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企業法 重要論点集

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過去問から重要論点を抜粋。
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経営判断の法理

会社の経営環境には不確実性があるため、取締役は将来の経営環境の変化を予測できずに結果的に経営判断を誤ることがある。
このような場合、裁判所の事後的な判断によって善管注意義務違反を理由に取締役の責任を追及することを許せば、取締役は事後の責任追及をおそれて経営判断が消極的になり、会社の発展は阻害されることになる。
したがって、取締役の経営判断の失敗によって会社に損害を与えたとしても、それをもって取締役

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株主総会決議の効力を争うための方法

・株主総会決議取消の訴え
・株主総会決議無効確認の訴え
・株主総会決議不存在確認の訴え

株主総会決議の効力を争うためには、これらの手続によらなければならない。
無効の一般原則によれば「いつでも誰でも無効を主張できる」が、それでは会社をめぐる多数の利害関係人の法律関係が不安定になってしまう。
そこで、一定の手続を踏んだ場合にだけ株主総会決議の効力を争うことができるとし、さらに決議に対世効を認めるこ

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代理人による議決権行使

<株主総会>

株主は、代理人により議決権を行使することもできる。

議決権の行使を容易にするためである。

会社は定款の規定で代理行使を禁止し、または不当に制限できない。

<取締役会>

取締役は、代理人により議決権を行使することができない。

取締役会は、「取締役の協議と意見の交換により、知識と経験を結集して一定の結論を得るための制度」であるからである。

取締役は、自ら会議に出席して議決権

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社債管理者の誠実義務

社債権者の利益と社債管理者の利益とが相反する場合において、社債の償還等を妨げるような、社債権者の利益を犠牲にして自己又は第三者の利益を図る行為を行なってはならない。
義務違反があった場合、社債権者に対し、損害賠償責任を負う。

組織再編成(金融商品取引法2条の2)

・合併
・会社分割
・株式交換
・株式移転

外観法理(表見法理)

・表見代表取締役(354条)
・表見代表執行役(421条)
・名板貸人の責任
・表見支配人
・不実登記の効力の制度(908条2項)

354条 表見代表取締役

企業法2016 第2問 問題2
使用人に類推適用できるか?
→趣旨より判断
本件で類推適用できるか?
→要件とあてはめ

自己株式の取得

株式会社が市場取引により自己株式を取得する場合、/当該取得の対価として支払う金額の総額は、「当該取得がその効力を生ずる日における分配可能額」を超えてはならない。

商人(商法4条)

自己の名をもって商行為をすることを業とする者をいう(固有の商人)。

店舗等の設備によって物品の販売を営業として行う者・鉱業を営む者は、商行為を業として行わなくても、商人とされる(擬制商人)。

株券等の大量保有報告制度(5%ルール)

(上場されている株券等の発行会社が発行する)株券等を、発行済株式総数の5%を超えて保有する大量保有者に、/大量保有に関する情報を記載した大量保有報告書を(内閣総理大臣宛に)提出させ、公衆の縦覧に供する制度である。

注:
提出するのは保有者(取得者)である。
→EDINETの「書類検索」から調べられる。市場価格の急激な変動の原因になっていたりする。

絶対的商行為

行為者が商人か否か、反復して行われるか否かを問わず、商行為とされるものである。

非商人の一回限りの行為であっても商行為となり、商法の適用を受けることになる。

商法では、501条に4つの行為が列挙されている。

相対的商行為

一定の主体の営業上の行為として行われることにより商行為となるものである。
営業的商行為と附属的商行為とがある。
営業的商行為とは、営業として反復•継続して行われることにより商行為となるものである。
附属的商行為とは、商人が営業のためになすことによって商行為となるものである。

仲立

「他人間の法律行為の媒介」を引き受ける行為のことをいう。

営業的商行為の一つである。

仲立人や媒介代理商の行為が仲立に当たる。

取次

「自己の名をもって、他人の計算において法律行為をすること」を引き受ける行為のことをいう。

営業的商行為の一つである。

取次を業とする者のことを取次商といい、商法上は、問屋、運送取扱人、準問屋の3つがある。