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不思議なイスラム教のあれこれ

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イスラム教って思っていたのと全然違った!ヨルダンで暮らしている中で、イスラム教について新たに知ったこと、考えたことについてまとめています。イスラム教に留まらず、宗教全般について書… もっと読む
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インシャアッラーは魔法の言葉

一時帰国して1週間。 とにかく時間だけはたくさんある日々なので、いつか記事に書こうと思っていた事柄について書いていく。 ヨルダンで暮らしていると日常的に耳にする言葉、「インシャアッラー」というアラビア語について。 「インシャアッラー」は、アラビア語ではإن شاء الله と表記する。 アッラーは「神」という意味だが、インシャアッラーは「神が望むなら」「神のみぞ知る」という意味がある。 とにかくアラブ人は「インシャアッラー」をよく使う。 アラブ人と約束を取り付ける

ムスリムじゃない私が、クルアーンを読むことに決めた理由

ヨルダンから帰国して早3ヶ月。 東京に住んでいる今、中東にルーツのある人と話をする機会が多く、改めてそれぞれが持つ価値観について考えさせられることが多い。 というか、最近はモヤモヤすることが多かった。 ある中東の国出身のAさん(仮)と話した時、Aさんの出身国はムスリムが人口の大多数を占めていて、Aさん自身もムスリムのご両親の下で育てられたと言っていた。 私は、ヨルダンでの体験や、イスラム教について学んだことなどをAさんに楽しげに話していたが、後日、Aさんはムスリムを嫌

イスラム教の犠牲祭で、多くの羊が生け贄になるのを目の当たりにした

イスラム教の犠牲祭は、イード・アルアドハー(عيد الأضحى‎)と呼ばれ、今年は6月28日から4日間で行われている。 ヨルダンでは、前日の27日から5日間の祝日だ。 ラマダン明けのイード・アルフィトル(عيد الفطر‎)と同じように、今回の犠牲祭でも、人々は新しい衣類を身につけ、親族を訪問し、子どもは大人からお小遣いをもらうなど、日本でいうお正月のような雰囲気が少し感じられる。 そんな日本と大きく違うのは、犠牲祭では、たくさんの羊が生け贄となること。 これは、

ヒジャブを被りたくない娘 VS ヒジャブを被らせたい母

ヒジャブとは、イスラム教徒の女性(以下、ムスリマ)が、髪の毛を隠すためにつけるスカーフのこと。 以前は、ムスリマ全員がヒジャブを被っているものだと思っていたが、ヨルダンでの生活が長くなっていくにつれ、ムスリマでも、本人の意思で被っていない人もいることが分かった。 「なんでヒジャブ被らへんの?」 30歳のミラール(仮名)という友だち。 彼女はアンマンに住むムスリマだが、外出してもヒジャブは被っておらず、赤髪のカーリーヘアが見えた状態で出歩いている。 私「ミラールはムス

昼寝が秘訣!?ラマダン中の1日の過ごし方

4月20日に、1ヶ月続いたラマダンが終わった。 「ラマダンってどういうものだろう…」と、ドキドキしていた去年。 今年は、去年ほどの新鮮さはなく、初めから断食をする気がなかった私は、「人前で飲食できないの辛いな」くらいの意識低めの気持ちで迎えていた。 ところが、ラマダン初日の3月23日、同僚の先生にイフタール(断食明けの夜の食事)に誘ってもらえたので、急遽お邪魔&お泊まりさせてもらうことに。 14時ごろに先生の家に着くと、先生のお母さんと妹が、玄関前の開けた空間で、ダワ

イスラム教の聖水、ザムザムの水とは

活動先のセンター長が、サウジアラビアでの10日間の旅行から帰ってきた。 久しぶりに私たちの前に姿を現したセンター長の手には、水の入ったペットボトルが抱えられていた。 「これがザムザムの水よ。知ってる?」 と言いながら、私の分を淹れてくれた。 ザムザムの水と言うのは、サウジアラビアの聖地メッカを巡礼してきた人が買う定番のお土産。 メッカにあるザムザムの泉から湧き出ているのが、ザムザムの水である。 イスラム教徒にとって「聖水」であり、病人を癒やしたり、身体の不調な部分にか

断食は2日で諦めた。

ラマダンが始まって今日で6日目。 異文化を体験してみたかった私にとっては、ラマダンが始まる前から断食にチャレンジしたいと思っていたけど、結果的には2日目で諦めることになった。 ラマダン中の断食というと、日の出前のアザーンから日の入りのアザーンまでの約15時間、飲食をしないということ。水も飲めない。 断食を諦めたのにはいくつかの理由があるので、今日はそれについて書いていきたいと思う。 「断食してる?」という質問ラマダンが始まってから、人と会うたびにこの質問をされる。 き

ラマダン初日の難民キャンプは、お祭りみたいだった!

