女性のキャリア形成のための定年制度改革
2024年の国際女性週間は3月2日から5日まで開催され、3月8日に国際女性デーが祝われた。
この期間は、世界中で女性の権利向上とジェンダー平等への意識を高める機会だ。
先日、この期間や自社の取り組みに関する認知度を調べるアンケートがあり、ジェンダー平等の現状と打破の方法について、より深く考えるきっかけになった。
勤務先は、ジェンダー対応を内外に喧伝していることもあり、同一労働同一賃金の徹底やフレックスタイム、テレワーク、時短勤務、育児・介護休暇の男性取得促進など、多様な働き方支援の制度が浸透しつつある。
これらはすべて、ジェンダー平等に寄与するものであり、その取り組みに深い浅いはあるだろうが、日本企業全般の流れになっている。
これは、2000年以前には想像もつかないほどの進展だ。
しかし、キャリアアップの機会のジェンダー平等についてはどうだろう。
リーダー層に女性を含める目標や計画がある一方で、欧米に比べて、役員の女性比率は平等にはほど遠い。
また、日本の定年制度は、男女共通で労働基準法や高齢者雇用安定法に基づいているが、妊娠や子育てによるキャリア中断の影響を充分に考慮していない。
現状では、キャリア中断を経験した女性が昇進の途中で役職定年を迎えることがあり、これがジェンダーに基づくキャリア形成の不平等を生んでいる。
そこで、この問題に対応するため、出産や育児理由でのキャリア中断者が、役職定年を含む「定年」を延長できるよう申請する制度を考案した。
これにより、妊娠や育児に伴うキャリアアップの中断を緩和し、よりジェンダー平等な職場環境の実現が可能になる。
この制度は現行の枠組みにおいても導入でき、利用を希望しない人には影響を与えない。
さらに、子育てや親の介護を理由とした男性社員にも適用することで、より包括的かつ公平な制度となるだろう。
その一方で、この施策は、若手の昇進機会が制限されることにつながる恐れがある。
そこで、世代間の緊張を解くために、能力に応じた加速昇進制度(若くても上の級や役職になれる)を併用することも必要だ。
この様な、女性と若手のキャリア支援を制度として同時に行なっている日本企業は、まだ稀だ。
企業がこれらの制度を採用すれば、女性と若手の社員がそれぞれのキャリアパスで直面する障壁は低減し、より平等で公正な職場環境が実現する。
キャリア形成にまでジェンダー平等の精神が活きて成功する企業が現れれば、他の企業も手をこまねいているわけにはいかなくなるはずだ。
そうなれば、日本企業の全体の生産性向上やイノベーションの促進、さらには社会全体の持続可能な成長へと繋がる可能性もある。
いかがだろうか。
アンケートから始まった思考実験ではあるが、この提案の実現は、ジェンダー平等だけでなく、日本企業の生産性と社会全体の活力向上に貢献すると考えている。
機会があれば、この提案を自由に使ってほしい。
また、実現への障害など、夢物語になるかどうかについても、コメント頂けたら幸いだ。
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