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ビジネス書やポピュラーサイエンスの本を好む.主な関心は「好循環」と「悪循環」.今は「反…

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ビジネス書やポピュラーサイエンスの本を好む.主な関心は「好循環」と「悪循環」.今は「反証可能性」と「理外の理」が気になりだしたところで,「認知科学」,「ネットワーク科学」,「マーケティング」が面白しくてしょうがない.

マガジン

  • 読んだ本

    読書の価値は,「情報」でなく「体験」にあると思う.「この本読んでみよう」と思える文章が書きたいけど,要約にとどまっているのが現状.

  • 観た映画

    月2本くらいのペースで観ようかなと努力中.映画は,異文化体験装置や共通言語として便利だと思う.いままで100本も観てないので,映像表現のパターンが認識できず,意図が読み取れないことが多いのが現状.

最近の記事

『脳の地図を書き換える 神経科学の冒険』を読んだ.

『脳の地図を書き換える 神経科学の冒険』を読んだ. 脳はすごい柔軟性を持って生まれるようだ.つなぐセンサやアクチュエータが違えば,脳の地図も変わるものらしい.感覚代行,感覚追加,ブレイン・マシン・インターフェースなど,脳の可塑性を活用した技術の数々に驚かされた.そして,カエルの実験により,はっきりと脳の地図が書き換わることを示され,自分の脳の地図も書き換えたくなった. しかし残念なことに,脳の柔軟性が高いのは8歳までということだ.ただし,8歳以降も感覚と身体操作の部分はか

    • 「知覚の本質は,脳の物語製造能力...?→!」という本を読んだ

      『心はこうして創られる「即興する脳」の心理学』を読んだ.本書の結論には,本当にしびれた.知覚や思考というものは,私が思っていたものではなかったようだ. 知覚と思考の本質は脳の物語製造能力…?脳は並外れたストーリーテラーで,つぎつぎと物語を生産する.このことは,いろいろな本に書かれていて直感的に理解していた.脳が創り出す思考や感情という物語に,振り回されすぎることなく,行動することの大事さを感じている. 驚いたことに,この物語製造能力こそが知覚と思考の本質であると,本書は主

      • 「迷走文章矯正ギプス」だと感じた本〜パラグラフ・ライティングの入門書を読んだ

        『論理が伝わる世界標準の「書く技術」』を読んだ.本書は,パラグラフ・ライティングという,読み手の負担が軽い,情報伝達に特化した文章の書き方を学べる良書である. 読んでいてとてもシンドイ文章にでくわすことがある.この手の文章は「いま何を読まされているんだろう?」,「結局何が言いたかったんだ?」といったように,読み手を迷走させる. この種の,読み手を迷わす文章を矯正するギプスとして,パラグラフ・ライティングは役くに立つと感じた.というのも,パラグラフ・ライティングには型がある

        • 『世界少子化考 子供が増えれば幸せなのか』を読んだ

          『世界少子化考 子供が増えれば幸せなのか』を読んだ.世界各国の経済状況,家族観,法制度,少子化対策,の背景と現地の人々がどう感じているかがコンパクトにまとまっており,大変参考になった. 都市集中による過剰競争社会(韓国,中国)韓国と中国は,都市と田舎で賃金の格差がとても大きいそうだ.それにより,都市に人々が集中した結果,「異常な受験競争」と「不動産価格の高騰」が引き起こされており,結婚や子育てに必要な費用がどんどん高くなっている模様.韓国には「非婚主義」や「三放世代(恋愛,

        『脳の地図を書き換える 神経科学の冒険』を読んだ.

        • 「知覚の本質は,脳の物語製造能力...?→!」という本を読んだ

        • 「迷走文章矯正ギプス」だと感じた本〜パラグラフ・ライティングの入門書を読んだ

        • 『世界少子化考 子供が増えれば幸せなのか』を読んだ

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        • 読んだ本
          27本
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          3本

        記事

          「自己流」と「成功者のマネ」は1:9が最適らしい

          『ソーシャル物理学:「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学』を読んだ.原著は2014年に出版されているので,だいぶ古い本だが参考になった. スマホや専用計測機器で計測したビックデータにより,誰と誰がどのくらいの頻度でコミュニケーションをとっているかなどが,創造性や生産性にどのような影響をあたえているかを分析したもの. 「アイデアの流れ」という,文脈依存性が強すぎて反証不可能なものを対象にしているので,これを科学と呼ぶのはどうかと思う.とはいえ参考になる部分はあった.

