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最初の海の思い出〜海をなめちゃいけない

物心がついてはじめて行った海はおそらく「須磨海岸」

関西住まいの人にとっての湘南鎌倉がおそらく須磨海岸っていうと怒られるか?

中学生の時だったか、いとこ達と家族で須磨海岸へ海水浴へ行った。
あまり泳ぎは得意ではなかったので、
いつもは浮き輪につかまってプカプカしているだけなのに、
同年代のいとこ達と一緒で背伸びしたのか、

「遊泳区域いっぱいまで競争や!」

の掛け声に、えいやっ!と浮き輪から出て泳ぎ出した。

あ、足がつかないんだ・・

一瞬、動揺したが、もう後にはひけない。
何も考えずに無我夢中になって、手足をバタバタと動かし続けたら、
なんとか遊泳区域を示すロープにたどりついた。

やった!
息が激しい。
ロープに捕まって一息ついていると、
「じゃぁ、戻るで!」
早々と着いていたいとこ達が浜辺に向かって泳ぎだしていく。

え、もう行くのか。

ずっとここに捕まっている訳にもいかないので、
僕も取り残されないように泳ぎだした。

だけど、さっきと何か様子が違う。

波に身体が引っ張られてなかなか前に進まない。

しんどい。

油断していると、波を頭からかぶって水を飲んだ。

塩っぱい。
むせる。
また水を飲む。

あ、もうダメかも。
そんな考えが頭をよぎるが、とにかく泳ぎ続けなきゃ。

もはや、泳いでいるのか溺れているのか分からない感じになって、
闇雲に手を動かす、足で水を蹴る。

浜辺が見えるけれど、まだ遠い。

あぁ、もうダメだ。。。

身体の力を抜いたら、海底に足がついた。
あれ?
もう、足が届く!

遠浅のところまで少し流されていたのか、
浜辺が最初にいたところより遠く見えてたけれど、
浅いところが続いていた。

助かった。。。

そのまま泳いでいるフリをして、
皆のいる浜辺の方まで斜めに手だけ動かして歩いていく。

「おった、おった。遅かったやん!溺れてたんとちゃうか?」

「そんな訳あるわけないやん」

もう二度と足のつかないところへは出ていくまい、と思った。

<了>

#わたしと海

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