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3年ぶりの夏行(仮題)

私が年2回、「お詣で」と称して寒行をやっていることは、過去にレポート等も含めて書かせていただきました(尚、今年の二回目は祭礼中止のため参加できませんでした)。

その他に夏行などというものも行っていましたが、2020年、2021年とコロナ感染拡大の影響もあり、結局今まで1度しか実施できていませんでした。
ただ、今年は海開きもあったことだし、これは早々にやっておかねばと思い立ち、行って参りました。

私の夏行は、冬行と違い荒行ではありません。あくまで自分主導で、自分のペースで、自分の作法に則り、自分の魂と向き合い、積んできたや、それにともない蓄積されてきた穢れを天地人に報告する、静かな修行となります。

実施日は7月4日(月)。この日にやる特別な意味が私にはあるのです。
台風4号が接近しているとの情報がありましたが、天候や波の情報等によれば、中止する程の理由がなかったので、満を持して、心を穏やかに鎮めて、覚悟をもって。

場所は葉山の森戸海岸。3年前に最初の夏行を実施した場所です。
前回は日差しが強く、比較的人出もありましたが、今回は曇り、波は穏やか。まだ7月平日とあって人もまばら。

曇ってても富士山が拝めました。幸先いい
海開き直後は天候もよく、人出も多かったそうですが、平日はこんなもんでした。

そして3年前お世話になった海の家へ。
なんと、女将さん、私のことを一発で憶えていてくれていました
例の白装束に着替える前の普段着姿でです。ご縁って嬉しい。ありがたい。今年も安心して一見自殺志願者のような恰好をさせていただきます。

白装束を着る意味は過去記事に記載しています。

まずは砂浜に跪き、森戸神社(森戸大明神)の方向へ深々と一礼。への報告と宣誓です。
そして海の方向へ一礼。これはへの報告と宣誓。

さらに、さほど賑わっていないビーチへ一礼。
への儀礼は天地よりも敷居の高いものです。今ここにいる「人」の中で、完全な非武装、完全な丸腰は私だけ。つまりは最も弱く、最も卑しい存在として存在しているからです。
内なる私を攻撃するなら今なのです。今ひとたび私を穢せば、纏っている白装束はたちまち醜く染まり、肌は鱗で覆われ、尻から尾が伸び、手足は削げ、醜い蛇(邪)の姿に変身するでしょう。

普通の「人」はそんなこと考えませんよね。
でも、私はここに、穢れを祓うという目的で来たのです。冬行の時同様の覚悟が必要なのです。
言い訳しない、抗戦しない、逃げない。それをもって「潔し」
ただ清らかなだけの人はいません。現世は常に煩悩との戦いです。それによって負った自分の穢れも卑しさも全部さらけ出して「潔し」。

そして行衣を脱いで海水へ。
月初めが猛暑だったせいか、7月の海は意外と冷たくは感じませんでした。
それでも深みへ進み、頭まで浸かり、水中を潜る、泳ぐ。海(地)と一体化する。ああ、やはり私は海の人だ。安らぐ。浄められる。還る。
この清々しい感覚は、山で感じる人もいれば川で感じる人もいるでしょう。でも私は海。

砂浜に上がると、周囲には「人」と思いきや。
意外と人少ないな。来る日を間違えたか。。。
私の出で立ちは、完全丸腰の正装。不浄の部位だけ潔白で覆った姿。人が多ければ悪目立ちもするでしょうが、見られてなんぼ。凛と振舞ってなんぼ。「潔し」と自評するには分母が少なすぎました。またいずれ、適度に人が多い日に出直そう。

海岸のすぐ近くには森戸神社(森戸大明神)があります。
参拝するには襟を正す必要があり、「マスク着用のこと」とのお達しがあるため、再び行衣を着て、口元にマスクを。
これは私の作法では真逆なのですが、ここでの作法に倣わなければ天は私を無視することになります。

柏手を打って神々に自らのすべてを報告。
多くの人のに恵まれ、世界が広がったこと。
病に倒れ、それでも数々の幸運に命を救われたこと。
天職と思い込んでいた仕事を失い、心を病みかけたこと。
大事な家族を失い、悲しみにくれたこと。

心の経験により徳を積み、積んだ徳の分だけ穢れを背負う、現世に生きるものとしての最善の努力としての「潔さ」の宣誓

そして鳥居を出て
6年前に出会った「友」から教わったあの修行者の出で立ち「腰ひもを鉢巻にして頭に巻き、行衣の裾を前で結び」。
胸と尻を晒して通りを歩く。
途中には交番がありますが、凛としてさえいればなにも怪しまれない。たとえ職質を受けたとしても、言い訳しない、抗戦しない、逃げない。

そして再び海水を全身に浴び、しばし砂浜で瞑想。

満ち足りたひととき

海の家に戻り、一人での夏行はこれで終了です。
でも、もう一度来ます。人が少なすぎず、多すぎず。そういう時期に。
次回こそ本当の覚悟が試されることになります。

最後に「丸腰」で海に向かい
深々と一礼


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