見出し画像

僕が出会った経営者たち〜今何に困っているか、課題や問題は何かと話されて、、、それからおもむろに、ついては社長を継いでほしいとか、継いては取締役として入ってほしいとか切り出されます。

ゆっくり落ち着いて話せるところで話しましょう。僕の行きつけでいいですか。

会社のではなく、社長さんおひとりのコンサルティングを請負させて頂いている、自称「零細企業のおいぼれ社長」さん。

仕事を請け負う前、まずゆっくりお話ししたいと誘われました。
あー、このパターンか。あるあるなんだよなぁ。
この流れはだいたいが、会社を継いでくれないか、会社に入ってくれないか、って言われるやつです。

ときどき、というか、けっこうあります。
会社を転々として、いろいろな業種の会社の経営をしてきたので、そのあたりを見込んでくれるようで。
その流れで何度かはお受けしたこともあります。
ありがたいことです。

だいたい、個室の割とお高い和食料理店や星付きのレストランやお寿司屋さんを指定されます。
予約の取れなそうな、人気のお店だったりもします。
乾杯して、少し世間話しをして、相手方社長さんの起業からこれまでのご苦労の話しをされて、会社が今何に困っているか、課題や問題は何かと話されて、、、それからおもむろに、ついては社長を継いでほしいとか、継いては取締役として入ってほしいとか切り出されます。

今は、僕は、自分の会社をつくり、コンサルティングだけでやっていくつもりなので、、、その手の話しならばうまくお断りしなければなりません。
そして、できれば、外部から仕事として請け負い経営のお手伝いをする方向にもっていかねばです。

先方の会社の最寄駅で待ち合わせして(そのパターンはあまりないです、だいたいお店を秘書の方やご本人が伝えてきてお店で待ち合わせになります)、お会いすると、じゃあ、いきましょうと歩き出しました。

ひとりでぼーっとしたいとき、ひとりで考えごとをしたいときや、何も考えずに飲んで食べて帰って寝たいときに行く店なんです、と。

そっかそっか、隠れ家ね、あるある。
経営者は孤独です。社員はもとより、家族にさえ、仕事の悩みや課題を話せなかったりもします。
そういうときに、そっとひとりで過ごせる場は大切で、多くの経営者がそれぞれにそういう場、そういう時間をもっています。

駅から歩いてすぐ、行き着いたお店は、、、。
ここが好きでね、ワサワサしてる喧騒が落ち着きます、ワインを飲んで、好きなだけ食べて、考えたり、本読んだりして過ごすんです、と。

僕はこの社長さんがいっぺんに好きになりました。シンクロしちゃったんですね。わかるわかる、わかります、って。

小料理屋さんだと女将や大将が気を遣ってくれます。ひとりで行けば尚更です。気を遣われれば、こちらも気遣いします。
それが経営者ってものです。

星付きのレストランのかっちりした、レベルの高い、受け手にとってはときに慇懃無礼なサービスは疲れます。きちんとしたサービスの前ではきちんとした客でらあろうとします。
それが経営者ってものです。

高級なお寿司屋さんは、高級だあればあるほどに客であるこちらも襟を正して臨まざるおえない。お店側がそんなことないですよと言ってくれても。
それが経営者ってものです。

お店側のことも、他のお客さんのことも気にせずに、好きなように時間を過ごせる場ってなかなかないのです。
それが経営者ってものです。

オーダーしたワインボトルを開栓して、ふたつのグラスに注ぎながら、、、
僕が、うちに入ってくれ、社長になる気はないか、と言ってもマキノさんは断るでしょ。
役員報酬と同じ金額を支払うのでコンサルしてください、それなら良いよね。

僕のこれまでのことや、今の考えをすべてお見通しであるかのように。
参りましたね。まだ仕事もしてないのに、こんなにわかられちゃうのははじめてです。

役員報酬と同じ額ではとてもじゃないがお請けできないです。
コンサルティングを生業として、ブライスを明示してやらせてもらってますから、その金額でなら仕事させてください。

僕の返答に社長さんは、破顔一笑。
そうきましたか、そこまではよめなかったな、と握手を求められました。
サイゼリヤにて。

質実をほんとうに大切にする方で、会社の文化にもそれは表れています。
こういう「零細企業」が、この国をつくり支えているんだなと、勉強させてもらっています。
もちろん、コンサルティングの成果は出してます。すぐに数字でわかる成果を。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?