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線虫がん検査を受けてみた

若干自慢なのですが、胃がん検査を5,6年ほど受けなかった頃、ある後輩が心配してくれて「お願いだから検査を受けてください」と毎年のように言われてました。
M君、先輩想いの優しい後輩だったなあ。元気にしてるかなあ。

しかしエックス線検査を受けないことで、まるで今にもがんに罹りそうな心配をしていた感じでした。
うーむ。
なんだか”がん”については、深く考えず雰囲気だけで恐れている人が多いような気がしてなりません。
もっと科学的に考えられないのだろうか。
みんなの誤解は保険会社の陰謀のような気がしています。
がん保険にさえ入れば、なにやら安心みたいなCMが多すぎます。
何十年も変わらないお仕着せの健康診断を受けて、保険会社が勧めるがん保険に入れば、がんに罹らないわけでもないけどなー。

さて前々回、ボクはバリウムも胃カメラも体質的に合わないという記事を書きました。
ボクは胃がんのリスクが人より高そうなのに、これらの検査を避けてどうすればがんを早期発見できるのだろうか、という記事でした。

タイトルですでに種明かししていますが、「線虫」なる生物を用いた検査が解決策なのです。

線虫とは、小さなミミズのような生き物です。あのアニサキスも線虫の一種らしいのです。
その線虫が、がんを判定してくれるのです。

検査のためには、被験者はわずかの尿を提出すればいいだけです。
尿が1滴あれば、がんに罹っているかどうかを線虫たちがシャーレの中で調べてくれるのです。
がん患者の尿に対しては、線虫たちはその臭いに惹きつけられ近寄って行き、健康な尿には逆に逃げて行くのだそうです。このような性質を”走性”があると表現されます。
ステージ0の早期がんでも判別でき、その精度は86%で、胃カメラの胃がん発見率と同等なのだそうです。(エックス線や腫瘍マーカー検査はなんと10%以下!)
しかも胃がんだけでなく、肺がん、大腸がん、前立腺がん、膵臓がん、乳がんなど主要15種類のがんも同時に判別できるのです。
ただし個別のがんを特定できるわけではなく、どのがんかはわからないが、とにかくがんに罹っているかどうかがわかるようです。
それでも一次スクリーニングとしては十分でしょう。

費用は13000円ほどでした。
尿サンプルは、通常は定められた薬局や病院へ持ち込まなければなりませんが、取りに来てもらうオプションを選ぶとプラス2000円でした。
費用はかかっていますが、ほとんど時間をかけていません。予約して尿を取って冷凍して待つだけでした。

一方で普通の健康診断を受ければ半日は潰れますし、がん検査は胃と肺と大腸のみです。女性は乳がんもかな。
胃と肺は精度の悪いエックス線です。そしてエックス線は放射線被曝があります。
大腸に関しては便潜血を調べるのですが、大腸がん発見精度はさらに低いようです。発見できたとしても、血が出るくらいの大腸がんは手遅れが多いそうです。
一次検査としてどうなのでしょうか。トイレでの採取時には嫌な想いをしているというのに。
人間ドックなどではオプションで胃カメラや各種がん腫瘍マーカー(血液検査)を追加できますが、合計の追加料金がかるく1万円を超えます。
胃カメラはボクには辛いし、腫瘍マーカーは値段の割に精度が低すぎます。

線虫がん検査については、その精度に対して懐疑的な意見があるようです。
なぜ線虫が、がんの臭いに対して走性があるのか、その機序がわかっていません。
そんなブラックボックスがあるので信用できないという意見も理解できます。

ボクは原始的な生物の嗅覚を用いているところが、かえって信用できると思っています。
がんに罹っているということは、つまりは死にかけている。
死にそうな個体、もしくは死んだ個体の方が安全にその肉を食らうことができるでしょう。
死んで腐敗が進んだ方が、より消化しやすいかもしれない。
対して生きていて元気な個体は、食らうのに厄介なはずです。免疫などの防御機能が高いからです。
そんな「死の臭い=安全で美味しそうな臭い、生の臭い=危険な臭い」を線虫たちは嗅ぎ分けているのでしょう。
自然の理(ことわり)を素直に利用しているので、全幅の信頼ができると考えています。

上記理屈から考えると、がんの見逃しも安心できます。
がんに罹っているのに発見できなかった場合、単なる見逃しではなく、死の臭いが無かったということです。
がんを克服する人が一定数いるでしょう。
取りこぼした14%がその後どうなるのか、興味深いところです。

では線虫がん検査だけでいいのか。
一般的な健康診断は他の疾患も調べてくれますが、ボクにはほとんど不要です。
ボクの場合、年三回の献血をするので、ついでの血液検査から肝臓とメタボなどを調べてもらっています。
肝臓については、10〜100が正常値のガンマGPTの値は20を超えたことがありません。毎日お酒を飲んでいますが肝臓はまだまだ平気のようです。
メタボ指標としてのコレステロールや中性脂肪はいつも下限値あたりです。
心電図については、週に20kくらい走っていておそらく心配ないでしょう。
聴力検査などはアプリでもできますし、聴力くらいで命に関わる喫緊の疾患にならないでしょう。
視力はわざわざ調べてもらわなくても何となくわかります。
あと何がありましたっけ。
腹囲? わざわざ測ってもらうようなものかな。
狭い部屋で若い女性が接近して、ちょっとドキドキできるメリットがありますが。
そんなこんなで、気にするべきは”がん”だけなのです。
それが通常の健康診断だと、胃と肺と大腸だけです。しかも精度が悪いときている。

そんな健康診断に対して、線虫がん検査は尿提出だけです。
短時間、簡便、高精度、料金もそれほど高くない、多くのがんに対応している、非侵襲、もう完璧じゃないですか。

さあようやく、その線虫さんたちによる検査の結果です。

けっかはっぴょう!
(ドラムロール)




ジャーン!

数十回もやってくれるんだ
ありがたい

このB判定がどれくらい低いのかというと、

上の数字はリスク比(意味不明)
下の数字は、受診者割合
ボクは低リスク順で約44%の位置

どうやらA判定に近いBのようです。
何の心配もしなくていいレベルでしょう。

いやー良かった良かった。
最近は時々胃に違和感があったのですが、気のせいでした。
これで安心して昼間からお酒が飲めます。
違うか。
いや、節酒して次回はA判定を目指そうかな。

この素晴らしい結果をあの優しいM君に捧げたい。
おーい、Mくーん、ボクはちゃんと胃がんの検査を受けてるよー。
おかげさまで大丈夫だったよー。
君は毎年がんばってバリウムを飲むんだよー。
ゲップを我慢してエックス線被曝しながら、ぐるぐる回転するんだよー。
がん保険にも入っておくんだよー。
ボクは入らないけどねー。
入るのは線虫検査で高リスク判定となってからでも遅くないみたいなんだ。それも何だかステキでしょう。それではまた。

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