見出し画像

#1 井出天行さん/AMANA COFFEE(北相木村)

「AMANA COFFEE」の井出天行(あまな)さんは、長野県の北相木村の出身。無農薬栽培を中心とするコーヒー豆を、焙煎の機械を使わず手作業で焙煎しています。現在は固定したお店を持っていませんが、その味と、思いと、なによりも人柄が魅力となって、イベントに出店すれば人だかりができるほど人気を集めています。コーヒーとともに伝えたい思いとは何か、インタビューしました。

編集・取材・構成=岡澤浩太郎/八燿堂
写真提供 (*)=AMANA COFFEE

amana coffee 井出天行 sprout 八燿堂 東信 長野 北相木村 コーヒー 珈琲 自家焙煎 有機 オーガニック 無農薬 持続可能
2023年、初めての海外一人旅で、タイで出会った少年と*

■プロフィール:井出天行(いで・あまな)/AMANA COFFEE
長野県、北相木村出身。1980年代に東京から同地に移住したミュージシャンである両親のもとに生まれる。大学入学後、金融機関に3年勤めたあとUターン。隣町の有機農家で働きながら、2022年からAMANA COFFEEとしてコーヒーの焙煎業を始める。現在はイベントやマルシェなどへの出店のほか、オンラインで販売している。


※インタビューのダイジェスト+αはポッドキャストでも公開しています


手焼きのコーヒー焙煎

岡澤浩太郎(以下、K) 私が初めてAMANA COFFEEのコーヒーを飲んだのは、多分、『アースデイin佐久』だったと思うんです。飲んでみたら、ほかのお店とは味が全然違って。それ以来、お店によって考え方が全然違うこととか、豆の種類への興味から豆の生産や流通にかかわる環境負荷のことを知ったりして。だからAMANA COFFEEのコーヒーが世界への扉を開いてくれたんですね。

井出天行さん(以下、天行さん) うわー、ありがとうございます。

K お店のまわりはいつもにぎわっていて、すごくピースフルな雰囲気があるのも印象的で。だからイベントで出店しているのを見かけると買っちゃいます(笑)。機械を使わないで手作業で焙煎しているのもAMANA COFFEEの特徴ですよね。

天行さん  はい。ほかのコーヒー屋さんとの一番明確な違いは、焙煎機を使わずに、中華鍋を使って手作業で焙煎していることです。

amana coffee 井出天行 sprout 八燿堂 東信 長野 北相木村 コーヒー 珈琲 自家焙煎 有機 オーガニック 無農薬 持続可能
天行さんがお父さんから受け継いだ、中華鍋の手焼き焙煎*

天行さん 僕は2022年の春からコーヒーの焙煎業を仕事にしているんですけど、教えてくれた父親が僕の小さい頃からそのやり方で焙煎していたのを見てきたので、僕がコーヒーを始めるときには、「そういうもんだろう」って、自然とそのやり方を選んだんです。
まあ、もちろんタイマーで時間を計ったり、毎回ファイルに記録したりしているんですけど、そのときの気温や湿度、ちょっとした火加減、豆の種類によっても焙煎の具合がかなり変わるし、手作業なのでどうしても安定しづらくて。だから、コーヒー豆のはぜる音とか、煙が出てきたり、色もいきなり変わったり、そのタイミングを自分の感覚で見ながらやっています。めっちゃアナログな方法ですね(笑)。

K なるほど、お父さんが焙煎の先輩なんですね。

天行さん そうです。でもこれって多分、コーヒーの専門家の方からすれば正解ではないと思うんです。温度管理や時間、手作業ゆえの焦げが出たりもするので。だけど、「美味しい」って言ってくれる方がいるなら、続けていきたいと思っています。
いま美味しいコーヒー屋さんが本当にたくさん増えていますけど、結局は美味しいコーヒーが飲めればいいわけで、みんながそれぞれその方法にこだわりを持っていると思うんですよね。その方法のひとつとして、手作業で焙煎するやり方があってもいいんじゃないかなって。批判しあうというより、「いろいろなやり方があっていいよね」って。

amana coffee 井出天行 sprout 八燿堂 東信 長野 北相木村 コーヒー 珈琲 自家焙煎 有機 オーガニック 無農薬 持続可能
お父さんがセルフビルドした自宅の大きな窓から光が差す*

K いやあ、すごく個性的な味で美味しいと思いますよ。芯が通っているというか。天行さんとお父さんとでは、こだわりが違ったりするんですか?

ここから先は

9,831字 / 15画像

¥ 300

この記事が参加している募集

わたしとポッドキャスト

多くのご支援ありがとうございます。木々や星々は今日も豊かさを祝福しています。喜びや健やかさにあふれる日々をお過ごしください。