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前のめりに「文学フリマ東京」参加

 2023年11月11日朝5時にスカッと目が覚めた。
東京流通センターで開催さる文学フリマ、
『稀人書店』の一員として参加するため京都から新幹線に乗り、東京へ。

 私は稀人ハンタースクールというライター講座で学んだ。その中の経験と行動力とエネルギーに溢れるスクール生数名が発起人となり、立ち上がったのが『稀人書店』。ここに私は参加した。

 さかのぼること2023年春、私は初めて「文学フリマ」というワードを知った。師匠の川内イオさんとスクール生がオンラインで雑談していた時だったかな。

「私も文学フリマ出したいと思ってた!」
「出そうと思ってZINE作ったよ」

 そんな言葉が飛び交った。
耳新しい言葉ばかりが左右に駆け巡るので、私はポカンとした。
みんなの情熱が伝わってくるものの、まだ私ごとの話ではないと感じていた。
その頃はライターとして、スクールで得るアレコレを消化していくことに必死だったから。
先輩ライターの現状や悩みさえも、私には天空の城。早く城に行きたいし、そんなふうに悩んでみたい気持ちだった。だから本を書いて出すなんて、頭をよぎったこともなかった。

 そんな私が文学フリマという大舞台に本当に参加した。信じられない。

みんなの本気に惚れた

 参加の決意はここにあると言っても過言ではない。

「みんなが本気」

 家族あります、仕事あります。でも文フリへの熱意が情報収集に移り、出店準備に移った。このスピード感たるや。

「みんな楽しそう」

 これも大きな動機になった。オンライン雑談でオムニバス本のテーマを話し合っている時も、飛ぶわ飛ぶわのアイデア。その度に合いの手が入り、キャハハハと賑やかに話が進む。これを聞いてて楽しくない訳がない。参加したいという直感に従った。

書く苦しさ

 そうして参加をさせてもらうことになったが、さて何を書くか。

 オムニバスはあの愉快な会話から生まれたテーマ『喧嘩ノ生態』に決まり。ケンカについて書くことになり、ピンとくる嫌な思い出があった。しかし、心に封印してきた内容をほじくり返すしんどさ、それを文字化する難しさ、話の着地点の決め方。悶々とする時間を長く過ごした。
自分だけの日記じゃないんだから、と変に肩に力が入っていたかもしれない。なかなか書けない。執筆と放置を繰り返した。

オムニバス『喧嘩ノ生態』の完成品

 そしてオムニバスとは別に、個人でも本を書くと表明した。みんな書くのかと思って、オムニバス同様に手を挙げた。が、師匠(川内イオさん)を入れて7人だけだったことに「アホか、わたし」と自分をつっこんだ。しかしお金も払込み済み、やめてもアホだし書くか……と決意した。

 まず、旅行の体験など好きな分野を考えたが、すぐにやめた。取り立ててパンチ力もなく、溢れる旅本の中に飛び込む勇気はなかった。私だけが知っている、熱く語れる話。そこで思いついたのが「怪談」だった。そういえば、いろいろな体験したっけ。こちらも、幼少期から封印に近い状態だったので、まずは思い起こす作業から。目次に並ぶくらいのラインナップになったので、これで決定した。

個人本『ゲートをくぐった子供』

文フリ大舞台を終えて

 文学フリマを終えた翌日、東京の街を歩いていてふと思った。

「自分だけのためにこんな本気になったのは、いつぶりだろう」

 「みんなの本気」に乗った私がいつの間にか「自分の本気」になって、それを実感している。なんて幸せなことだろう。

 考えたら、半年前はまだ「文学フリマ」「ZINE」という言葉を知った時期だ。突然、目の前に大きな波がきて、あと先考えずそこへ飛び込んだだけ。前のめりで突っ込んだ。なにかを考えて止まっていたら、波は過ぎ去って乗れていなかっただろうな。

文フリが終了して打ち上げの席。イオさんを囲むみんなを見て。

彼女は発起人、言い出してくれてありがとう。
彼女は編集、細かい丁寧な作業をありがとう。
彼女はデザイン、文章を飾る素敵な絵をありがとう。
彼女は困っている時に声をかけてくれた、涙が出たよ、ありがとう。
彼女は執筆の友、伴走が心の支えでゴールできた、ありがとう。
彼女は今回はじめまして、仲間でいてくれてありがとう。
イオさんに集まったみんなはあったかかったー。

そんなふうにしみじみ思っていたら、お酒を飲んでも酔わなかった。
倒れるほど前傾姿勢で乗り込んだ今回の文学フリマ、股が裂けるほど大きな一歩を踏み出せた。


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