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伝わらなければ、存在しないのと同じ

「伝える」と「伝わる」の違いって、一体何なのでしょうか?

最近、考える機会は増えたものの、自分の中で「これだ!」という答えは見えていません。

でも、ある本と出会って、少し分かったような気がしました。

それが、小国士朗さん『笑える革命 ――笑えない「社会課題」の見え方が、ぐるりと変わるプロジェクト全解説』です。

「注文をまちがえる料理店」「deleteC」など、さまざまなプロジェクトを手がけ、伝えることに向き合い続けたプロデューサー小国さん。

サブタイトルにもある”笑えない「社会課題」”をテーマに、明るく世界を変えていく企画が紹介されています。

そんな小国さんが考える、これからの“企画のあり方"についてまとめられた1冊です。

視聴者が聞く耳を持つために

本書で、小国さんが繰り返し述べていていることがあります。
読む度に、突き刺さるものがありました。

「どれだけ大切なことだったとしても、伝わらないものは、存在しないのと同じ」
自分がどれほど大切だと思っていても、そのことを伝えるのは難しい。もし伝わっていなかったとしたら、それはこの世に存在しないのと同じこと、なんですよね。

どんなに自分が「伝えている」と思っていても、受け取り手に「伝わっている」状態でないと、意味がないと思うのです。

「自分が大切だと思うことを、熱量をもって伝える」。
こうした独りよがりな姿勢では客観性がまったくなく、何を言っても誰からも信用されません。

小国さんは、「ある意味でものすごく引いた視点を持っている人が「大切だ」と言うからこそ、視聴者が聞く耳を持ってくれる。」ともおっしゃっていて、印象的でした。

素人の違和感

また、個人的に勇気をもらった言葉が、「素人の違和感」を大切にするというもの。

なぜなら、「そのテーマに興味のない素人の方が圧倒的なマジョリティだから」と、小国さんは言います。

最初は素人だった内容も、仕事を通じてだんだんと分かってきた”つもり”になっていく経験、皆さんもありませんか?

わかった「つもり」になっている時が、一番ヤバいんだぞと。

届ける相手は、多くの場合「素人」です。

だからこそ、学び続けることと並行して、「素人の違和感」に敏感であり続けたいと感じました。

踏み込んだ表現に挑むために

最後に、「その表現、不謹慎じゃない?」という声について。

社会課題に関わる企画を通じて、きっと皆さんも耳にしたことがあるのではないでしょうか?

この問題をクリアするため、小国さんは大切にしていることの一つとして「土台作りは絶対に怠らない」を挙げています。

「不謹慎」という言葉は、特に社会課題を扱う時によく耳にします。この言葉を聞くと、誰かを傷つけるのではないかと、怖くて仕方がなくて、足がすくんで動けなくなりそうなこともあります。でも、どこにでもある、当たり障りのない表現では、誰にも何も伝わらないんですよね。だから、臆病な僕はできうる限りの準備を重ねて、1ミリでも1センチでも踏み込んだ表現に挑みたいと思っているのです。

私は、この「表現に挑む」ことに対して、ずっと不安を感じていました。

だから、当たり障りない表現に留まることは「仕方ない」と。

だけど、小国さんの本を読んで「伝わる」に対してもっと貪欲な姿勢も持ちたいと思ったのです。

土台づくりを丁寧に行う人

一方的な「伝える」で、誰かを傷つけることはしたくない。

でも、受け取り手へ「伝わる」ために、表現にも挑みたい。

だから、土台づくりを丁寧に行う人でありたいと心に決めたのでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございます🍀

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