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『背徳』インタビュー


※こちらは文学フリマ会場で『背徳』をご購入いただいた方に数量限定で配布させていただいたペーパーの内容(+おまけ)です。会場で受け取れなかった方や通販でご購入いただいた方にもぜひ読んでいただきたいので、こちらで公開します。

 ◾️1.はじめに

望月:では、まず、合同誌を作ることになった経緯を振り返ってみましょうか。
まゆ:昨年の文学フリマ京都では三人のショートショートを載せたフリーペーパーを作ったんですよね。
りお:そうそう、『蟹』ですね。
望月:『蟹』って、それだけ聞くと面白い笑 (※noteで『金曜日のショートショート』という企画をし、『蟹』をテーマにしたSSが三者三様なかなか良かったので、それをペーパーにした)
まゆ:前回、遠方に住んでいる私は会場には行けなかったんです。麻衣さんとりおさんからイベント当日の様子や盛り上がりを聞いて、楽しそうで。「次の文フリはぜひ私も参加したい!」ってなりまして。
望月:そうだ。それなら、いっそ合同誌を作ろうとなったんですよね。でも、新作は難しいから、これまでお気に入りの書いた短編を加筆修正しようって話で。
りお:そうしたら、麻衣さんがすぐに『私、あの作品にする!』って。
まゆ:早かったですよね笑 それでなんか、一気に話がまとまって。

作成:野々山りお

◾️2.初合同誌の感想

望月:いや、これもう、絶対一人では無理だったなと。
まゆ:ほんとに。想像以上に決めること、やることが多くて、ひとりだったら挫折していたと思います。
りお:楽しかったですよね。三人で役割分担して、それが見事にハマっていました。苦手分野は他のメンバーが補ってくれるから、それぞれ得意分野だけ頑張ればいいという。
まゆ:そうそう、三人それぞれ得意なところやこだわりたい箇所が絶妙に違っていて、それがいい感じにはまってどんどんアイデアが固まっていく過程が面白かったです。
望月:でも、まゆさんがデザイン、りおちゃんが編集作業をがんばってくれて、私の得意なことって感じで笑
りお:麻衣さんは『即決』ですよ笑
まゆ:ほんとに笑
望月:即決かぁ笑

◾️3.装画について

望月:割と早くかなさんに決まりましたよね。それこそ即決というか。
りお:かなさんは、愉怪屋さんの『余命』アンソロジーでかなさんがまゆさんの小説の扉絵を担当されていて、それがとても素敵で、個人的にweb小説の表紙を依頼したというご縁からなんですが、私もかなさんのイラストのファンになって。
まゆ:『背徳』というタイトルと同時に「表紙は男の人の横顔がいい」と表紙の構図が固まり、かなさんのイラストがイメージにぴったりだよねと依頼することが決まったんですよね。
望月:あれは、素敵なアイデアだった思います。商業ではなかなかできない構図ですよね。

◾️4.出来上がったイラストを見た感想

望月:本当に素敵なイラストが届いて、感激でしたよね。
まゆ:表紙と裏表紙にかけてどーん!とひとりの男性の横顔を描いてもらったのは、インパクトがあるしイラストの男性の物憂げな表情が引き立って大正解だったなと思っています。
りお:三人できゃっきゃと盛り上がりましたよね。「かっこいいー!」と。本当に求めていたというか期待以上のイラストが届いて、大喜びです。かなさんに依頼してよかった。
まゆ:興奮のあまり会話の流れがすごかったですよね笑

イラスト:かなさん

望月:それだけでも感激なのに、かなさん口絵を描いてくださって。
まゆ:口絵のイラストが本当に素敵で、「ぜひこのイラストを使ってしおりを作りたい!」とセリフ入りのしおりまで作ってしまいました。
りお:しおりも素晴らしかったです。
望月:ぜひ、お手に取ってもらいたいですよね。

特典として制作した栞

◾️5.寄稿した短編について

『画家と女のソープオペラ』 きたみまゆ

まゆ:『画家と女のソープオペラ』は武藤陸というキャラクターを書きたくて考えたお話です。 武藤陸は拙作の『働ク女神!』という札幌のデザイン事務所を舞台にした小説に出てくるキャラクターで、いつも飄々としていて掴みどころのない男です。
無気力で無害そうに見えるのにハマると依存性が高い厄介な男、という雰囲気が出せたらいいなと思いながら書きました。
作中でなかなか最低な発言をしているんですが、陸本人はまったく悪いと思っていないのが彼らしくてお気に入りです。

