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自分の記憶ってどんな風に見える?

ふと気づいたんだけど、私の強い記憶として残っているものって、外から見ている状態だなと思った。
自分のことなのに、自分が見えている状態、第三者としてながめている状態での記憶になっている。

みんなそんな感じなのかな?
自分の記憶だったら、自分視点で自分から見えているものになりそうなのに。
自分を見ているってどういうことなのか不思議になる。
そんなことない?

私の1番最初の記憶が、完全に第三者視点だ。

薄暗くて広いおばあちゃんちの部屋で、大きなテーブルの前でひとりでいる。
多分目の前に折り紙とか絵本とかがおいてあって、おばあちゃんがのぞきにきて、「ひとりでいいこで待っててえらいね」って感じのことを言ってまた出ていく。
心細い感じとか、主観的な記憶もあるのに、おばあちゃんに声をかけられてうなずく自分の姿が見える。

そんな感じで、たくさんの記憶がある。
幼稚園でほかの子たちが集まって先生と一緒にわいわい遊んでいるのを、ちら見しつつはじっこの絵本の棚の前でもくもくと絵本を読んでいる自分の姿とか。
お友達に声かけられて、一緒に手をつないで移動している2人の姿とか。
本を読みながら歩いてるシーンとか。
バスケのシュート練してひたすら3P打ってはボール取りに行くっていうシーンとか。
ほとんどがそんな風に、自分を見ている気がする。

自分を見ているのと、自分から見ているのとが混ざっていることもある。
おじいちゃんに呼ばれて行ったら足元に巨大なミミズがいて飛びのいて逃げた、っていう他者視点の中に、足元を見たら両足の靴の前にそれよりも長いミミズがいるのを見た、っていう自分視点があったりとか。
講座を受講して、講師が話しているのを見ているのは自分視点だけど、ワークをしている自分たちとか、自分含めた講座全体の様子とかを見てるのは他者視点とか。
たたかれそうになっているときの相手の怒った顔とか振り上げた手は自分視点で見えてるけど、じっとたたかれている自分が他者視点で見えてるとか。
目の前にいる人を自分視点で見てるけど、お店のどこかから自分も含めてその席を見ている他者視点とか。

他者視点ベースなのが不思議で、私はどこから見てるんだろうと思う。
話を聞いたり写真で見たりして補完したイメージなら他者視点で見えるのわかるけど、シーン的にそうではないように思える。

でもときどき、自分視点での記憶、自分視点だけどその割にふんわりした記憶、とかがある。
記憶としてふんわりしているのに、イメージだけはっきりしていたりする。

多分、カメラをとおして見たものや、写真に撮ったものではないかと思う。
カメラで切り取った部分だけ、目に見えているところだけが鮮明で、その前後などがすごくぼんやりしているように思う。

くっきりしているのは、カメラで見たカメラの目であって、自分で見たものではないのではないかと思ってしまう。
切り取ったものは、自分の目でも見ているはずだけど(切り取った瞬間によっては見てるものはずれるかもしれないけど)、自分が直接見たものでなくて、カメラの中の絵面や写真になったものを記憶していないか。
自分の目で見たものは、カメラや写真に上書きされてしまっていないか。

そう思うと、他者視点で自分を見ている記憶っていうのは、目だけではなく身体全体で空間を記憶しているのかもしれないと思う。
視覚以外の感覚も合わせて、身体で感じ取っているものとかも含めて、ひとつの記憶にまとまっているような。

自分視点しかないときは、視覚だけの記憶なのかもしれない。
カメラを使うと、視覚にフォーカスしすぎて、ほかの感覚が使えてなかったり記憶が薄れるのかもしれない。

そうだとすると、カメラや写真って便利だけど怖いなとも思う。
記憶したり記録したりしたくて、鮮明に確実に残したくて撮るのだけど、目に見える以外を残せなくならないか。

カメラを通して見ているとき、カメラに映る狭い世界しか認識しなくなっているのではないか。
写真で残すことで鮮明で確実な記憶にはなるけど、カメラがなければ使っている、全身で記憶するみたいな機能がとまってたりなくなってたりするのではないか。

実際、自分で記憶していたイメージがあっても、写真を見たら写真のイメージしか思い出せなくなってしまったことはあって。
なので、写真撮りたいけど、撮るのをためらうときもある。
それでもなんだかんだと撮ってしまうし、撮ったら撮ったでそれをキーに思い出せたりして好きなのだけど。

でもやっぱり、何かをとおした記憶でなくて、自分の感覚で記憶していたいし思い出すのはそれがいいなと思う。
記憶するのと、思い出すための補助の記録と、うまく使いわけて覚えていたいな。

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