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聞くことが好きだと分かった

私はどんな人の話でも聞いてられる。
どの話も私にはない経験、知識、感情があって、新鮮で聞き入ってしまう。
私が一生かけても同じ経験はできないので、それを知ることが本当に楽しい。

そういえば、看護師をしている時も。患者さんのケアで病室に行き、本人や家族と話し始めると、時間を忘れていた。「病気について」じゃなく、みんな次第に「自分の事」を話してくれるようになる。仕事のこと、家族関係。「ここだけの話ね」っていうのも多かった。ただ、話し込み過ぎから、ふと我に返って次の仕事を思い出すと「やってしまった・・」という気持ちになった。仕事してます感を出しながら、廊下を小走りでナースステーションに戻る。時々、病棟内の一斉放送で呼び出されることもあったが。「あの人(私のこと)、全然戻ってきませんね」と先輩ナースにはバレていて、その話を同期から聞いては反省していた。

「どんな人の話でも」と書いたが、またナース時代のことで言えば、いわゆる「ヤクザ」の人とも話し込んだ思い出がある。興味が過ぎて「その短い指、切るとき痛くなかったですか?なんで切ることになったんですか?」と質問した。「小指は女がらみやな、薬指は金カネ」と気さくに答えてくれた。「へー!そういう理由で切るんですね!」と、合ってるのか間違っているのかわからない反応をした。「切った指はその後どうするんですか」という、とんでもない事を聞いた記憶も。今振り返ると少し怖いが、その方も「そうなんだよぉ」と満更でもなく、いい雰囲気が流れた。(と思った)

ライターとなってまだピヨピヨの私だが、お会いしたインタビュイーさんからメッセージをもらった。

「くだらない私の話をペラペラ喋ってしまったみたい。インタビュー上手だわ、引き出すのがうまいんだね。そしてとても楽しかった」

このメールを見た時、誰のこと?と止まってしまった。ライターとしてのインタビュー経験はこれからたくさん積む段階だと思っている。それが、私の母くらいの年齢の方からこんな嬉しい言葉をもらってしまい、まごついた。今日になってジワジワと嬉しさが増してきたので、初心を忘れないために書いている。その中で思い出したのがナース時代のエピソードだ。

私は、じょう舌に話すことは苦手だけれど、ゆっくり人の話を聞くことは好きなんだと思った。実際は「へー、へー」と前に乗り出して聞いているだけ。その人の事をもっと知りたいだけ。

「一回褒められたくらいで調子に乗るな」という自分、そして「こんな感じがいいのか!」と急に楽しく生きていけそうな気がしてくる自分。両方いる。

話を聞きたい人と話せるなんて、一旦「仕事」を通さないと滅多なチャンスはない。ライターは書くことが仕事だから「書くことをがんばれ」となるが、おもしろい話が聞ければ、書きやすい。全て終わって、こんな根掘り葉掘りできるなんて役得だったなぁと感じる。

ライターとして手探りの日々は続くが、シンプルに「好きなこと」と「経験」を押していけば、いいんだな。聞くことが好き、そこから新しい世界は見えてきて、一層ずつ自分の枠が広がる感じ。これで行こう。


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