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綺麗なあの子の横顔に。

昨日、職場のアルバイトの子がなんだか綺麗になっていた。

同じ職場にはいるけど、仕事が被ることもないので、ほとんど話すことがない子。
たぶんカラーとパーマなんだろうけど、雰囲気がガラッと変わってて、なんならちょっと輝いてみえた。


「髪型変えた?可愛いね!」


なんて、言えるような人種ではないし、
なんなら彼女を見た瞬間、私の心はザラついた。

―悔しい。あの子には負けないと思ったのに。

無表情でパソコンに向かいながら、そんなことを考えている自分に気付く。
ミスコンじゃあるまいし、誰が誰より可愛いとか綺麗だとか、順位付けになんの意味もない。
そんなことはわかってるつもりだったんだけど、負けず嫌いの私はついつい勝ち負けを考えてしまうみたいだ。

「負けたくない」は劣等感の裏返しで、誰かに「勝つ」ことでしか、自分の自信を守れない。


ほんと、くだらない。


そこまで気が付いて、自分自身にうんざりする。
いつからこんなに歪んでしまったんだろう。

ずっと昔は違った気がするけれど、もうそのときのことは思い出せないし、ずいぶんと長い間こうやって私は生きてきた。・・・いや、生きられなかった。

嫌なことや上手くいかないことがある度、
「やってやろうじゃん」「上等だよ」そうやって相手に牙をむくことで、自分を鼓舞して、なにクソ!で必死に戦ってきた。

きつかったけど、そんな時期があったからこそ、手に入れることができたものもたくさんある。頑張ったなあ。ほんと。


なにクソ精神は、口が裂けても、誰かに話したくないけど、
それでもそうやって必死に戦う自分も案外、嫌いじゃなかった。

だけど、もういいかな。

闘うよりも、穏やかに笑っていたい。
世界は敵だらけだと思っていたあの頃の私はもういない。

嫌なことや上手くいかないことなんて、
小さいことも含めれば毎日数えきれないほどある。
その1つ1つに目くじら立てて、闘ってたら、息切れしちゃう。

そんなことに振り回されてたら、体力いくらあっても持たないわ。


自分の生きる世界の良し悪しは、自分で決めたい。
人生も、毎日も、今のこの瞬間も。私自身についても。

自分の機嫌は自分で取ってあげよう。
だってそのほうが絶対、楽しいから。

「髪型変えたんだね。可愛い!私もダイエットがんばろー」

それでもやっぱり、なんてこと伝える勇気はないからせめて心の中で。

ありがとう。

マスク越しに少し笑って、綺麗になった彼女の横顔にそっとつぶやくことにしよう。

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