りお:私、ムトーリクが大好きなので、嬉しいです!
望月:『背徳』に相応しい男ですよね笑

『Oct.4:00AM』 野々山りお

りお:私は女の子のほうが追いかける作品を好んで書くので、この作品は少し珍しいタイプの作品だと思ってます。公開したのは十年以上前ですが、当時いろいろ感想などコメントをもらって、一途とは言えない女の子でもいいのかと驚いた記憶があります。
別にどちらも恋焦がれているわけではない。ただタイミングが重なってそうなってしまった。そしてそこに溺れることはないし、罪悪感を感じたりもしない。こういうドライな関係、自分が年齢を重ねた今、もう一度どこかで書いてみたい気もします。

望月:この二人の絶妙な距離感、たまらないですよね。ぜひ、書いてもらいたいです。
まゆ:秘密の時間を共有している共犯っぽい空気感が素敵ですよね!

『僕らのルール』 望月麻衣

望月:合同誌のあとがきにも書いたのですが、元の短編はデビュー前に書いた作品で、正直うろ覚えなんですが、『ヴァンパイア』をテーマに書こうと思ったんですよね。ヴァンパイアって美しくて残酷で、だけどどこか哀しいイメージがありまして、そうした雰囲気を込められたらと思ってました。元のタイトルは『ヴァンパイア・キス』なんですが、『僕らのルール』に改題しました。このタイトルで良かったと思ってます。なかなかに青臭い作品ですが、思い入れが強いので、こうして形にできて嬉しいです。

りお:この作品を読んで彼らの続きというか、短編連作形式でもっと読みたいなと思いました。

まゆ:たしかに連作短編読みたいです!次回はシュウのお話をぜひと切望しています!

◾️6.最後に刷り上がった本を受け取っての感想

まゆ:データ上で作ったものが実際に本になるって、こんなに達成感があるんだなと思いました。今まで商業では何冊も出版していただいていて、見本誌をいただくたびに毎回感激しているんですが、自分たちが一から作ったものを本にする過程は、商業とはまた違った意味で感慨深かったです。これは危険な沼だなと。たくさんの人たちが同人活動を楽しむ理由がわかりました。

りお:素晴らしいです!表紙の紙の種類や加工、本文の紙の種類などいろいろ調べていたとはいえ、実際どんなものかわからなかったけど、きれいに仕上がって良かったです。これは目立つだろうなと。会場でブースに並べるのが楽しみです!

望月:自分の手で作った本が届くというのは、商業とはまた別の喜びと達成感がありまして、まゆさんも仰ったように、これは本当に沼だなと。デビュー前にこの沼を知ってしまったら、それで満足してしまって今の自分はないかもしれないと思いました笑

◾️7.文学フリマ京都8を終えて(web限定おまけ)

まゆ:初めて現地に行って参加した文学フリマ、本当に楽しかったです。自分たちで作った本を直接読者さんお渡しできたのは、とても貴重で幸せな体験でした!
ブースに来てくださる方達がみんな笑顔なのが印象的で、イベント会場全体で楽しい時間を共有でしている感じがすごく素敵だなと思いました。

りお:想像していた通り見栄えのする表紙で、設営中にブースに並べていてワクワクしました。このこだわりの一冊をたくさんの方に届けることができて嬉しいです。皆様ありがとうございます。売り手としてイベントをしっかり楽しんで大満足です。またこのような機会があるといいなぁと思っています(ここで二人にアピールしておきます)

望月:今回2回目の文学フリマ。前回よりも余裕をもって臨めるかと思っていたんですが、いやはや前回同様、キャパオーバーになってしまいました。サポートてしてくださったりおさんとなにがしさんに心から感謝です。
そして今回のハイライトは、なんといってもまゆさんとの初対面!
お会いできて本当に嬉しかったです。
文学フリマは、私が他で行うイベントにはない、特別な熱気があり、今回も本当に楽しかったです。お越しくださった皆さま、ありがとうございました!

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