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北海道大学のポプラ並木は


興奮冷めやらぬ、
TOKYO2020フルマラソン激走後の札幌。
見慣れた景色で繰り広げられる激闘を不思議な気持ちでテレビ越しに見守っていたら、全ての道や建物をちゃんと覚えていた。
丁度近くで用事があったので、テレビを見た後ついでに少し北大のイチョウ並木を散歩したら、偶然北大病院の前を通りがかった。
病棟のにおいが鮮明に思い出されて胸が締め付けられる一方で、懐かしく物凄く愛しかった。

癌が見つかった頃には、末期で助からない命だった。母方の祖母の最期を看取るため、母と弟と3人で札幌へ戻り、介護のお手伝いをする日々が始まった。小生、その当時、小学生。

潔く好きなものばっか食べて死のうということで、ファンタとサーティーワンしか飲み食いしなかった(というより、それしか食べられなくなった)祖母に会いに、雪降りしきる中、学校のあとも毎日通った。
吹雪なのに、来る日も来る日もサーティーワンばっか買って行った。
鼻垂れ小僧の弟と小さいいとこは、その頃すごく可愛かった。北海道大学の構内は、子どもながらにつくづく広いなと思ってたけど、フルマラソンのコースになるほどやっぱり広かった。

あの時は途方もなく長く感じて、一生懸命アイスが溶ける前に祖母に届けようとヨチヨチと走った道も、今となれば一瞬で駆け抜けることができる。

悲しくて寂しくて弱々しかった17年前の私は、
出来ることを増やしていきたかった。
そうやって17年間すごすと、それなりに強くなれるから大丈夫と伝えにいきたい。

ヨチヨチとお散歩している近所の子らしき、小さな姿が見えた。いつも以上にそういった姿を愛しく感じた。

おわり

2021.8

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