ヨルダンでは、4月3日(日)からラマダンがスタートした。 ラマダンと言えば「断食」 断食をしたことがない私にとっては、ラマダンは辛いものっていうイメージを持っていた。 それとは裏腹に、街中の雰囲気はお祭りそのもの。 ラマダン初日のパレスチナ難民キャンプは、特にそれを感じる一日となった。 幼稚園でのラマダンイベント活動先の難民キャンプの幼稚園では、「ラマダンイベント」で目白押しだった。 子どもたちの中には、民族衣装で登園してきた子たちがいたり、先生たちが忙しくお菓子を包

もうすぐラマダンが始まる!

2週間ぶりの更新となってしまった、、、 この間、ヨルダンでは雪が降って真冬に逆戻りしたり、母の日があったり、全国的な地方選挙があったり、先月よりも忙しい日々を過ごしていた。 そして、今週末からいよいよ「「「ラマダン」」」が始まる。 私にとって、人生で初めてのラマダン月を迎えることになるから、どんな1ヶ月になるのか、期待と不安でドキドキしている。 3月になってからは、街中や難民キャンプのお店では、ラマダンに向けての装飾品が店頭に並び始めた。 断食にチャレンジする1ヶ月間同

イスラムの価値観の押し付けが息苦しかった

ヨルダンでの暮らしを窮屈に感じるのは、イスラムの価値観を現地の人から押し付けられた時である。 異国で生活する中で、その国の宗教や文化をリスペクトすることは大切だと思う。 ヨルダンで生活するのであれば、外国人であっても、むやみに肌を露出しないこととか、人前でお酒を飲まないことであるとか。他にもたくさんあるけど。 そういう部分には気をつけながら生活していたつもりだったが、ある日、思わぬところで現地の人に私の行動を指摘されることとなった。 * 私の活動しているパレスチナ難民

アッサラームアレイクムは特別な挨拶だった

アラビア語を学び始めると、最初に覚えた言葉が「アッサラームアレイクム」である人は多いのではないかと思う。 「アッサラームアレイクム」(السَّلامُ عَلَيكُم)は「こんにちは」と訳されることが多く、アラブ世界では日常的に使われる。 直訳すると「あなた方の上に平安あれ」という意味になり、先に相手に「アッサラームアレイクム」と言われた場合は、「ワレイクムッサラーム」(وَعَلَيكُمُ السَّلامُ)と言って返す。 これは、前半の「平安」(السَّل

イスラム教徒ってお酒飲んでもいいの?

イスラム教にはさまざまな戒律があるが、有名なものの中に、「お酒を飲んではいけない」ことや「豚肉を食べてはいけない」ことがある。 このように「してはいけないこと」を、アラビア語で「ハラーム(حرام)」と言い、反対に「しても良いこと」は「ハラール(حلال)」と言う。 日本語の発音だと、一文字違いだからややこしい(笑) 日本で暮らしていると、たまに「ハラールマーク」の表示がついた食品を見かけることがあるけど、これはイスラム教徒の人でも安心して食べられる食品で、アルコールとか

もう少し宗教が日本人にとって身近だったら…

ヨルダンでの暮らしは、 「アザーンがどこからか聞こえるたび」 「ヒジャブをつけた女性を見かけるたび」 「毎朝肌が露出しないような服装を選ぶたび」 「人々が同性で固まって歩いているのを見かけるたび」 に、ここがイスラム教の国であることを実感する。 この国では、常に宗教が身近に存在している。 そのため、ヨルダン人や、ヨルダンに住む外国人との会話の中で、宗教が話題に上がることが多い。 その時、日本人の宗教観について、どう説明したら良いのか迷いながら話す。 「日本人の宗教は、

イスラム教のサダカ(喜捨)とは何か

最近は、物乞いに関しての記事を書くことが続いているが、今回の記事もそれに少し近いものになる。 私は、パレスチナ難民キャンプの中にある「女性プログラムセンター」という施設で活動しており、日頃からキャンプ内に住む女性がよくセンターにやってくる。 少し前には、3ヶ月に一度の配給が行われていた。 センターに訪れた女性は、センターで働くボランティアスタッフに、家族の名前などが書かれたカードを手渡していた。 それを受け取ったスタッフは、代わりに金額が書かれた紙を渡していた。 どうやら