映画メモ #2:『君たちはどう生きるか』(2023)

この映画のテーマやメッセージは何だったんだろう.個人的には,読み取れなかった.「もうわかりやすくエンタメ性の強い作品は作ってあげないよ」というのが,メッセージだったのかも.宮崎監督の絵を動かしてきた人生に対する,思い出と無念みたいなものは感じた.あと強烈な悪意を.

食欲旺盛なインコたち.これは私のような消費者のことなんだろうと思った.王に指揮され,誰かが言った言葉を繰り返す存在という意味で.また,ペリカンは,ここではないどこかを目指したがどこにも行けず次世代を食う存在.これは団塊の世代の学生運動をしていた人たちのことなのかなと思った.嘘つきなアオサギ,そして嘘つきな自分自身に振り回される主人公.それぞれの役は誰のことだったのか,おそらく宮崎監督と深い関係がある人物が投影されているのだろう.ここにも何らかの悪意がこめられていたのだろうか.

悪意のある作品好きだな.バカにされることで,バカであることを自覚できる.なにくそという闘志もわく.観た直後はポカンとしたが,少しずつこの作品の面白さがわかってきた気がする.

あと,ぶっきらぼうな日本語の美しさと温かさと力強さを随所に感じた.こうした日本語は消えていくのかな.パワハラや失礼にならないよう,形式だけなぞる敬語だけが残るのは嫌だな.



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