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僕の左脚欠損は「幸い」である

2022年4月某日。
繰り返す毎日の、いつもの朝の事。
テレビをつけると、外国の戦争の惨状が映っていた。
ベーコンを焼き、チーズ入りスクランブルエッグを作り、コーンスープにお湯を注ぐ。冷凍保存しておいたご飯を解凍温めして、あとは定期購入している青汁。5分もあれば出来上がる、とても簡単な朝食です。
平穏だからこそ出来る、繰り返す日々のいつもの朝食。

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テレビではその日「地雷」の事を取り上げていました。

僕が、業務中の事故で左脚欠損→義足ユーザーとなって10年経ちます。
義肢作製と、歩行その他の訓練での入院も、もうすぐ終わるかなぁと思っていたある日、担当の理学療法士さんからお願いがありました。

外国からの義肢の研修

義足を装着する時に懸垂させる装置、わかりやすく言うと、
「すっぽ抜けない様に、断端(欠損部)に留めて、つないでおく」ものです。「吸着式」と「ライナー式」があります。あと一つか二つ、方法はあるみたいですが、日常的に使えるのはこの2種類との事です。
僕は「ライナー方式」を使用しています。

義足入門
先ずは仮ソケットでの「吸着式」を作製し、教わるのですが、マイキーの汗っかき具合もありまして「うぅ~ん!メンドくっさ~ぃ!汗かいたら着け直さなきゃいかんのに一発で決まらないって!ネジに皮膚が挟まると痛いしぃ~!いや~ん!メンド~い!」wな、感じでした。
義足作製時の費用としては、一番安価にできるそうですが~。。。
ま、それはさておき…

それでそのある日

理:「外国から研修に来てる方がいて、もし良かったらマイキーの見せてあげてくんない?」
マ:「あぁ、いいよ~!」
理:「ライナーの研修なんで、着けたり外したりを見せてあげて~?」
マ:「オッケー!ところで外国どこ?」
※ ざっくばらん過ぎる記述ですいませんw

ところで外国の研修生、シリアのほうから来たと言う事でした。

シリア内戦での地雷被害者

今もなお、進行中だというシリア内戦。
10年経っても、まだ解決しないのか。
2022年現在、日本では戦争を知らない人達がほとんどだと思います。
僕の両親は都内生まれの都内育ち。
東京大空襲の時、二人とも3歳。母親は、走って逃げる祖母におぶさりながら、子供心に「母ちゃん、なんかお空がキレイだねぇ」と、言ったそうです。もちろんドやされたみたいですが、炎に巻かれずに助かって良かったと。今年で81歳。父親は9回忌。
地雷の話は聞いた事ないのですが、不発弾がいくつもあって、それによって負傷したり亡くなった方もいたと聞きました。

シリアの方から研修に来た人達によると、シリア内戦では撤去しきれない地雷が多く残っており、巻き込まれて手や脚を欠損してしまう人が、年間に数十人ほどいると言います。
「数十人で収まってるから、まぁ大丈夫だよ」って言ってたけどさ。
大丈夫だよは、その人達のチームで補装具を作る時の、患者と装具士のキャパシティの事なんだろうから突っ込まなかったけど、毎年数十人も欠損患者が出るって知って、ちょっとショックでした。

「ライナー式」の研修に来たとの事でしたが、費用の面でシリアや中東諸国では現実的ではないと言います。でも、
「着け外しがラクそうで早くていい!技術は持って帰れるから、あとは…ま、何とかするよ。」
と言ってました。…通訳さんが居りましたからわかったのですよ。

世界のどこでも、内戦や紛争と言う「戦争」が無ければ、命の危険はもちろん、得体の知れないものに体や心を壊されたり奪われる事は無いと思っています。

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望まない戦争のツケ

僕は仕事中の事故。
10年経った今でも幻肢痛はあるし不便だし、まぁ一般的にはツラい状況なのでしょう。でも、テレビ観ながら朝ごはん作って食べて、好きなギターも弾く事が出来る。
平穏だから「幸い」と思える生活が送れている。
僕のは不幸中の幸いではなく、平穏の中の「幸い」です。

望まない戦争は不幸であり不公平です。
戦争や地雷によって失ったものがあるけれど、生きていた。
それが、不幸中の幸いなのだと思うのです。
あっちでもそっちでも、始めてしまった戦争はいつまで続くのか。
壊されて不幸になるのは末端の国民。
まさしく「望まない戦争のツケ」を払わされるのです。

明日は我が身

僕が生活する環境としての「幸い」であり、体のツラいのとはまた別ですが、この体のツラい想いをする人が、シリア地区だけでも年に数十人と増えていく現実。
そして、最近始まった所でも何人もいるのだろう。
ある少女が、腕を撃たれて切断したとの報道。
痛いだろうに、でもその子は
「おしゃれな義手を作って欲しいな!」と言ったそうです。
色んな困難にぶつかると思いますが、そのポジティブな気持ちを持ったまま成長するといいなって、思いました。
マイキーがいつも言う自分の事
「だって、こうなっちゃったんだからしょうがないじゃん」
とは全く違う事なのです。
「頑張らなくていい」世の中ですが、多少の頑張りは必要です。
生きてて良かった!頑張ってこー!って、言ってあげたい。

2022年現在、日本は平穏ですが、事故や病気で肢体欠損にならない様に気をつけましょう。明日は我が身ですよ。
あと一言。

だれかプーチンにげんこつしてきな

ではごきげんよう(~。~)v

屋外の音楽活動では、沢山の方からのお声がけを戴いております。「頑張って下さい!」の一言に、応えて行きたい!です