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ふるさと納税1位の宮崎県都城市、子育て「3つの無料」財源に

2022年度のふるさと納税による寄付額が195億円となり、2年ぶりの全国1位に返り咲いた宮崎県都城市が、子育て支援の財源として活用している。

「3つの完全無料化」は、①3歳未満も含めた第1子からの保育料②中学生以下の医療費妊産婦の健診費用が対象。市は23年度予算でそれぞれ6億6830万円、6億1252万円、1億4179万円を計上しており、財源としてふるさと納税による寄付額から10億円以上を充てる。

財務省出身の池田市長。財務省時代の経験から「子育て支援は国も力をいれているが、1歩でも2歩でも先を行けば背中を押してもらえる」と3つの無料化に踏み切った理由を明かす。

一方、2022年のふるさと納税の寄付による東京都全体の23年度住民税控除額は1689億円だった。22年度住民税控除額と比べて18%増えた。都内自治体にとって減収につながるふるさと納税の利用拡大が一層進んでいる。

東京都は「返礼品競争により、ふるさとを応援するという寄付本来の趣旨が損なわれている」「受益と負担という地方税の原則に照らして適当でない」などとして国へ制度の見直しを求めている

埼玉県全体の23年度の住民税の控除額は前年度比21.2%増の390億6900万円だった。県内の寄付受け入れ額は過去最高の72億9800万円だったものの、流出額超過となった。受け入れ額が住民税控除額を上回ったのは、北本市など20市町村にとどまった。

県内で市町村民税の控除額が最も大きかったのはさいたま市で、22年度より21%多い89億6900万円に達した。全国の市区町村では6番目に高かった。川口市が21億3200万円、所沢市が11億4300万円と続いた。埼玉県でも都市部で税の流出が顕著だ。

地方交付税交付団体は流出額の75%を国から補塡される。しかし、独自税収だけで運営可能な不交付団体の戸田市(流出額は6億1300万円)、和光市(同4億5600万円)、八潮市(同2億9300万円)などは対象とならない。

不交付団体とは

基本的にはすべての団体に地方交付税が交付される仕組みだが、地方交付税を交付する必要がない団体には交付されない。交付する必要がない団体とは、地方自治体の独自税収だけで運営できる団体、つまり、税収入が多い団体を指す。地方公共サービスを安定して提供できるだけの税収があるため、国から地方交付税を交付する必要がないわけだ。

ちなみに、東京都の該当する自治体は以下の通り。

東京都,立川市,武蔵野市,三鷹市,府中市,昭島市,調布市,小金井市,国分寺市,国立市,多摩市,瑞穂町

「地方に関心を向けたというで、この制度は大きなインパクトがあると思うが、ある特定の地域だけがよくなって、ほかの多くが犠牲者となるのはよくなく、現場の自治体と国で改善すべきことを検討していくタイミングになっていると思う。また、ふるさと納税は、ホップステップジャンプで考えると、あくまでホップステップで、自治体の側も制度に依存しすぎないことが必要だ。今後の議論の非常に重要な論点になるのではないか」

慶応大学 保田隆明教授

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