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姫木平ホワイトバーチキャンプフィールド 雪中キャンプ実践記

雪のあるキャンプ場でキャンプしてみたい。

キャンプにハマり、冬キャンプの魅力に取りつかれた、まず雪の降らない静岡県民の夢。
気温だけはやたらと低い朝霧高原や山梨での冬キャンプを数々行い、雪の降る地域の方からしたら鼻で笑われてしまうような残雪や、チラチラ舞う程度の雪を喜ぶようなそんな日々だった。

そんなある日のこと。
キャンプ仲間から聞いて、ゴールデンウィークに行こうと予約していた「姫木平ホワイトバーチキャンプフィールド」で1日限りのプレミアム冬キャンプがある…と。

場所は長野県、白樺湖の少し先。
長野県のあの辺りが大好きな自分としては土地勘はある。
道もわかる。
こんなチャンス、めったに無い!
予約しなきゃ!





…予約忘れてた。
気付いたときには終わってた。
予約開始の2月6日午前0時。
思いっきりふもとっぱらでキャンプしてた。
すっかり忘れてw

そこからキャンセル待ちの日々。
幸い(?)にして、当日の予報は南岸低気圧が通過して、天気は悪い。
数少ない予約数とはいえ、キャンセルする人が1組くらいあるかもしれない…。
3日前からキャンセル料が発生するから、それより前の直前が一番キャンセルが出やすいのではないだろうか。

そんなことを思ってチェックしたメールに、「キャンセル発生通知」

きたあああああああああああああああああああああああああああ!!
焦りながら画面を入力して、無事予約完了。

行ける!
姫木平に行ける!!
残雪中キャンプじゃない、雪中キャンプが出来る!!!

朝から狂喜乱舞してたら仕事遅刻しました←


迎えた当日
午前8時に清水IC手前のコンビニでキャンプ仲間のSさんと合流。
今回は1区画に2張り、それぞれの車で現地へ向かう。
いい年したおっさんが、遠足状態でウキウキw
清水IC→東名高速→中部横断道→中央道→諏訪IC
2時間弱で諏訪へ。
諏訪から茅野方面へ向かい、スーパーで食材を調達して10時15分ころ白樺湖方面へ。


152号線をひたすら北上。
土曜日は道の脇には雪は残るものの、路面はほぼ乾燥状態で雪もなく、すいすいと現地へ到着。

11時からのアーリーチェックインの予約をしていたものの、こんな中に来る人達は好きものばかりなので、ほぼ全員アーリーチェックイン組。
11時前に到着したものの、20組中11番目の到着。

順番に受付と場内の説明を聞き、会計を済ませた順番に好きな区画を確保していく形で場内がオープン。
僕らは入り口に一番近い区画を狙っていたのですが、皆さん奥の方へ行かれたため、狙っていた区画を確保できた。

鎌倉天幕 HIDEOUT-01D
SさんのNORTENT Gamme8

サイトはある程度除雪をしてくれてあり、テントのサイズに合わせる形で周囲を少し拡張。
汗だくになりながら雪かきと設営。

十割そば(限定太麺)

設営後は近くの利休庵というお蕎麦屋さんへ。
前評判とおりとても美味しい。
限定の太い麺の蕎麦があるとのことで、それを頂くとしっかりした蕎麦の味がガツンと。
コレはおすすめ!
細麺の二八そばも頂いたけど、食べやすさは二八そば。
個人的には十割そばが好き!

