るのを忘れたが、多分10分かかっていない。
町にはそこら中に桟橋や港があり、〇〇ターミナルという看板が出ている。この町の住民にとって、船による移動はバスに乗るような身近な存在と思われる。

ティドレ島内の移動手段

到着するとオジェックが声をかけてくる。車もあるようで、車の勧誘もある。
わたしはバイクにするつもりだったので、そのように伝えたところ車の運転手はあっさり引き下がり、バイクオジェックは一番に声を掛けた人間がその客を取れると決まっているらしく、「俺が最初だよね」と運転手が主張すると、他の運転手たちは引き下がっていった。

一種のカルテルのようで、ぼったくってくるんじゃないかと思ったら、全くそんなことはなく、150,000ルピアで島を1周、砦4ヶ所、温泉に寄ってもらうことになった。
プラスして、名物料理の「ゴフイカン」を食べさせる店にも連れて行ってもらうことになった。
わたしは1日貸切だから300,000ルピア(3000円)はいくだろうと思い、キャッシュを多めに持って来ていたので驚いた。

考えてみれば、小さい島なので、どれだけ寄り道しようと、2,3時間あれば一周できてしまうことを考えれば、妥当な価格だった。

ちなみに運転手の昼ごはん代はわたしが払った。ジャカルタ駐在時代から、食事をする時はいつも運転手と一緒と決めていて、支払いもこちらでする。

1.ルム(Rum)砦

船はティドレ島のRum港に着くので、砦は同じ地区内にある。港から500メートルくらい。時計回りに回っていくと最初のポイントだ。

ただ、ここには記念碑くらいしかなく、構築物らしい痕跡は見つからなかった。
道路の土台にそのまま使われていそうな石垣があり、もしかしたらそれが砦の痕跡の可能性はある。

テルナテ島は目の前

ここはスペインが建てた砦で、ティドレ島は基本どの砦もスペインが建てている。
テルナテがポルトガルと同盟を結び、ティドレはスペインと同盟を結んでいた。
世界一周をしたマゼラン隊が、マゼランをフィリピンのマクタン島で殺された後に立ち寄ったのが、このティドレ島だ。
マゼランはモルッカ諸島への航路を探している途中だったという。

この砦にはマゼラン隊の上陸記念碑がある。

2.アケサフ温泉

砂浜に湧く温泉で、運転手によれば小さいのと大きいのがあるという。とりあえず両方行きたいと伝えていってもらう。
まずは手前にある小さい方の温泉に行った。
インドネシアで初めて入る海辺の温泉だ。

道から浜辺に向かって舗装された階段状の坂道を下っていく。

岩だらけの浜に出てちょっと進むと、幅2メートル、長さ3メートルほどの湯だまりがある。先客が2名いて、足湯をしていた。地元のカップルだ。
わたしは一言断ってから、パンツ一丁で入った。

素晴らしい温泉だ。薄く塩味がするが海水よりも塩分はかなり薄い。
そしてお湯は底の砂からふつふつと湧き出ている。とても新鮮なお湯だ。

わたしが最も気に入ったのは景色で、見渡す限り海が見える。
東伊豆に黒根岩風呂という絶景風呂があり、そこも大海原を見ながら波打ち際でお湯につかることができる。わたしが個人的に伊豆の温泉でトップ3に入れている最高の温泉だ。ここはその温泉を総合力で凌駕するレベルにある。

向こうに見えるのはハルマヘラ島

大きい方の温泉

運転手によれば、大きい方は小さい方に比べてあまり良くないという。
でも見てみたいから行こうとうながし、向かってみる。
行ってみると浜へ抜ける門が閉まっていた。運転手は素早く別の小道を見つけ、集落を通り抜けて温泉に向かってくれた。

聞けば休みではなく、係のものがどうせ客は来ないだろうと思い、仕事をしていないだけだった。インドネシアではよくある話だ。

温泉は公園のようになっており、閉まっている売店らしき小屋が並んでいる。
日曜日は激混みの人気スポットだそうだ。

肝心の温泉は、見た目はイマイチだ。
入ってみるとお湯はいい。ちゃんと底から湧き出ていて新鮮な感じがする。塩分は先ほどの温泉よりさらに薄まっている気がする。

浴槽の大きさは先ほどと変わらない。
小さい、大きいというのは、温泉地としてのエリアの話で、浴槽の話ではなかったようだ。
景色が水色の壁で遮断され見えない分、わたしはこっちの温泉の評価を下げた。
運転手は気が合うなという感じで納得していた。

どちらの温泉にもゴミが全く落ちていなかった。インドネシアではとても珍しい。誰かがちゃんと掃除してくれているのだろう。
とても嬉しい気持ちになる。

3.トッレ(torre)砦

こじんまりとしているが、綺麗に形が残っている。
地形的には、粘度の高い溶岩が山から流れてきて盛り上がった形のまま冷えて固まった突端を利用して砦にしている。

ゴツゴツした岩だらけの急坂を登って行くと半径20メートルほどの円形の砦に着く。

この砦は、テルテナを追い出されたポルトガルが建てたと言われている。

4.タフラ(tahula)砦

トッレ砦のすぐ近くにある。
トッレを過ぎると、王宮がある。現在のスルタンはジャカルタ在住のため住んでいないらしいが、閉ざされた門の中を覗くと人々が庭仕事や掃除に勤しんでいて、まだ使われているのがわかる。