          「自己流」と「成功者のマネ」は1:9が最適らしい

          社会あっての天才,天才あっての社会〜『Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔』を読んだ.

          『Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔』を読んだ. 台湾のIT相のオードリー・タンさんの評伝.日本の読者に向けて書かれているため,台湾の社会制度なども都度補足してくれていて,読みやすかった. 天才という少数派が,いかに周りの人に支えられ,社会への参加できるようになったのかという物語.小学校や中学校になじめないタンさんを受け入れてくれた高校や大学そしてハッカーの人々.そしてそれらの人々の場所へ連れて行った両親.支えてくれた社会への想いが,IT相としての活動に反映されて

          社会あっての天才,天才あっての社会〜『Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔』を読んだ.

          「使える知識」はどうすれば身につくか 〜『私たちはどう学んでいるのか ー 創発から見る認知の変化』を読んだ

          『私たちはどう学んでいるのか ー 創発から見る認知の変化』を読んだ.「使える知識はどうすれば身につくんだろう」という点について,認知科学の専門家が知見をまとめてくれており,大変参考になった.教える人も教わる人も参考になる内容だと思う. ざっと要約すると,「知識は属人化するものだし文脈依存性があるものなので,簡単に教えたり教わったりできるものではないよ.だから,受動的な学びだけでなく対話や試行錯誤をとおして身につけよう」って感じ. 知識は,簡単に教えたり教わったりできない知

          「使える知識」はどうすれば身につくか 〜『私たちはどう学んでいるのか ー 創発から見る認知の変化』を読んだ

          「生物と経済はべき乗則でスケーリングし,空間充填フラクタルネットワークで説明できる」という理系的脳汁本を読んだ

          『スケール 万物を支配する「大きさ」の法則』を読んだ.スゴい本だった.レジェンド本入り決定. ざっと要約すると,「生物と経済はべき乗則でスケーリングし,それらは空間充填フラクタルネットワークで説明できるのでは」という内容だった. かつての理系としては,久々に知的好奇心によるワクワクと,わからなさというモヤモヤを感じ,やっぱ数学や科学っておもしれーなと思った. なにより,執筆時に75歳の著者が,理論物理学と複雑ネットワークの研究を通して感じた,喜びと感謝,そして大きく変わ

          「生物と経済はべき乗則でスケーリングし,空間充填フラクタルネットワークで説明できる」という理系的脳汁本を読んだ

          「正義を主張してはボコられる登場人物たち」を通して「哲学を学べる小説」を読んだ

          『正義の教室』を読みました. 高校を舞台に,「平等」「自由」「宗教」という価値観をもつ登場人物たちが,正義を主張してはボコられるという展開でした.そんな物語を通して,「功利主義」,「自由主義」,「直感主義」,「ポスト構造主義」といった哲学思想の特徴と問題点を学べるという仕様です. とにかく,よく練られていると感じました.登場人物たちが,よくある疑問を代弁してくれるため,哲学の知識ゼロでもすんなり理解できました.また,ストーリーや会話の流れがスムーズで,よけいな描写がない点

          「正義を主張してはボコられる登場人物たち」を通して「哲学を学べる小説」を読んだ

          「自分の評判で食えるようになるには2年くらいかかるよ」という本を読んだ

          『ロングゲーム 今、自分にとっていちばん意味のあることをするために』を読んだ.コンサル,コーチング,インフルエンサーなど,「自分の評判で食っていく」という覚悟を決めた人には,とても参考になる本だと思う. 著者はビジネスに関する,著作,コンサル,コーチイングなどで活躍している人.著者自信やその関係者の経験をもとに,「評判で食っていく業界」において,「人生設計」,「評判の築き方」,「評判の活用方法」,「人脈づくり」といった戦略が具体的で参考になった. 個人的に参考になった点は