雪に埋まるコーラたち
キャンプ場スタッフさんによるスノーキャンドル
雪中焚き火
雪中ランタン
僕らのサイト
雪に映えるHIDEOUT-01D

夕方から雪。
気温は-1℃台。
予報通り、全然寒くない。
南岸低気圧が暖かい空気を運んできている上に、上空に雲があって蓋をしているため、気温が下がらない。
流石にこの気温だと、降る雪が重い。
テントの中にいると、雪の音がまるで雨音のように聞こえ、雪がテントの幕を滑り落ちるたびに、ずざーっと音を立てる。

何度か雪かきを行い、テントの近くの雪をどかし、幕を圧迫する雪をどける。
もうそろそろ止んでくれてもいいのにな。
そんな気持ちをよそに、雨雲レーダーは朝まで雪の予報だった。

ランタンを消す。
寝袋に潜り込む。
前日、遠足の前の小学生のように眠れなかったせいか、いつの間にか眠りに落ちた。



目が覚める。
静寂。
眠る前にあった、雨のような雪の音がない。
なんの音もしない。
もしかして、死んでしまったんだろうか?
もしかして、一酸化炭素中毒?
いやいや、そんな馬鹿な、と時計を見る。
深夜2時。
なんだ、やっぱ生きてるじゃないか。
ふとコット(アウトドア用ベッド)の上から、幕をチェックする。


ものすごく圧迫されてる。
なんだこれ。
一気に眠気が失せ、靴を履き、起き上がる。
NORTHFACEのウィンターブーツ、撥水はするものの、ずっと雪の中で使っていたせいで流石に染みてきている。
足が冷たいが気にしていられない。
出入り口を開けた。

すると、眠る前に比べて30cmほど積雪量が増えている。

「なんだこりゃ」

素直に声が出た。
テントの脇に突き刺してあったスコップで、テントの回りを一周除雪。
幕に傷をつけないように、近いところは慎重に。
目が覚めた時静寂だったのは、一時的に雪がやんでいたせいらしい。
雪かきをしていると、また雪が舞ってきた。

テントの回りをしっかりと除雪して、冷えた体を寝袋に押し込む。
なかなか寝付けないまま、雪の音を聞いていた。



ソロキャンプって、何が楽しいの?
と聞かれることがある。
キャンプ行って、何をしてるの?
これもよく聞かれる。


何が楽しいのか、自分ではよくわからない。
何をしてるって、キャンプしてるんだよ。

そうとしか、答えられない。

無になるんだ。
キャンプしてると。

何も考えなくていいんだ。
仕事のこと。
家族のこと。
世の中のこと。
クソみたいな人間関係のこと。
自分を取り囲む意味のわからないすべてのこと。

テント立てて
好きなギアを好きなように配置して
好きな料理好きなように調理して食べて
焚き火して火を眺めて
好きなタイミングで眠る

それ以外に何がある?
それ以上に何かしなければいけない?
俺のキャンプは、これでいいんだ。

そんな事を考えていたら、また眠りに落ちていた。










朝6時
外を歩く人の気配と、雪を踏む音で目が覚めた。
雪はやんでいた。
テントを出る。
2時のときから、また同じくらい積もっている。
冷たいブーツに足を入れ、手袋をしてスコップを手にする。
深く、冷たい雪をどける。
何も飲んでいない喉はカラカラになった。

曇っていた空が晴れていく。
天気予報は雪のち晴れ。
大雪をもたらした南岸低気圧は抜けたみたいだ。

場内の積雪は40〜50cmほど増加した。







雪を踏みしめ、作業スペースを作り、朝食と撤収作業に入る。
朝は、ご飯炊いて、レトルトのカレーでいいや。
バーナーで炊飯し、ストーブ上のケトルにレトルトカレーを放り込む。
こんな食事が、最高に美味しい。

スタッフさんが除雪してくれ、車の移動ができるようになった。
こんもりと積もった雪を下ろし、車に荷物を積み込む。


荷物を片付け、ただの雪のある空地になったサイトを見て少し寂しく思う。
たしかに一晩、俺はここに居たんだ。
どのキャンプ場で、どこにキャンプしても同じように思う。

道路の除雪も進んでいる。
さぁ、現実に帰ろう。
荷物を積み込んだ愛車で、ゆっくり山を降ろう。


最高の環境で、最高の経験をさせてくれた姫木平ホワイトバーチキャンプフィールドのみなさん、本当にありがとうございました。
次はグリーンシーズンに伺います!

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