王宮を過ぎるとすぐに砦の案内が出てくる。
この砦もトッレ砦と同じように急坂を登った上にある。登ってみるとわかるが、港と町を一目で見渡せる好立地で、かつ3方向が急斜面になっており防御面も優れている。

小さくて見にくいが、写真の一番左上の建物が王宮


砦の原型は比較的よく保たれており、城好きなわたしとしてはテルナテ島の砦も含めてここが一番好きな砦だ。

5.名物料理のご紹介

テルナテの名物料理は2つあり、ゴフ・イカンとポペダという。
どちらもとても珍しい食べ物で、インドネシアの他のエリアではまだ見たことがない。

(1)ゴフ・イカン

テルナテでは刺身を食べられると聞き楽しみにしていた。
いつでもどこでも食べられるわけではなく、朝から昼までで、場所は港近くの魚料理屋で出てくる。

わたしはとても気に入った。日本に帰ったら絶対に作ろうと思ったくらいだ。
今まで食べた料理の中で一番似ているのはハワイのポケ。といってもハワイには行ったことがなく、カリフォルニアにいた時に食べただけだから、間違えている可能性はある。
備忘録も兼ねて、材料と作り方を書いてみる。
材料
- マグロぶつ切り
- 唐辛子
- バワンメラ(赤わけぎ)
- 小ネギ
- バジルの葉
- レモン汁(量は多く感じた)
- パームオイル
- 塩

作り方
マグロは小さく切ったあと湯引きする
唐辛子と小ネギはざっくり切り、バワンメラは薄くスライス
レモンを絞ってタネを取り除く
マグロと上記の材料とパームオイルを混ぜてしばらく置く(待ち時間から考えて30分以上は寝かしていたと思う)
最後バジルの葉をちぎって入れて混ぜ合わせて完成

作っているところを特別に見せてもらった

元々は漁師料理だという。
熱々のご飯にゴフイカンをたっぷりとのせて食べると最高に美味い。

わたしが日本で作るならば以下のアレンジを加えるだろう。
- 唐辛子は使わず、にんにくと生姜のすりおろしに変える(わたしが辛い料理が苦手なため)
- 油は胡麻油かオリーブオイルに変える(パームオイルはちょっとくどかった)
- 刻みノリを最後かける
- マグロは湯引きではなく柵ごと表面をレアに焼いてから切る

(2)ポペダ

サゴ椰子の樹木から取れる澱粉を使い、熱湯をかけて混ぜると粘着力が出てきて、半透明の白いノリみたいな状態になる。
これをスープに入れて食べる。

サゴ椰子の澱粉については以下の調査が詳しい「サゴでん粉の特性と調理適性」愛国学園短期大学 副学長・教授 平尾 和子

https://www.alic.go.jp/content/000125759.pdf

サゴ椰子からどうやって澱粉を取り出して、それをどう調理するのかを調べたかっただけなのだが、このレポートは世界中でいかにサゴ椰子が利用されているか、他の澱粉食品と比較して優れた点が書かれておりとても参考になった。

木を食べるという発想は天才的だと思う。

ところで味の方だが、可もなく不可もなくという感じだ。サゴ椰子自体に味があるわけではないので、スープの味に左右される。
スープはわたしの時は3種類あった。

いずれも少し辛めで酸っぱめ。魚のアラを使って出汁をとったスープに、薬味形の素材を入れている。

それとポペダの場合、料理の提供方法がパダン料理に似ており、ずらっと料理を並べて好きな食べ物を好きなだけ取って後から請求される形式だ。

パダン料理が辛く脂っこいのに比べると、ポペダはさっぱりした野菜の炒め物や煮物、または魚の唐揚げか干物の塩焼きで、わたしとしてはこっちの方が食べやすい。

余計なおせっかいだとは思うが、ポペダに欲しいスープのレパートリーをわたしなりに考えてみた。
(1)お汁粉風
あずきと砂糖の甘みととても合うと思う。
(2)黒蜜きなこ
またもデザートになってしまったが、クズに似ている感じがするので合いそうな予感。
(3)フカヒレスープのフカヒレなし
フカヒレも味がなくスープの味なので、ポペダも合うんじゃないかと思う。あまり高くなると郷土料理にならなくなってしまうのが難点だ。
(4)冷や汁
宮崎の郷土料理の冷汁と合う気がしている。暑くて食欲がない日でも、ポペダに冷汁をかければたくさん食べられそうだ。

テルナテ島で泊まるのは今日が最後。明日の昼便でモロタイ島に行く。
最初は嫌な感じのスタートだったが、3泊目に入ればホテルの近くで顔見知りもできてくるし町がだんだんと好きになってくる。
さみしいと感じ始めれば潮時だ。

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