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初めての手料理

キッチンへ行くと、

「・・・本当に何もないね。笑」

「でしょ?笑」


あきとさんの冷蔵庫には、

・お酒

・おつまみ系(チーズやハムなど)

・卵

・納豆

・豆腐

・市販の刻みネギ

くらいしかなく・・・。


「どうする?ピザでも頼む?」

「いや、作るよ!お金もったいない!なんか使っちゃダメなのある?」

「ない!お好きに!」


結局私が作ったのは、オムライス。


玉ねぎの代わりに、刻みネギを。

お肉の代わりに、サラミを。

ピーマンもないから、キャベツを。

ケッチャップも少なかったので、中濃ソースと醤油を足して、デミグラス風に。


本当に、こんなのオムライスと呼ぶ?というオムライスを作った。


「できたよ〜〜。味の保証はなしね!」

「うまそーーー!お子様ランチみたい!!笑 テンション上がるね!!」

「本当はこういうとき、家庭の味!みたいのをパパッと作るのが理想だよね、ごめん。笑」

「いや、あんな冷蔵庫の中身でよく作れたね。オムライスの発想すらなかった!」


「うんまぁぁぁぁああああーーー!!!やばいね。うまいよ。まじうまい」


そう言って、あきとさんは、オムライスをあっという間に平らげてくれた。


その日は、テレビを見たり、

私の文化祭の写真を見せたり、

最近の高校生ブームを話したり、

あきとさんは、全て笑顔で、時に爆笑をして、

あきとさんはワインを、私は烏龍茶を飲みながら、

あっという間に時間は過ぎた。


母に連絡を入れ、あきとさんの家に泊まり、

ネットで私のパジャマを選んでくれて、注文をした。


途中、歯ブラシと化粧品を買いに、

コンビニへ二人で行った。


その帰り道、あきとさんは私に聞いた。


「ねえ、れいちゃんは、若いし、学校に好きな人できたりしないの?」

「んーー、前の高校のトラウマもあって、なんか怖いかな。」

「そっか。俺でいいの?」

「なんでそんなこと聞くの?笑 今の所、あきとさんがいいかな。」

「今の所って! まぁ、そうだよね。」

「先のことは分からないけど、あきとさんのことは一生忘れない自信がある。」

「俺も。出会いが駐車場って。笑 なかなかないよね。笑 インパクト強すぎ。笑」

「確かに!あきとさんに出会ってなかったら、私、今どうなっているか分からないもん」

「れいちゃんは、きっと俺と出会わなくても、ちゃんと次の道に進んでたよ。絶対。」

「そうかなーー?じゃあ出会わなきゃよかった!笑」

「え?ひどい。笑」

「なーーんて!絶対嫌だ!でもこんなに幸せでいいのかなって今思ってる!」

「続けたいね、この幸せ」

「うん!」


あきとさんとの、この会話。


どういうつもりで、あきとさんはこの時話してたんだろう。


もう、大嫌いだよ。あきとさん。


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