妄想初恋レター

斉藤くんはいきなりわたしの世界に潤いと彩りを与えた。

たまたまおなじクラスで、たまたま同じ高校で、たまたま同級生だっただけの斉藤くんが、ついに、わたしの世界からいなくなった。

Twitterにも、LINEにも、Instagramでも、消えた。どうしてるんだろう斉藤くん。
高校時代、なんとなく吹奏楽部に入り、なんとなく学校を休みがちになっていたわたしには、顔がとっってもタイプで、なぜか帰宅部で、わりと大人しくて、でも体育大会で太鼓を叩いてる斉藤くんが、なんだかいきなりかっこよく思えて、目で追っていて、そんな斉藤くんと同時に高校を卒業して、斉藤くんは浪人して国立大学に行くって勉強してほんとに県外の大学に行った、わたしはそのあいだ、とってもくすぶっていたのですが、浪人していた斉藤くんをごはんに誘う勇気はなくて、そのままわたしは夢を追いかけて東京に上京して燃え尽きて、そのあいだ斉藤くんは大学生活をおそらく謳歌していて、就職して、どうしてるかなって思ってるうちに行動起こさないうちに斉藤くんはわたしの世界から消えてしまった。
実はわたしは斉藤くんに、高校の卒業式にネクタイをもらったし、卒業直前のバレンタインにチョコレートを渡した。斉藤くんがどう思ってたかはわからないけど、わたしは斉藤くんのことがとても好きだった。もうとにかく鼻がとてもイケメンで、中身もおそらくいいんだろうなと思ってたし、チャラついたひとが多いなかで全然チャラついた噂を聞かない斉藤くんはいまどうしてるのかわからないがわたしはなかなか一途なわりに、高校卒業してからも好きだったわりに、ウジウジモジモジしてるうちに斉藤くんがどこに住んでるのかもわからなくなって斉藤くんは幻のひとみたいに勝手にわたしの頭のなかででっかくなって消えていって、わたしはなにをみていたのでしょうか?




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