          「自分の評判で食えるようになるには2年くらいかかるよ」という本を読んだ

          「ちょっとした態度がチームの空気を変えちゃうよ」という本を読んだ

          『THE CULTURE CODE ―カルチャーコード― 最強チームをつくる方法』を読んだ.ネイビーシールズ,プロバスケチーム,レストラン,ピクサー,窃盗団など一流チームを調査し共通点をまとめた本. 一流チームの共通点は,「チームの成功が,自分の成功」と心から思えるような文化をつくっていることである.このような文化はちょっとした態度の積み重ねで生まれる.このちょっとした態度というシグナルが,チームの空気を変えるという事例がたくさん紹介してありとても参考になった. 以下にシ

          「ちょっとした態度がチームの空気を変えちゃうよ」という本を読んだ

          「理外の理や演出が過小評価されているのでは?」という本を読んだ

          『欲望の錬金術―伝説の広告人が明かす不合理のマーケティング』を読んだ.広告業としての人々の不合理な行動を観てきた著者が,近年の「エビデンス主義」や「認知バイアスは避けるべき欠陥」とみなす流れに対して,「よくわからないが上手くいくこと」もあることや,「不確実な世界で生き残ってきた人類の,社会的知性を無視しすぎているのでは?」といった意見をぶちまけていて面白かった. 参考になった点,大きく3つ. 1.エビデンス主義に対する注意 「あらゆる解決策には,論理的根拠があるべきだ」

          「理外の理や演出が過小評価されているのでは?」という本を読んだ

          映画メモ #3:『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2015)

          『マネー・ショート 華麗なる大逆転』を観ました. 2007年の世界金融危機が起きるまでを舞台にした映画.銀行や格付け機関などがこぞって安全という金融商品があった.その安全神話の破綻に賭けてボロ儲けした変わり者たちを主人公にし,当時何が起きていたかを映像化したもの. 銀行と証券格付け機関との事実上の癒着といった詐欺的行為は,結局裁かれず.騙された市民は資産や退職金などを大幅に減らしたらしい.そして,銀行を救うために税金が投入される始末. 個人的に収穫だったのは,証券取引と

          映画メモ #3:『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2015)

          「コミットなくして失敗なし.失敗なくして進歩なし.」と痛感させられた本

          『失敗の科学』という本を読んだ.この本はスゴい.レジェンド本に追加. 本書は,生々しい失敗の事例を通して,ハラハラドキドキしながら,失敗について学べる本.失敗から学び進歩する人や組織がある一方で,失敗を隠蔽し進歩しない人と組織があるのはなぜか.彼らはなぜ失敗を認められないのか. 個人的には,「失敗」と「責任」と「進歩」といった言葉の輪郭がだいぶはっきりした.今の社会が上手く機能していない原因の一端がわかった気がする. 個人的には,学生におすすめしたい.将来の職業選択につ

          「コミットなくして失敗なし.失敗なくして進歩なし.」と痛感させられた本

          「書く前に,テーマを決めるな,計画たてるな,メモをとれ」という本を読んだ

          『TAKE NOTES!――メモで、あなただけのアウトプットが自然にできるようになる』を読んだ.メモを起点に独自のアイデアや洞察を生む方法が紹介されている.書くことがなくて困っている人や,独自性に課題を感じている人には,とても参考になると内容だと思う. 参考になった点参考になった点を以下にまとめる. 1.書く前にテーマを決めない.計画しない.メモからはじめる. 学びの大半は,偶然の行動や出会いから生まれる.いきなり書こうとするのではなく,行動や読書などの体験をし,そこで

          「書く前に,テーマを決めるな,計画たてるな,メモをとれ」という本を読んだ

          映画メモ #2:『君たちはどう生きるか』(2023)

          この映画のテーマやメッセージは何だったんだろう.個人的には,読み取れなかった.「もうわかりやすくエンタメ性の強い作品は作ってあげないよ」というのが,メッセージだったのかも.宮崎監督の絵を動かしてきた人生に対する,思い出と無念みたいなものは感じた.あと強烈な悪意を. 食欲旺盛なインコたち.これは私のような消費者のことなんだろうと思った.王に指揮され,誰かが言った言葉を繰り返す存在という意味で.また,ペリカンは,ここではないどこかを目指したがどこにも行けず次世代を食う存在.これ

          映画メモ #2:『君たちはどう生きるか』(2023)