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書評

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記事一覧

固有名詞の鬱(この部屋から東京タワーは永遠に見えない/麻布競馬場)

Twitterの人気者、麻布競馬場(@63cities)の小説をまとめた本。 いつしか彼の短編小説がバズ…

Magricco
2日前

実在(存在のすべてを/塩田武士)

神奈川県で起きた二児同時誘拐事件。 警察の助けがあったにも関わらず身代金の受け渡しに失敗…

Magricco
11日前
1

生産性の罠(限りある時間の使い方/オリバー・バークマン)

人生は4000週間しかない。効率化ツールや時短家電で生産性を上げれば幸福度は上がるかというと…

Magricco
2週間前
3

記憶の配当(DIE WITH ZERO/ビル・パーキンス)

人生でいちばん大切なのは、思い出をつくることだ。 だから自分が何をすれば幸せになるかを知…

Magricco
1か月前
4

自己愛の描写(ぼくにはこれしかなかった。/早坂大輔)

高卒で就職、営業マンとして朝から夜中まで死に物狂いで働き続け、会社でそれなりの地位を得た…

Magricco
1か月前
4

信じる(星の子/今村夏子)

※ネタバレあり※ 宗教2世の子どもを描いた小説。芦田愛菜主演の同タイトル映画を先に観て、…

Magricco
1か月前
4

普通じゃないけど(普通の主婦だった私が50歳で東大に合格した夢をかなえる勉強法/安政真弓)

タイトルのまま、50歳で東大に合格し、本当に入学した主婦の勉強ノウハウが書かれた本。受験に関係のない社会人にも役に立つ!と言われ手に取ったが、読み終わって「これは普通の主婦ではないと叩かれてるんじゃないか…?」と思いレビューを見てみたら、案の定そうだった。(本を売るために編集者が付けたタイトルだから仕方ない。私にはわかるぞ。) まず著者は、現役時代に3回も東大京大を受け、二浪の末に早稲田大学を卒業している。 2人の息子をもち、昼間は主婦、夜は学習塾を運営。 次男の東大受験を

戦争の行方(半導体戦争/クリス・ミラー)

私は投資歴10年を迎えるが、ここ数年最もホットな半導体という分野についてあまりにも知らな…

Magricco
2か月前
2

私の不幸は私が決める(慣れろ、おちょくれ、踏み外せ/森山至貴×能町みね子)

クィア・スタディーズの専門家・教授であり自身もゲイである森山氏と、以前ここに書いた『結婚…

Magricco
2か月前
4

許しがたいオチ(5A73/詠坂雄二 )

※ネタバレ含みます※ 5人の連続した自殺には、ある共通点があった。 それは遺体のどこかに…

Magricco
2か月前

抽象化と転用(メモの魔力/前田裕二)

2019年最も売れたビジネス書らしい。 SHOWROOMの前田社長、そうえいば最近見ないな。SHOWR…

Magricco
3か月前
15

言語の人格(語学の天才まで1億光年/高野秀行)

早稲田大学探検部出身の作家が、25の言語を学ぶに至る過程を記したノンフィクション。著者は…

Magricco
3か月前
22

ストーリーテラーを信じるな(ストーリーが世界を滅ぼす/ジョナサン・ゴットシャル)

ストーリーテリング(物語化)のおかげで、文明は発達した。物語には人の思考と行動を大い変え…

Magricco
4か月前
4

雑誌のポテンシャル(「若者の読書離れ」というウソ/飯田一史)

子どもの「読書離れ」は、実は過去の話である。 本離れが進んだのは1980年〜90年代のことで、官民が連携した読書推進運動のおかげで2000年代にはV字回復を遂げた。 読書離れが進んだのは、ラノベと雑誌だ。 文庫ラノベ市場は2013年以降の約10年で半減以下となり、中高生の読書調査で名前があがることもなくなった。これは、ウェブ小説の人気作品の書籍化(=なろう系)が急速に増えた結果、既存の文庫ラノベレーベルもなろう系を読むような大人向け作品を増やしたことによる10代の客離れが原